
サンリオは4月21日、都内でメディア向けゲーム事業説明会を開催し、自社ゲームブランドの立ち上げを発表した。第1弾タイトルとして、Nintendo Switch/Nintendo Switch 2向けパーティーゲーム『サンリオ パーティランド』を2026年秋に世界同時発売する予定だ。
説明会には、代表取締役社長の辻朋邦氏、常務執行役員の濵﨑皓介氏らが出席。サンリオが掲げる長期ビジョンの中核施策として、ゲーム事業へ本格参入する狙いを語った。
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■「グローバルIPプラットフォーマー構想」の中核にゲーム事業
辻氏は、サンリオが創業以来掲げてきた「みんななかよく」の理念に触れ、「一人でも多くの人を笑顔にすること」を目指してきたと説明。近年の成長を踏まえ、2035年に向けた長期ビジョンとして「グローバルIPプラットフォーマー」を目指しているとした。
▲サンリオ代表取締役社長の辻朋邦氏。
これは、キャラクターIPを軸にライセンス事業、物販、テーマパーク、デジタル領域など多面的な接点を広げ、世界中のファンとつながる構想だという。今回のゲーム事業も、その重要施策のひとつとして位置づけられている。
辻氏はこうした構想を具体化する取り組みのひとつとしてゲーム事業を位置づけており、中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)では、開発・販促費として100億円を投じ、6本以上のタイトル開発を推進する方針を明らかにした。
辻氏は、「これまでサンリオに触れたことがない人にも、新しい接点としてゲームを通じて価値を届けたい」と語った。
■市場規模・接触時間・没入感…ゲーム市場に本格参入する理由
ゲーム事業参入の理由について辻氏は、ゲーム市場の大きさに加え、ユーザーの接触時間の長さ、エンターテインメントとしての没入度の深さを挙げた。
また、既存キャラクターがゲームに登場することで事業成功の可能性を高められるだけでなく、新たなブランド体験を生み出すことにもつながると説明。さらに、ゲーム発の新規IP創出にも期待を寄せた。
同社はゲーム領域において、自社パブリッシングを基本方針とする。辻氏は、「誰に、どのような価値を届けるかを自分たちでコントロールしながら、将来のファン層を形成していきたい」と語った。
■新ブランド「Sanrio Games」始動 第1弾は145以上のキャラクターが登場
続いて濵﨑氏は、新ゲームブランド「Sanrio Games」について説明。役割は大きく2つあるとし、「IP拡張」と「エコシステム拡大」を挙げた。
▲サンリオ常務執行役員の濵﨑皓介氏。
IP拡張の面では、500を超えるキャラクター資産をゲームによってより多くのファンに届けられる点を強調。グッズ売場やテーマパークなど物理的制約を超え、世界中に届けられるのがゲームの強みだとした。
また、ゲームならではのインタラクティブ性により、キャラクターを自ら動かしたり、一緒に遊んだりといった新しい体験価値を提供できるという。
同氏は、ゲーム単体で収益を上げるだけでなく、ゲームを“入口”としてグッズ、店舗、テーマパーク、イベント、デジタルサービスなど多様な接点へユーザーを広げていく構想を紹介。リアルとデジタルを横断しながら、サンリオIP全体の体験価値を高める狙いだとした。
また、今後はパーティーゲームに限らず、さまざまなジャンルのゲーム開発を進める方針も説明。既存キャラクターIPの活用に加え、ゲーム発の新規IP創出も視野に入れているという。
さらに、ゲーム事業の本格始動に向けては、ゲーム事業部の新設による人材拡充、外部開発パートナーとの協業体制構築、企画・プリプロダクション・本開発の各段階で投資判断を行う管理体制の整備など、事業基盤づくりを進めていることも明らかにした。
そうした戦略の第1弾タイトルとして発表されたのが、『サンリオ パーティランド』だ。Nintendo Switch/Nintendo Switch 2向けに、2026年秋の世界同時発売を予定する。
同作は、サンリオが大切にしてきた「みんななかよく」をコンセプトにしたパーティーゲーム。家族や友人同士で楽しめる設計となっており、145以上のサンリオキャラクターが登場。ボードゲーム要素や着せ替え、ミニゲームなど多彩な遊びを収録予定だという。
■第2弾は今期投入へ、中長期では10タイトル規模を視野
濵﨑氏によると、2027年3月期中には第2弾タイトルの投入も予定している。さらに中長期では約10タイトル規模の展開を視野に入れているという。
ジャンルやターゲットは作品ごとに変えていく方針で、ファミリー向けに加え、これまで接点の少なかった新規層や男性ユーザー層へのアプローチも検討している。
また、現時点では社内に大規模な開発組織は持たず、外部開発会社との協業を軸に進める。タイトルごとに最適なパートナーと連携し、開発・運営体制を構築していく考えだ。
【ラウンドテーブルで語られたSwitch採用の狙いと“今ゲーム参入する理由” サンリオ幹部が明かす戦略】
説明会後に実施されたラウンドテーブルには、濵﨑氏に加え、同社専務取締役の中塚一郎氏が参加。以下でその内容をお届けしていく。
●ファミリー層を見据えたSwitch採用、その先のプラットフォーム戦略
ラウンドテーブルでは、第1弾タイトルのプラットフォーム選定についても踏み込んだ説明があった。濵﨑氏は、今回のタイトルがキッズ・ファミリー層を主要ターゲットとしていることから、任天堂ハードとの親和性が高いと説明した。
一方で、モバイル市場については若年層やZ世代など別のユーザー層に強みがあるとし、今後はタイトルごとのターゲット、ジャンル、運営型か買い切り型かといった特性に応じ、最適なプラットフォームを選択していく方針を示した。
●なぜ今、自社ゲーム事業なのか 海外展開と若年層接点が背景に
中塚氏は、5年前ではなく今このタイミングで本格参入する理由について、「IPビジネスを取り巻く環境が大きく変わった」と説明した。
北米・欧州などグローバル市場での成長余地が依然大きいことに加え、α世代やZ世代がIPを好きになる入口として、ゲームが極めて有効な媒体になっているという。
SNSや動画配信サービスに加え、継続的に接触時間を生み出せるゲームは、キャラクターとの関係構築において重要性が増しているとの認識を示した。
●ライセンスゲームと自社ゲームは両輪に
既存のライセンスゲーム事業についても、縮小ではなく継続・拡大の方針を明らかにした。
中塚氏は、自社ゲームで得られた知見や市場データがライセンス事業にも還元される可能性があると説明。自社タイトルとライセンス提供タイトルを両輪で展開し、ゲーム市場全体でサンリオIPの存在感を高めていく考えを示した。
●AAA路線ではなく、“サンリオらしい遊び”を追求
今後の大型投資タイトルについて問われると、濵﨑氏は、いわゆるAAA級タイトルへの挑戦には慎重な姿勢を示した。
巨額開発費を投じる競争に乗るよりも、サンリオの最大の強みであるキャラクターIPを生かし、ユーザー同士の会話や共感が生まれる“サンリオらしい遊び”を追求していく方針だという。
また、人気キャラクターだけでなく、過去キャラクターや比較的露出の少ないキャラクターにも再び光を当てられる点は、自社ゲームならではの強みになるとした。
■北米市場拡大にも期待
最後に、質疑応答では海外戦略にも言及。辻氏は、北米におけるキャラクターシェア拡大を重要テーマとして挙げ、ハローキティに加え、クロミやシナモロールなど複数キャラクターの浸透を進めていく考えを示した。
ゲームを通じてキャラクター認知を高め、ライセンス事業や物販事業の拡大にもつなげたい考えだ。
これまでライセンス提供を中心にゲーム展開してきたサンリオだが、今回の自社ブランド始動により、ゲームを新たな成長エンジンとする次のフェーズに踏み出したと言えそうだ。
(取材・文 編集部:山岡広樹)
■関連サイト
▼『Sanrio Games』公式サイト
https://www.sanrio-games.jp/
▼サンリオゲームズ【公式】X
https://x.com/SanrioGames_JP
▼サンリオゲームズ【公式】YouTube
https://www.youtube.com/@SanrioGames_JP
© 2026 SANRIO CO., LTD. 著作 株式会社サンリオ
会社情報
- 会社名
- 株式会社サンリオ
- 設立
- 1960年8月
- 代表者
- 代表取締役社長 辻 朋邦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1444億400万円、営業利益518億600万円、経常利益534億5300万円、最終利益417億3100万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 8136

