【クリエイターの広報術:番外編(5)】プレスリリースで短縮URLやリンクボタンを使わないほうが良い理由

木村英彦 取締役 編集長
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プレスリリースに掲載するリンクは、短縮URLと通常のURLのどちらが望ましいのだろうか。見た目だけを考えれば、短縮URLやボタン形式のリンクのほうがすっきりしている。メール本文も見やすくなり、広報担当者としては「親切な見せ方」と感じるかもしれない。しかし、ゲームメディアの編集業務という観点では、必ずしもそうとは言えない。むしろ、URLをそのまま記載したほうが助かる場面が少なくないのだ。

 

■編集者はリンクを「クリックする」だけではない

一般のユーザー向けメールであれば、リンクはクリックできれば十分。一方、メディア向けのプレスリリースでは事情が異なる。

編集者はリリースを読んだ後、

・ そのリンクがどのページの飛ぶのか一つ一つ確認する
・ 記事にリンクを掲載する
・ CMSへURLを入力する
・ 他の編集者へ共有する
・ 後日参照する

といった作業を行う。つまり、リンクは単なる誘導手段ではなく、記事を作るための素材でもある。

例えば以下のような記載があれば、何のリンクなのか一目で分かる。

Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/123456

公式サイト
https://example.com

トレーラー
https://www.youtube.com/watch?v=xxxxx

ところが、

・Steamストアページはこちら
・公式サイトはこちら
・トレーラーはこちら

というボタン形式や埋め込みリンクのみの場合、リンク先を確認するために一つずつ開かなければならない。

 

■短縮URLはリンク先が見えない

短縮URLにも同じ問題がある。

例えば、

https://bit.ly/xxxxx

だけでは、

・ Steamストアページなのか
・ YouTube動画なのか
・ Google Driveなのか
・ 公式サイトなのか

が分からない。編集者はリンク先を確認するためにクリックする必要がある。大量のプレスリリースを処理していると、このひと手間が積み重なっていく。

URLがそのまま書かれていれば、ドメインを見るだけで内容を把握できる。

 

■YouTubeリンクもURL直貼りのほうが便利

YouTube動画も同様だ。ボタン形式の「トレーラーはこちら」

よりも、

https://www.youtube.com/watch?v=xxxxx

のほうが編集者にとっては使いやすいケースが多々ある。記事への埋め込みや共有、CMSへの登録など、URLそのものを利用する場面が多いため。URLの直貼りは「視聴するためのもの」であると同時に、「記事制作に利用する素材」でもある。

 

■短縮URLには将来的なリスクもある

もうひとつ見落とされがちなのが、リンクの寿命。

短縮URLは、

短縮URL

転送

実際のURL

という仕組みを利用している。

そのため、

・ サービス終了
・ アカウント削除
・ 設定変更
・ 有効期限切れ

などによって、将来的に利用できなくなる可能性がある。ニュース記事は公開後も長期間読まれることがある。記事中のリンクが数年後も有効であることを考えると、できるだけシンプルな形でURLを掲載するほうが安心。

 

■メディア向けリリースは「作品」ではなく「素材」

ここまで見てきた問題は、これまで本連載で取り上げた

・ Google Driveのアクセス権限設定
・ コピペできないPDF

とも共通している。

送る側は見た目の良さや分かりやすさを重視する。

一方、受け取る側は記事化しやすさや作業効率を重視する。プレスリリースは完成した作品ではない。メディアにとっては、そこから記事を作るための素材集。

その観点で考えると、

・ URLをそのまま記載する
・ リンク先の名称を明記する
・ 短縮URLに頼りすぎない
・ ボタンだけで済ませない

といった工夫は、決して古いやり方ではない。むしろ、受け手に配慮した実務的な方法と言えるのではないだろうか。

見栄えの良さも大切だが、メディア向けプレスリリースでは「使いやすさ」も同じくらい重要。URL直貼りは一見地味だが、編集者にとっては非常に優秀な情報提供方法なのだ。