
プレスリリースに掲載するリンクは、短縮URLと通常のURLのどちらが望ましいのだろうか。見た目だけを考えれば、短縮URLやボタン形式のリンクのほうがすっきりしている。メール本文も見やすくなり、広報担当者としては「親切な見せ方」と感じるかもしれない。しかし、ゲームメディアの編集業務という観点では、必ずしもそうとは言えない。むしろ、URLをそのまま記載したほうが助かる場面が少なくないのだ。
■編集者はリンクを「クリックする」だけではない
一般のユーザー向けメールであれば、リンクはクリックできれば十分。一方、メディア向けのプレスリリースでは事情が異なる。
編集者はリリースを読んだ後、
・ そのリンクがどのページの飛ぶのか一つ一つ確認する
・ 記事にリンクを掲載する
・ CMSへURLを入力する
・ 他の編集者へ共有する
・ 後日参照する
といった作業を行う。つまり、リンクは単なる誘導手段ではなく、記事を作るための素材でもある。
例えば以下のような記載があれば、何のリンクなのか一目で分かる。
Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/123456
公式サイト
https://example.com
トレーラー
https://www.youtube.com/watch?v=xxxxx
ところが、
・Steamストアページはこちら
・公式サイトはこちら
・トレーラーはこちら
というボタン形式や埋め込みリンクのみの場合、リンク先を確認するために一つずつ開かなければならない。
■短縮URLはリンク先が見えない
短縮URLにも同じ問題がある。
例えば、
https://bit.ly/xxxxx
だけでは、
・ Steamストアページなのか
・ YouTube動画なのか
・ Google Driveなのか
・ 公式サイトなのか
が分からない。編集者はリンク先を確認するためにクリックする必要がある。大量のプレスリリースを処理していると、このひと手間が積み重なっていく。
URLがそのまま書かれていれば、ドメインを見るだけで内容を把握できる。
■YouTubeリンクもURL直貼りのほうが便利
YouTube動画も同様だ。ボタン形式の「トレーラーはこちら」
よりも、
https://www.youtube.com/watch?v=xxxxx
のほうが編集者にとっては使いやすいケースが多々ある。記事への埋め込みや共有、CMSへの登録など、URLそのものを利用する場面が多いため。URLの直貼りは「視聴するためのもの」であると同時に、「記事制作に利用する素材」でもある。
■短縮URLには将来的なリスクもある
もうひとつ見落とされがちなのが、リンクの寿命。
短縮URLは、
短縮URL
↓
転送
↓
実際のURL
という仕組みを利用している。
そのため、
・ サービス終了
・ アカウント削除
・ 設定変更
・ 有効期限切れ
などによって、将来的に利用できなくなる可能性がある。ニュース記事は公開後も長期間読まれることがある。記事中のリンクが数年後も有効であることを考えると、できるだけシンプルな形でURLを掲載するほうが安心。
■メディア向けリリースは「作品」ではなく「素材」
ここまで見てきた問題は、これまで本連載で取り上げた
・ Google Driveのアクセス権限設定
・ コピペできないPDF
とも共通している。
送る側は見た目の良さや分かりやすさを重視する。
一方、受け取る側は記事化しやすさや作業効率を重視する。プレスリリースは完成した作品ではない。メディアにとっては、そこから記事を作るための素材集。
その観点で考えると、
・ URLをそのまま記載する
・ リンク先の名称を明記する
・ 短縮URLに頼りすぎない
・ ボタンだけで済ませない
といった工夫は、決して古いやり方ではない。むしろ、受け手に配慮した実務的な方法と言えるのではないだろうか。
見栄えの良さも大切だが、メディア向けプレスリリースでは「使いやすさ」も同じくらい重要。URL直貼りは一見地味だが、編集者にとっては非常に優秀な情報提供方法なのだ。




