
日々配信されてくるプレスリリースに記載されたURLを見ると、企業によって書き方が異なることにすぐに気づく。
例えば、
のようなシンプルなURLもあれば、
https://example.com/game?utm_source=prtimes&utm_medium=release&utm_campaign=newgame
のように、後ろに長い文字列が付いたURLもある。いわゆる「トラッキングURL」または「効果測定用URL」と呼ばれるものだ。マーケティングに携わる人であれば見慣れたものだろうが、広報の現場では必ずしも一般的とは言えない。
では、なぜ付ける会社と付けない会社があるのだろうか。
■効果測定URLの目的
効果測定URLの主な目的は、流入経路を把握することにある。
例えば、
・ プレスリリース経由で何人がアクセスしたのか
・ どの媒体からの流入が多かったのか
・ どの施策が効果的だったのか
といった情報を分析できる。特にゲームの事前登録やイベント集客、サービスへの会員登録など、具体的なアクションにつなげたい場合には有効な手法だ。マーケティング部門と連携する企業では、こうしたURLを積極的に活用しているケースも少なくない。
■広報の目的は必ずしもクリック数ではない
ただし、広報活動は本来、クリック数だけで評価されるものではない。
従来の広報では、
・ 記事掲載数
・ 掲載媒体
・ 推定リーチ数
・ 広告換算額
などが効果測定の指標として使われてきた。目的は流入獲得というより、「どれだけ多くの人に情報が届いたか」である。新作ゲームの発表や企業の取り組み、イベント開催の告知などでは、まず認知を広げることが重要になる。そのため、あえて効果測定URLを付けず、シンプルなURLを記載する企業も少なくない。
■メディア側から見るとメリットは少ない
ここで興味深いのが、受け取る側の視点だ。企業にとって効果測定URLは有用だが、メディア側には全くといっていいほどメリットがない。むしろ、
・ URLが長くなる
・ 見栄えが悪くなる
・ 記事に掲載しづらい
・ コピペしづらい
といった問題が発生する。さらに計測結果が配信企業から共有されることもほとんどない。そのため、メディアによってはURLパラメータを削除したり、公式サイトのURLを検索して差し替えたり、場合によってはリンクを載せなかったりすることもある。企業が期待していた計測が行えなくなる可能性もあるわけだ。
■「良い・悪い」の話ではない
誤解してはいけないのは、効果測定URLが悪いという話ではないことだ。流入分析や施策の改善を行ううえで、非常に有効な手法であることは間違いない。
一方で、広報の現場では、
・ メディアとの関係構築
・ 自社やプロダクトに対する率直な意見交換
・ ブランド認知の向上
・ 信頼の獲得
といった、数字だけでは測れない成果も重要になる。そのため、「まずは露出を増やしたい」という企業では、あえて効果測定を行わないケースもある。
■広報とマーケティング、その違いが現れる部分
URLの書き方ひとつにも、その企業の考え方が表れる。流入や成果を重視するマーケティング寄りの企業は効果測定URLを活用する一方で、掲載や認知を重視する伝統的な広報では、シンプルなURLを選ぶことが多い。
どちらが正しいという話ではない。
ただし、効果測定URLを利用するのであれば、受け取る側にとっては必ずしも歓迎されるものではないことも理解しておきたい。広報活動の目的は何か。認知なのか、流入なのか。URLの後ろに付いた長い文字列は、その企業の広報方針を映し出しているのかもしれない。




