
HEROZ<4382>は、9月11日、2027年4月期 第1四半期の連結決算を発表し、売上高16億4300万円(前年同期比8.5%増)、営業利益1億8000万円(同52.8%増)、経常利益1億3800万円(同46.2%増)、最終利益3200万円(前年同期は1100万円の損失計上)と増収増益のスタートとなった。ストラテジットの連結除外による影響を除いた実質的な売上成長率は14.5%だったという。
通期予想に対する進捗率は、売上高が24.2%、営業利益が22.5%。第1四半期としては、概ね順調な滑り出しとなった。
・売上高:16億4300万円(同8.5%増)
・営業利益:1億8000万円(同52.8%増)
・経常利益:1億3800万円(同46.2%増)
・最終利益:3200万円(同1100万円の損失計上)
【通期計画に対する進捗率】
・売上高:24.2%
・営業利益:22.5%
・経常利益:19.7%
・最終利益:10.7%
■HEROZ BtoBが前年同期比2倍超に
特に目を引くのが、AIX事業におけるHEROZ BtoBの急成長だ。第1四半期の売上高は前年同期比101.3%増と大幅に伸長した。
背景には、企業の「業務基盤の変革ニーズ」を受けた共創型伴走支援がある。第1四半期の稼働案件数は前年同期比26.8%増となったほか、案件の長期化や単価向上も進み、売上成長につながったという。会社側は第2四半期累計についても、稼働率の向上により前年同期比64.8%増を見込んでいる。
今回の決算では、AIを企業に導入するだけではなく、企業の実際の業務に入り込み、継続的にAI活用を支援するビジネスの伸びが数字として表れた格好だ。
生成AIについては、企業側でも活用の必要性が認識される一方、「実際にどの業務で使うのか」「社内にどう定着させるのか」といった段階に入ると、導入の難易度は上がる。HEROZ BtoBの今回の伸びは、そうした企業側の実装ニーズを取り込んだものとも考えられる。
■「HEROZ ASK」も成長、ARRは2.3億円突破
AI活用を支援する「HEROZ ASK」も成長を続けている。第1四半期の売上高は前四半期比25.9%増となり、7月末時点のARRは2.3億円を突破。累計契約顧客数も約470社まで拡大した。
また、HEROZ ASKの第1四半期解約率は0.96%。AI Securityの解約率も0.84%と、いずれも1%を下回る水準で推移している。単に顧客を増やすだけでなく、継続利用につなげる基盤も整いつつある。
■AI研修、BPOを組み合わせ「学ぶ→使う→任せる」
さらに今期は、HEROZ ASKを中心としたAI活用プラットフォームの構築も進めている。
2026年5月にはAI BPOのAKM、8月にはAI研修のエキストラがグループに加わった。これにより、AI研修で「学ぶ」、HEROZ ASKで「使う」、AI BPOで「任せる」という一連のサービスを提供する体制を整えた。
会社側は、AI研修を新規顧客獲得の入口とし、HEROZ ASKの導入につなげるほか、BPOで蓄積した業務ナレッジを活用してASKの導入社数や単価を引き上げる構想を示している。
研修についても、450コンテンツ、約100社のOEM基盤を活用して販路を拡大し、将来的には研修SaaSへの転換も目指す。
つまりHEROZは、単体のAIツールを販売するだけではなく、
学ぶ → 使う → 任せる
という企業のAI活用の段階に合わせてサービスを提供し、そこからHEROZ ASKやBPO、AIソリューションへ横展開するモデルを描いている。
■AI Securityは横ばいも、解約率は低水準
一方、今回の決算でやや意外だったのがAI Securityだ。
AI Securityの売上高は前年同期比0.3%増にとどまり、大きな伸びは見られなかった。第1四半期にはAI SecurityのM&A関連コストとして2900万円も発生している。
もっとも、解約率は0.84%と低水準で、事業基盤そのものが崩れているわけではない。今回のHEROZグループの成長を牽引したのは、むしろHEROZ BtoBやHEROZ ASKといった「企業がAIを実際に使う」部分だったといえる。
企業のAI活用では、まず実際の業務で使い、効果を確認しながら利用範囲を広げ、その先で情報管理やセキュリティといった課題がより重要になってくる可能性もある。AI Securityが今後そうした段階で再び成長を加速させるのかは、今後の注目点となりそうだ。
■売上成長がコスト増を上回り、利益率も改善
利益面でも、事業の伸びが確認できる。
オーガニックベースの売上原価は前年同期比5.3%増となった一方、売上原価比率は前年同期の54.2%から50.1%へ4.1ポイント改善した。主にAIX BtoB事業の稼働率向上によって、売上成長が原価増を上回ったとしている。
また、第1四半期のEBITDAは2億8700万円で、第1四半期として過去最高を更新した。前年同期比では25.4%増となっている。
今後は積極的な人的投資を行う方針で、第1四半期の労務費減少についても一時的なものと説明。退職による人員減少を外部リソースで補完したことによる費目間の振り替えが主因としている。
■「AIを提供する」から「企業で使えるようにする」へ
今回の第1四半期決算で見えてきたのは、HEROZがAI技術そのものを提供する段階から、企業がAIを実際の業務に組み込むところを支援する段階へと事業の軸を広げていることだろう。
AI Securityは今回、大きく伸びたわけではない。一方で、HEROZ BtoBでは共創型伴走支援による案件の長期化・単価向上が進み、HEROZ ASKも顧客数とARRを伸ばしている。さらにAI研修とAI BPOを組み合わせることで、AI活用の入口から実務への定着までをカバーしようとしている。
現時点では、企業のAI活用がどこまで本格化するのか、またAI Securityを含めた各サービスのシナジーがどこまで数字につながるのかは見極める必要がある。
ただ、27年4月期のスタートとしては、HEROZ BtoBの急伸を中心に、企業のAI活用を実装・定着させる事業の手応えが表れた決算となった。今後はHEROZ ASKを軸とした「学ぶ→使う→任せる」のモデルをどこまで顧客拡大と単価上昇につなげられるかが焦点となりそうだ。
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会社情報
- 会社名
- HEROZ株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役CEO 林 隆弘/代表取締役CRO 髙橋 知裕
- 決算期
- 4月
- 直近業績
- 売上高64億2400万円、営業利益5億2300万円、経常利益4億800万円、最終利益3億7600万円(2026年4月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4382