オーバーラップHD、2026年8月期決算は上場関連費用や先行投資で減益で着地 ライトノベルからのメディア展開、IP創出を加速

オーバーラップホールディングス<414A>は、2026年8月期の連結決算(IFRS)を発表し、売上収益85億2200万円(前期比0.2%減)、営業利益23億9200万円(同20.9%減)、税引前利益21億5100万円(同25.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益15億9900万円(同22.6%減)となった。

・売上収益:85億2200万円(同0.2%減)
・営業利益:23億9200万円(同20.9%減)
・税引前利益:21億5100万円(同25.1%減)
・最終利益:15億9900万円(同22.6%減)

上場関連費用などの一過性費用に加え、マンガの刊行点数拡大に向けた編集者の増員やマンガ原稿料の増加、ビジュアルノベルゲームの開発投資などが利益を圧迫した。一方、ライトノベルでは新規IPの獲得が進み、マンガ化やアニメ化を見据えた作品群の拡充が進展している。2027年8月期は刊行点数の増加などを通じて増収増益を目指す。

 

■マンガ・ライトノベルが減収、他社IP商材やアニメは伸長

売上収益はほぼ横ばいだったが、営業利益は前期の30億2600万円から23億9200万円に減少した。売上原価は前期の39億9800万円から45億200万円に増加し、売上総利益は45億3700万円から40億2000万円に減少した。

ジャンル別では、自社IP売上が80億6200万円(同4.3%減)となった。このうち、マンガは60億4900万円(同5.0%減)、ライトノベルは12億6600万円(同7.2%減)だった。

マンガでは、既存人気シリーズの続巻発売時の売上は堅調だったものの、前期に大型作品の続巻発売が多かったことなどが影響した。ライトノベルも、人気タイトルの新刊発売が少なかったことなどから減収となった。

一方、アニメ/その他は7億4500万円(同8.1%増)となった。主に2026年1月以前に放映を開始した作品に関する原作印税や製作委員会出資の分配などが寄与した。他社IP売上は4億6000万円(同307.9%増)と大きく伸長した。「ポケットモンスター」関連商材などが寄与し、売上収益全体を下支えした。

営業利益の減益要因としては、先行投資のほか、電子書籍でアニメ放映に伴う既刊の売り伸ばし効果が前期を下回ったこと、欧米を中心に海外ライセンスの新規許諾が減速したことなども挙げられる。一方、アニメは国内外の配信収入を中心に増収増益となった。

 

■ライトノベルの新規IP獲得が加速、将来のメディアミックスを見据える

同社が進める先行投資の背景には、新たなIPを継続的に生み出すための体制強化がある。

2026年8月期は、新卒・中途採用で17名を増員し、このうち編集者は11名だった。従業員数は8月末時点で102名となり、前年同期末の85名から増加した。編集者の増員を中心に採用を進め、マンガの刊行点数拡大に向けた体制を整えている。

主力レーベル「コミックガルド」の刊行点数は181点となり、前期の140点から増加した。新シリーズの刊行点数も33点と、前期の23点から増えており、今後の売上拡大に向けた作品群の拡充が進んでいる。

ライトノベルでも新規IPの創出が加速した。2026年8月期に発売したライトノベル1巻目は81点と、前期の56点から大幅に増加した。同社は、将来のマンガ化・アニメ化につながるIPのパイプラインが拡大していると説明している。

アニメ化を巡っては、コミカライズを経てから映像化するだけでなく、ライトノベルの段階でアニメ化が決まるケースも見られる。こうした展開を考えると、人気が確立した原作を起点にメディアミックスを進めるだけでなく、ライトノベルの段階から作品を育て、将来の映像化につながるIPを増やしていくことも重要になるのかもしれない。

アニメ原作不足が指摘されるなか、課題は単にアニメ化できる作品の数だけではない。事業として成立するだけの需要を見込める原作を、継続的に確保できるかという観点も重要だ。原作の知名度や販売実績、ファン層などを踏まえて映像化の判断が行われることを考えれば、出版社にとっては、新規IPの創出段階から投資し、将来のメディアミックスにつながる候補を育てておく意義がある。

もちろん、刊行点数を増やせばヒット作が生まれるわけではなく、すべての作品がマンガ化やアニメ化につながるわけでもない。それでも、編集者の採用・育成や原稿料への投資は、目先の刊行点数を増やすだけでなく、将来のIP創出力を高める取り組みと位置づけられる。

 

■27年8月期は増収増益を計画、アニメ放映数は一時的に減少

2027年8月期は、売上収益87億8000万円(前期比3.0%増)、営業利益25億4500万円(同6.4%増)、税引前利益23億9900万円(同11.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益16億7700万円(同4.9%増)を見込む。

・売上収益:87億8000万円(同3.0%増)
・営業利益:25億4500万円(同6.4%増)
・税引前利益:23億9900万円(同11.5%増)
・最終利益:16億7700万円(同4.9%増)
・EPS:83.53円

自社IP売上は81億5700万円(同1.2%増)、他社IP売上は6億2300万円(同35.4%増)を計画している。

自社IPでは、コミックガルドを中心に刊行点数を引き続き増やし、売上成長につなげる。もっとも、刊行点数の増加分には既存の人気シリーズと比べて売上規模がまだ小さい新シリーズも一定程度含まれるため、刊行点数の伸びがそのまま売上の伸びに直結するわけではない。

アニメについては、制作期間や放映時期の調整などにより、2027年8月期の放映開始タイトル数は2作品と、前期の4作品から一時的に減少する見通しだ。一方、2028年8月期以降は各6作品を見込んでおり、アニメ化タイトルの拡大に向けた準備を進めている。

他社IPでは、2026年12月18日に発売予定の「ポケットモンスター ビジュアルアートブック」3冊などが売上に寄与する見込みだ。

同社は中長期的な成長施策として、編集者の採用・育成によるIP数の拡大に加え、アニメ化タイトルの増加やシリーズ化、海外ライセンスの拡大、M&Aなども掲げている。

2026年8月期は、上場関連費用などの一過性要因に加え、IP創出に向けた投資が利益を圧迫した。一方で、ライトノベルの新規IP獲得やマンガの刊行点数拡大は進んでいる。今後は、こうした投資によって生まれた作品群がどこまで成長し、マンガ化・アニメ化などのメディアミックスを通じて収益に結びつくかが、中長期的な成長を見極めるポイントとなりそうだ。

 

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株式会社オーバーラップホールディングス
https://hd.over-lap.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社オーバーラップホールディングス
設立
2022年5月
代表者
代表取締役社長 永田 勝治/代表取締役副社長 原田 直樹
決算期
8月
直近業績
売上収益85億2200万円、営業利益23億9200万円、税引前利益21億5100万円、最終利益15億9900万円(2026年8月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
414A
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