【インタビュー】ヒットタイトルを相次ぎ生み出すf4samurai…最新作『オルサガ』は壮大なシナリオ構想も!? 今後の展望や同社の求める人材像にも迫る


『ボーダーブレイク mobile -疾風のガンフロント-』『アンジュ・ヴィエルジュ ~第2風紀委員 ガールズバトル~』に続き、直近では『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(以下、『オルサガ』)とヒットタイトルを生み出しているf4samurai。今回、同社の取締役COOの田口堅士氏と、CMOの佐藤允紀氏にインタビューを行い、そうしたヒットタイトルを開発・運営していく上での考え・意識や、最新作『オルサガ』の開発エピソードと今後、そして同社自体の今後の展望についてや同社が求める人材など、いろいろな話を聞いてきた。
 


 

■重視しているのは“継続率”、売上と楽しむところのバランスを大事に


―――:よろしくお願いいたします。最新作『オルサガ』が好スタート(配信1ヵ月で100万ダウンロード達成)を切っていますが、f4samuraiさんというと、2012年のセガネットワークス(現・セガゲームス セガネットワークス カンパニー、以下、「セガ」)さんとの業務提携以降、その主力タイトルの一角を担っている印象が強いです。そこでまずは、セガさんとの関係の経緯などを教えていただけますか。

田口氏 当社は、2010年に創業し、mixi・GREE・モバゲーなどのプラットフォームにゲームを提供する所からスタートし、バトルゲームが主力となって、『創世クロノドライブ』や『クロノス未来戦記』などを生み出してきました。ただ、規模が大きくないとユーザーにご提供できない“楽しさ“もあり、さらに大きくサービスを展開するための資金力やブランド力の必要性を感じていました。

一方、セガさんはスマホゲームで『Kingdom Conquest(キングダムコンクエスト)』をヒットさせた頃で、タイトルの充実のためにスピード感と開発力を持ったパートナーを探し始めたタイミングに、ちょうど弊社がいたという感じです。

そういうころからの関係ということもあって、セガさんとは、開発内容や意思決定などは当社主体で自由にやらせてもらっています。ただ、セガさんにも開発中のタイトルの品質向上をミッションとした専門チームがあって、重要な節目にはお会いしてアドバイスを取り入れています。セガさんとは開発に対して当社と同じベクトルなので、非常に貴重な機会だと思っています。なので「やはりそこが気になりますか」ということも勿論あります(笑)


―――:そうした中で生まれてきたヒットタイトルを企画・開発・運用していく上で、御社が心掛けていること、意識していることなどはありますか。

田口氏 当社としては、ユーザーさんと1対1という考え方が、スタートした当初の小さなころから、今でも根っこにあります。なので、例えば不具合掲示板をゲーム内に設置して、ユーザーさんの声をしっかりと反映するように心掛けています。

それと重視しているのは、継続率ですね。まずは楽しんでもらうということをベースに考えています。とはいっても、もちろん売上が上がらないゲームは、結局継続できなくなりユーザーにご迷惑をお掛けするので、売り上げと楽しむところのバランスを取るように気を付けています。


佐藤氏 継続率を意識している例えとして、1つのカードが長く使えるようにしています。逆にユーザーさんから「もっと上のカードを早く出してください」と言われることもあるくらいです。同じ観点で、“特効”でこの時期だけ有効とかも当社は極力販売しないようにしています。

そうしたことが評価されていることもあり、実は『アンジュ・ヴィエルジュ』もリリースから1年半が経っていますが、今が最もアクティブユーザー数が多かったりするんですよ。

 

―――:なるほど、運用についてのお話が聞けましたので、続いて御社の開発体制・チームについての考え方もお聞かせいただけますか。

田口氏 開発フェーズで言うと、『オルサガ』はちょっと大きかったので20~25名くらいの体制で作っていました。今も新規イベントやコンテンツの開発が続いているので同規模で運用しています。組織としては、部署がなく、階級もないというフラットな感じで、個々が自分で責任を持って仕事に取り組んでいます。

佐藤氏 例えばデザイナーの仕事をほかのエンジニアが指摘したり、逆にデザイナーが企画内容や性能を指摘したり、クオリティチェックは、チームメンバー全員でやっていたりします。仕事へのダメだしを素直に受け止められるのもユーザーを常に意識しているからで、自分が責められていると感じてしまう開発者だとうちは不幸な環境です。

田口氏 デバッグもデバッグ会社に頼んでなくて、自分達で作って自分達でテストして、リリースして本番で確かめてみるという流れです。開発に関しては、スピード感を大切にしているほか、満足いくまでリリース直前まで作り変えていたりしますね。作っているものに妥協しない感じで、リリース前に苦労した分、リリース後にうまくいくと考えています。

佐藤氏 開発メンバーはユーザーとして楽しんでやっている部分もありますね。作り直しが辛いと感じてしまう時でも自分達のサービスを楽しく遊ぶというのは大切だと思っています。

 

■独自の世界観を描く『オルサガ』…今後3年分のシナリオ構想も


―――:そうした開発現場から生まれてきた、最新のヒットタイトル『オルサガ』についてお聞かせください。まずは開発当時のお話などからよろしくお願いします。

田口氏 『オルサガ』は一番初めのきっかけはセガさんからですね。騎士団をコンセプトとしたゲームを作りたいとお話を頂いて1年半前からプロトを作り始めて、相当なスピード感で開発したのですが、実はゲームシステムはものすごく作り変えたんです。当初はキャラがわらわら動く感じだったのですが、これだとゲームとしては面白くても1年、2年と続けていくサイクルは難しいよね、ということになって…、それこそ満足いくまで作り変えました。

それと、『オルサガ』は、キャラクターのイラストやシナリオも当社で作っています。


佐藤氏 意外なことかもしれないのですが、キービジュアルも当社イラストレーターで制作していたりします。

田口氏 ムービー、ボイス、BGMは外部で作っていますが、それ以外は基本的に当社で作っています。 『オルサガ』はシナリオも全て社内のプランナーとシナリオチームで書いてます。 あれだけのボリュームを社内だけで完成させるのは大変です。 ただ、その分、ゲームと一体感のあるストーリーが作れるのかなと。
 


―――:そうして生まれた『オルサガ』ですが、今後はどういった展開を考えていらっしゃいますか。

田口氏 『オルサガ』は、今までのゲームにない世界観を作りたかったんです。ダークファンタジーという感じでもなく、ちょっと暗めのシリアスなファンタジーという感じですね。

ただ、最初にシナリオができた時は登場人物が男ばかりで大丈夫かなと…。


佐藤氏 最初のプロローグとか髭のおっさんばかりが出てきますからね(笑)

―――:なるほど(笑)

田口氏 『オルサガ』という独自の世界観を楽しんでもらいたいです。実は現状の構想だと、シナリオのストーリーは、3年くらいかかりそうで…、長く楽しんでいただければと思っています。オフのイベントとかもやりたいですね。

 

■今後は成功体験で作れるものと、全然違うものと二軸でチャレンジ


―――:ヒットタイトルを運用していく上で、人材というのは大切だと思うのですが、御社が求める(共に働きたいと思える)人材のイメージを教えていただけますか。

田口氏 まずはトライ&エラーをポジティブに楽しんでいけるということですかね。とにかく作っているものに妥協せず、満足いくまで作り変えたりするので、それを楽しんでできるというのは大事かなと。

あとはそれにプラスして、ゲーム会社にいて、ある程度の知識があって、最新のゲームをいろいろと遊んでいて、理解してくれているといいですね。

それと、プランナーとして、いろんなことに挑戦したいという意欲も持っていてくれるといいですね。当社は、フラットな組織ということもあって、経営陣も含め皆“現場”にいるという部分が特徴なので、“現場”でユーザーと向き合って仕事をしたいという方には合っているのかなと思います。


―――:社内の雰囲気を知る上でも聞いてみようかと思うのですが、みなさんのご経歴についてどういった方がいらっしゃいますか。

田口氏 そうですね、経営陣は大手SIer出身だったり、サーバーエンジニアはSI上がりがメインだったり、モバイルゲーム出身のほかにもコンソールや他業界の人間も活躍しています。

佐藤氏 (もちろん若いメンバーも多いですが)業界内で比較すると平均年齢はやや高めの31~32歳くらいで、わりと力のある中心メンバーが35~36歳くらいですね。既婚者子供持ちも多いです。 ほかの会社では部長職とか、マネージャーを担うレベルの人が現場で実力を存分に発揮している。そんな感じです。 

田口氏 サービスも会社の規模も今後大きくしていくのですが、いろんな経験をされた方に入って頂きたいですし、入ったばかりのメンバーが『オルサガ』チームでいきなり活躍したりします。当社の社風や雰囲気は、新しく参加するメンバーと一緒になって作っていきたいと思っています。
 

―――:最後にf4samuraiさん全体としての今後の展望を教えてください。

田口氏 当社は、今までは何年後にこうなっていようみたいなギッチリした事業計画は作っておらず、いつでもスピーディーに市場のスピードについていくスピード感を重視してきました。何年後かに全然技術が変わっていたり、数年後にどんなプラットフォームがあるかも分からない中で、その時そのつど最適なところを選んでいきたいというのがうちの大きな方針です。

とはいっても、直近ではまずは『オルサガ』を大きな、1年、2年、3年と続いていける、楽しめるタイトルにしていくというようなところがありつつ、次のタイトルを出していくところです。さらに次のタイトルは『オルサガ』がこのぐらいうまくいくと、ちょっとチャレンジングなものであってもいいかなと。


佐藤氏 (Oculus Riftを)被ってみるっていうのもあるかもですね(笑)

田口氏 それも全然ありですね。うちは、ベースとして新規で物を作るときは、変数を少なくというか、突拍子もないものを作るのではなく、売れているところからどれだけ変数をつけて着地しようって感じで作ってきているので、そういう成功体験で作れるものと、あとは全然違うものと今後は二軸でチャレンジしていきたいですね。

いずれにしろ、常日頃からユーザーと向き合ってサービスをつくっているので、その中での気づきや、ユーザーに満足いただいている要素が反映された新規タイトルになると思います。まだまだ規模は小さい会社なので、一緒に働いてくださる方々を大募集しています。


―――:どうもありがとうございました。
 
(編集部:柴田正之)




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