ゲームソフト大手、17年3月期は6社中5社が増益 スマホゲーム好調のバンナム、コナミ、セガサミー、スクエニが増益 新作延期のコーエーテクモは減益
家庭用ゲームソフト大手6社の2017年3月期決算が出そろった。本業の儲けを示す営業利益が前年同期に比べてプラスとなったのは、6社中5社だった。コナミホールディングス<9766>や、セガサミーホールディングス<6460>、バンダイナムコホールディングス<7832>などが増益となった一方、コーエーテクモホールディングスのみが減益となった(以下、ホールディングスはHDとする)。
増益組には一定の特徴がある。セガサミーHDやバンダイナムコHD、スクウェア・エニックスHDについては、メイン事業である家庭用ゲームソフトの収益を伸ばしつつ、スマートフォンゲームで稼いだ。カプコンは、ゲーム関連事業が減益となったものの、パチスロ機「モンスターハンター狂竜戦線」がヒットし、会社全体の収益拡大をけん引した。コナミHDはスマホゲームがけん引役となったようだ。
他方、唯一の減益だったコーエーテクモHDについては、複数タイトルの発売および配信開始時期が翌期へ延期となったことが響いたという。同社は、ゲームソフトの開発費については資産計上せず、先行して費用として計上しているため、リリースが翌期にずれると新作開発に係る費用だけが計上されることになる。
以下、簡単に各社の状況を見ておこう。
■カプコン<9697>
売上高871億7000万円(前の期比13.2%増)、営業利益136億5000万円(同13.5%増)だった。『バイオハザード7 レジデント イービル』および人気シリーズ最新作『モンスターハンターダブルクロス』が堅調に推移したほか、アミューズメント機器事業において、パチスロ機『モンスターハンター 狂竜戦線』が3.7万台を販売する大ヒットとなり、会社全体の増益をけん引した。
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■コーエーテクモホールディングス<3635>
売上高370億3400万円(前の期比3.4%減)、営業利益87億8100万円(同20.7%減)だった。『仁王』は発売から2週間で販売本数が100万本を突破し、スクウェア・エニックスとの共同開発『DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA』が国内セールスランキングにおいてApp Storeで8位、Google Playで12位に入った。ただ複数の新作ゲームの発売と配信開始時期が翌期へ延期となり、減収減益となった。
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■コナミホールディングス<9766>
売上高2299億円(前の期比8.0%減)、営業利益363億円(同47.3%増)だった。『遊戯王 デュエルリンクス』と『実況パワフルサッカー』が好調に推移したほか、『実況パワフルプロ野球』や『プロ野球スピリッツA(エース)』をはじめとするモバイルゲームが引き続き堅調に推移した。健康サービスとアミューズメントも押し上げ要因となった。
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■スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>
売上高2568億円(前の期比20.0%増)、営業利益312億円(同20.3%増)だった。「ファイナルファンタジーXV」の販売が好調だったことに加え、「FFブレイブエクスヴィアス」や「星のドラゴンクエスト」「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」なども寄与した。また「FFブレイブエクスヴィアス」「キングダム ハーツ ユニオン クロス」などの海外展開も収益に貢献した。
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■セガサミーホールディングス<6460>
売上高3669億円(前の期比5.4%増)、営業利益295億円(同67.6%増)だった。『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』『ぷよぷよ!!クエスト』『チェインクロニクル3』など既存のスマートフォン向けゲームが好調だったほか、『Total War: WARHAMMER』や『ペルソナ5』などを発売した。『艦これアーケード』や『三国志大戦』を展開するアミューズメント機器の収益が大きく伸びた。
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・セガサミーHD、アミューズメント機器事業が1億円の営業赤字→17億円の黒字に急回復 『艦これアーケード』ヒットで アミューズメント施設も改善
■バンダイナムコホールディングス<7832>
売上高6200億円(前々期比7.7%増)、営業利益632億円(同27.4%増)だった。玩具は不振だったが、ゲーム事業が好調だった。新作タイトル『DARK SOULSⅢ』や『ドラゴンボールゼノバース2』の販売が好調に推移した。スマホゲームでは『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』や『ワンピース トレジャークルーズ』『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』などが人気だった。
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・バンナムHD、17年3月期のIP別売上高は「ドラゴンボール」「ワンピース」「仮面ライダー」が伸長 「妖怪ウォッチ」の落ち込みが目立つ
増益組には一定の特徴がある。セガサミーHDやバンダイナムコHD、スクウェア・エニックスHDについては、メイン事業である家庭用ゲームソフトの収益を伸ばしつつ、スマートフォンゲームで稼いだ。カプコンは、ゲーム関連事業が減益となったものの、パチスロ機「モンスターハンター狂竜戦線」がヒットし、会社全体の収益拡大をけん引した。コナミHDはスマホゲームがけん引役となったようだ。
他方、唯一の減益だったコーエーテクモHDについては、複数タイトルの発売および配信開始時期が翌期へ延期となったことが響いたという。同社は、ゲームソフトの開発費については資産計上せず、先行して費用として計上しているため、リリースが翌期にずれると新作開発に係る費用だけが計上されることになる。
【大手ゲーム会社の決算】
以下、簡単に各社の状況を見ておこう。
■カプコン<9697>
売上高871億7000万円(前の期比13.2%増)、営業利益136億5000万円(同13.5%増)だった。『バイオハザード7 レジデント イービル』および人気シリーズ最新作『モンスターハンターダブルクロス』が堅調に推移したほか、アミューズメント機器事業において、パチスロ機『モンスターハンター 狂竜戦線』が3.7万台を販売する大ヒットとなり、会社全体の増益をけん引した。
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・カプコン、17年3月期は売上高13%増、営業益13%増と2ケタ増収増益を達成 VR対応の『バイオ7』などが貢献 アミューズメント機器で大ヒット誕生も
■コーエーテクモホールディングス<3635>
売上高370億3400万円(前の期比3.4%減)、営業利益87億8100万円(同20.7%減)だった。『仁王』は発売から2週間で販売本数が100万本を突破し、スクウェア・エニックスとの共同開発『DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA』が国内セールスランキングにおいてApp Storeで8位、Google Playで12位に入った。ただ複数の新作ゲームの発売と配信開始時期が翌期へ延期となり、減収減益となった。
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・コーエーテクモHD、17年3月期は売上高3%減、営業益20%減と減収減益に エンタメ事業で複数タイトルの発売、配信開始が翌期へ期ずれ
■コナミホールディングス<9766>
売上高2299億円(前の期比8.0%減)、営業利益363億円(同47.3%増)だった。『遊戯王 デュエルリンクス』と『実況パワフルサッカー』が好調に推移したほか、『実況パワフルプロ野球』や『プロ野球スピリッツA(エース)』をはじめとするモバイルゲームが引き続き堅調に推移した。健康サービスとアミューズメントも押し上げ要因となった。
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・コナミHD、17年3月期は売上高8%減ながら営業益47%増に 4Qにグローバル配信開始の『遊戯王 デュエルリンクス』が好調…カードゲームも人気波及
■スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>
売上高2568億円(前の期比20.0%増)、営業利益312億円(同20.3%増)だった。「ファイナルファンタジーXV」の販売が好調だったことに加え、「FFブレイブエクスヴィアス」や「星のドラゴンクエスト」「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」なども寄与した。また「FFブレイブエクスヴィアス」「キングダム ハーツ ユニオン クロス」などの海外展開も収益に貢献した。
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■セガサミーホールディングス<6460>
売上高3669億円(前の期比5.4%増)、営業利益295億円(同67.6%増)だった。『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』『ぷよぷよ!!クエスト』『チェインクロニクル3』など既存のスマートフォン向けゲームが好調だったほか、『Total War: WARHAMMER』や『ペルソナ5』などを発売した。『艦これアーケード』や『三国志大戦』を展開するアミューズメント機器の収益が大きく伸びた。
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・セガサミーHD、17年3月期は営業益67%増の295億円…『PSO2』や『オルサガ』『ぷよクエ』好調、『艦これ』アーケードや『ペルソナ5』も貢献
・セガゲームスのスマホ・オンラインゲーム事業、4億円の赤字から49億円の黒字に転換 広告宣伝の抑制とDL数拡大を実現 Noah Passの強み発揮か
・セガサミーHD、アミューズメント機器事業が1億円の営業赤字→17億円の黒字に急回復 『艦これアーケード』ヒットで アミューズメント施設も改善
■バンダイナムコホールディングス<7832>
売上高6200億円(前々期比7.7%増)、営業利益632億円(同27.4%増)だった。玩具は不振だったが、ゲーム事業が好調だった。新作タイトル『DARK SOULSⅢ』や『ドラゴンボールゼノバース2』の販売が好調に推移した。スマホゲームでは『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』や『ワンピース トレジャークルーズ』『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』などが人気だった。
【関連記事】
・バンナムHD、17年3月期は売上高7%増、営業益27%増と増収増益に 『ドッカンバトル』『トレクル』など主力タイトルがワールドワイドで人気に
・バンナムHD、17年3月期のネットワークコンテンツ売上高は前々期比52.6%増に急拡大 四半期ベースで売上高500億円の大台乗せ
・バンナムHD、17年3月期のIP別売上高は「ドラゴンボール」「ワンピース」「仮面ライダー」が伸長 「妖怪ウォッチ」の落ち込みが目立つ
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3563億4400万円、営業利益325億5800万円、経常利益415億4100万円、最終利益149億1200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684
会社情報
- 会社名
- コナミグループ株式会社
- 設立
- 1973年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3603億1400万円、営業利益802億6200万円、最終利益591億7100万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
- 証券コード
- 9766
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 川口 勝
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆502億1000万円、営業利益906億8200万円、経常利益1041億6400万円、最終利益1014億9300万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4678億9600万円、営業利益568億3600万円、経常利益597億7800万円、最終利益330億5500万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460