【決算まとめ①】ゲーム関連企業33社の4-6月…緊急事態宣言下で「好・悪」両面での影響が発生 巣ごもり需要に乗り快走目立つスクエニHD 

主要モバイルゲーム企業の2020年4~6月期の決算を振り返ってみたい。今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴う緊急事態宣言の発令による影響が、前回のように発表スケジュールにというよりも、業績の数字面により強く影響している。

ただ、この影響だがゲーム関連企業にとっては、必ずしもネガティブな影響をもたらしたわけではなく、巣ごもりによる需要の拡大につながったケースも多く見受けられた。今回も前回に続き、テーマごとに少し切り分けた形とし、まずは4~6月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。

なお、これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、gumi<3903>とエイチーム<3662>、ブシロード<7803>の決算は2~4月の数字を使用している。また、これまでと同様にネクソン<3659>はモバイル事業の売上高も掲載し、サイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。
 

■緊急事態宣言下で21社が減収の半面、21社が増益と全体の利益率が改善


前述のとおり、この4~6月期は、4月7日の緊急事態宣言発令から5月25日の解除までの期間を含む時期となっており、実質GDP成長率は年率換算でマイナス27.8%と大幅な減少となった。この数字はリーマンショックやオイルショック時などのものを大きく超え、国内経済に深刻な影響を与えるものとなっている。

ゲーム企業にとっては、アミューズメント系のビジネスや、イベントなどの開催中止などが発生したいわゆるリアルイベント系でダメージを受けているケースが目立った。その一方で、巣ごもりによる需要の拡大はゲームの販売、とりわけ利益率の高いデジタル販売の拡大につながっており、家庭用ゲーム、MMOゲーム、スマホゲームが好調でスクエニHD<9684>は大幅な増益を達成したのは、その象徴的な結果と言えるだろう。
 

この四半期決算では、33社中の12社が増収、21社減収と減収の企業が目立った。バンダイナムコHD<7832>やセガサミーHD<6460>、コナミHD<9766>などアミューズメント系ビジネスを抱える企業は休業の影響が大きく、アーケードゲームや2.5次元舞台が大きな収益源であるマーベラス<7844>なども2ケタ超の減収となっている。

一方で、21社が増益(赤字幅の縮小を含む)、12社が減益と利益率は大きく改善している。前述のとおり、利益率の高いデジタル販売の拡大という潮流が生じてきていることに加え、各社が広告宣伝費など効率的に投下した影響などもありそうだ。

なお、33社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。

増収増益…アクセルマーク<3624>、ボルテージ<3639>、KLab<3656>、エイチーム<3662>、オルトプラス<3672>、アエリア<3758>、ケイブ<3760>、ガンホー<3765>、ドリコム<3793>、Aiming<3911>、モバイルファクトリー<3912>、スクエニHD<9684>
増収減益…なし
減収増益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、モブキャストHD<3664>、enish<3667>、カヤック<3904>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、バンダイナムコHD<7832>、マーベラス<7844>、カプコン<9697>
減収減益…ミクシィ<2121>、グリー<3632>、コーエーテクモHD<3635>、コロプラ<3668>、gumi<3903>、アカツキ<3932>、LINE<3938>、イマジニア<4644>、サイバーエージェント<4751>、セガサミーHD<6460>、ギークス<7060>、ブシロード<7803>、コナミHD<9766>