【決算レポート】サイバーエージェント、『ウマ娘』大ヒットとネット広告好調で第2四半期は過去最高業績 先行投資のABEMAも高成長続く
サイバーエージェント<4751>は、4月28日、2021年9月期の第2四半期(21年1~3月)の決算を発表するとともに、オンラインで決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高1634億8300万円(同26.6%増)、営業利益258億7400万円(同107%増)、経常利益260億9600万円(同108.6%増)、最終利益107億6400万円(同225.8%増)と大幅増益を達成した。
・売上高:1634億8300万円(同26.6%増)
・営業利益:258億7400万円(同107%増)
・経常利益:260億9600万円(同108.6%増)
・最終利益:107億6400万円(同225.8%増)
四半期ベースとしては、売上高、利益ともに過去最高を記録したが、決算説明にあたった藤田晋社長は、「ゲームの好調さが注目されているが、広告も含めて当社の事業は全般的に好調だ」と振り返った。
同時に通期予想の上方修正も行い、売上高6000億円(前回予想5000億円)、営業利益575億円~625億円(同300億円~350億円)、経常利益575億円~625億円(同300億円~350億円)、最終利益240億円~260億円(同80億円~100億円)とした。「第2四半期の時点で利益が通期の予想に到達した。こんなことは(2003年の)上場以来初めて」。
・売上高:6000億円(前回予想5000億円)
・営業利益:575億円~625億円(同300億円~350億円)
・経常利益:575億円~625億円(同300億円~350億円)
・最終利益:240億円~260億円(同80億円~100億円)
続いてセグメント別の状況を見ていこう。
■ネット広告事業
売上高806億4000万円(同10.8%増)、営業利益72億3500万円(同7.6%増)となり、いずれも過去最高を更新した。
新型コロナの影響で出稿を控える動きの影響を受けた時期もあったが、第1四半期以降は復調した。
「緊急事態宣言の影響もさほど受けないようになっている」という。注力しているのは、AI活用とDX支援で、同社の強みであり、成長ドライバーになっているという。
■ゲーム事業
売上高639億8300万円(同42.7%増)、最終利益232億0900万円(同122.3%増)と過去最高を更新した。Cygamesの『ウマ娘 プリティーダービー』の貢献による。収益に貢献したのは2月24日からの1ヶ月強の数字であり、四半期ベースでフル寄与する次の四半期はさらなる伸びが見込まれる。
藤田社長は「前回の発表時が数字の谷だったが、既存タイトルの周年イベントによる復調に加えて、新作タイトル『ウマ娘』と『ニーア リィンカーネーション』が大きく貢献した」と述べた。
特に利益貢献に大きかったのは『ウマ娘』だ。「自社IPタイトルであり、(他社IPを使ったタイトルに比べて)収益性が高く、売上だけでなく、営業利益も大きく引っ張り上げてくれた」とコメントした。
ここで、Cygames取締役の近石 愛作氏が登壇し、『ウマ娘』の状況を説明した。子会社の役員が決算説明会に登壇するのは異例だ。それくらいグループにもたらしたインパクトが大きかった、ということであろう。
近石氏は、ゲーム概要を説明した後、「2016年に開始したプロジェクトで、当初は2018年にゲームをリリースする予定だったが、全体のクオリティを引き上げるために延期を決断した。この結果、自信をもって提供できる作品になった」と語った。
プロジェクト発表以降、アニメやコミカライズ、ライブなどコンテンツを提供したが、ゲームリリースに際してここで醸成したファンがゲームを始め、そして多くの競馬ファンが遊ぶようになり、ダウンロード数も大きく伸ばしている。
2月24日のリリースからわずか1週間で100万DLに達し、現在では600万ダウンロードを突破するなどユーザー数を伸ばしている。「引き続き幅広い方々にプレイしていただけるよう作品の魅力をお届けしたい」。
Cygamesとしては、同タイトルについてロングランヒットを目指しており、引き続きゲームの機能拡充を行うとともに、海外展開(韓国語と簡体字)、そしてライブイベントや番組配信、CD・グッズ販売などのゲーム外の展開に力を入れていくとした。
ここで再び藤田社長が登壇し、『ニーア リィンカーネーション』については、英語版に期待を示した。「ニーアは、もともと日本よりも海外で人気がある。今後、英語版を提供する予定で、こちらも期待できる」とコメントした。
今後のリリースタイトルは、4タイトルとなる。「約束のネバーランド~狩庭からの脱走~」についてはすでにリリースしたが、「D_CIDE TRAUMEREI」「IDOLY PRIDE」「プラオレ!SMILE PRINCESS」を2021年中にリリースする予定。
また、2022年には大型タイトル「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」を全世界でリリースする予定だ。こちらはスクウェア・エニックスとサイバーエージェントグループのアプリボットとの共同開発となる。
■メディア事業
売上高198億3100万円(同43.6%増)、営業損失34億5800万円(前年同期は42億3700万円の損失計上)だった。前四半期に比べると減収となったが、前四半期はオンラインライブのペイパービュー(PPV)が大きく伸びた反動があったものの、前年同期ではPPVと広告、月額課金、周辺事業がまんべんなく伸びているという。
ABEMAのWAU(週次アクティブユーザー数)については1200万規模に到達したが、「番組数をさらに増やしてブレークスルーさせようとしている」。
注目番組として、オリジナルドラマ「ブラックシンデレラ」や、「NiziU」の特別番組、次世代YouTuberを発掘・育成するバラエティ番組「青春動画荘」、アニメ「ウマ娘」の一挙放送などをあげた。
また、ABEMAの周辺事業については、WINTICKETが伸びているそうだ。競輪・オートレースのインターネット投票サービスで、取扱高は前年同期比9.1倍の319億円と大きく伸びている。
このほか、開局5周年を迎えるが、新型コロナ感染症の影響もあり、これまでのように短期間で集中的にやるのではなく、長期間に渡って多くの企画を展開していくという。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751