【決算レポート】マーベラス、9月中間は営業益70%増の29億円と大幅増 『ルンファク5』『牧場物語』『ポケモンメザスタ』貢献 テンセントから調達資金49億円の使途も発表

木村英彦 編集長
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マーベラス<7844>の2021年3月期の9月中間期の連結決算は、売上高128億3800万円(前年同期比36.3%増)、営業利益29億円(同70.7%増)、経常利益29億8400万円(同77.7%増)、最終利益20億7900万円(同79.2%増)と大幅増収・増益を達成した。

・売上高:128億3800万円(同36.3%増)
・営業利益:29億円(同70.7%増)
・経常利益:29億8400万円(同77.7%増)
・最終利益:20億7900万円(同79.2%増)

同社では、オンライン事業や音楽映像事業は前年実績を下回ったが、コンシューマ事業でゲームソフトのセールスやアミューズメント筐体の稼動率が好調に推移したことなどにより、全社では増収増益となった、としている。 

  

①オンライン事業
売上高は29億5500万円(同26.1%減)、セグメント利益は6億0300万円(同38.2%減)と減収減益となった。『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK』や『剣と魔法のログレス いにしえの女神』、『ブラウザ三国志』といった長期運営タイトルで、コラボ施策や周年イベントを行ったが、経年や競争環境の激化により売上が減少した。『一騎当千エクストラバースト』については、App Store・Google Play・DMM GAMES版に加え、新たにMarvelous Apps版を9月に配信開始した。



新作ゲームアプリ『千銃士:Rhodoknight』は、10月12日より、App Store、Google Playでの事前登録の受付を開始し、近日中のサービス開始に向けて最終調整を行っているという。また、既存タイトルは、今後も様々なIPとのコラボ施策を継続し、年末にかけても周年イベント等を実施するなど、売上の確保に努める。



②コンシューマ事業
売上高は79億9900万円(同105.1%増)、セグメント利益は29億4100万円(同164.7%増)と大幅増収・増益となった。本年5月に発売した『ルーンファクトリー5』や、前期に発売した『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』が堅調に推移したことに加えて、『ポケモンメザスタ』が貢献した。

トピックスとしては、『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』については、9月16日よりSteam版を発売し、全世界累計出荷本数が100万本を突破した。また、「ノーモア★ヒーローズ」シリーズ最新作となる『No MoreHeroes3』をNintendo Switch向けに8月27日に発売した。

アミューズメント部門では、新型コロナウイルスの影響を受けつつも、『ポケモンメザスタ』について9月16日より開始した「スーパータッグ2弾」が好調に推移した。一方で、海外展開中の『ポケモンガオーレ』については、感染拡大地域における一部営業自粛や営業制限といった影響を受けた。



ポーランドのゲーム開発会社EXOR Studiosが開発した『リフトブレイカー』のダウンロード版をPS5向けに、10月14日より配信を開始した。また、2019年に Nintendo Switch向けに発売した『牧場物語 再会のミネラルタウン』を新たにPS4とXBOX向けに発売する。『ルーンファクトリー5』を北米・欧州向けに2022年3月に発売する。このほか、『ポケモンメザスタ』の新弾が11月25日より順次稼動開始する予定。



③音楽映像事業
売上高は18億8400万円(同23.9%増)、セグメント利益は5700万円(同84.1%減)と増収減益となった。1月から6月に公演を実施した「舞台『刀剣乱舞』」の売上計上で増収とはなったが、緊急事態宣言の長期化の影響は大きく、利益が大幅に減少した。

TVアニメ『トロピカル~ジュ!プリキュア』、『映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』、TVアニメ『遊☆戯☆王SEVENS』等のパッケージ商品化を行った。

ステージ制作部門では、「ミュージカル『テニスの王子様』」、「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」、「ミュージカル『憂国のモリアーティ』」、「舞台『モブサイコ100』」といったシリーズ作の公演を行ったが、長期に渡った緊急事態宣言によるイベント人数規制や公演中止などが影響し、依然として厳しい状況が続いた。



音楽映像制作部門では、10月に、劇場版プリキュア最新作が公開となった。また、製作委員会に参加している TV アニメ『吸血鬼すぐ死ぬ』が10月より放送開始となった。

ステージ部門では、舞台『血界戦線』の新作公演を10月22日から11月7日までの予定で現在公演中。今後も、11月から『ワールドトリガー the Stage』、12月には、「PERSONA5the Stage」、1月には、「歌劇『桜蘭高校ホスト部』」、「ミュージカル『新テニスの王子様』」等、多数の公演を準備しているという。

舞台公演では、緊急事態宣言の解除に伴い、10月以降はチケット販売に関する規制も解除される中、今後の観客動員率の回復を期待しているが、来場者が安心して観劇できるよう、引き続き感染対策を行いながら運営を行いたい、としている。

 

■2022年3月通期の見通しを発表

続く2022年3月通期の業績については、売上高240億円(前期比6.0%減)、営業利益40億円(同9.4%減)、経常利益40億円(同12.3%減)、最終利益27億6000万円(同15.5%減)を見込む。新型コロナウイルスによる影響を合理的に算定することが困難と判断し、これまで未定としていたが、今回、各事業の進捗や各事業への影響など入手可能な情報を元に算定したとのこと。

・売上高:240億円(同6.0%減)
・営業利益:40億円(同9.4%減)
・経常利益:40億円(同12.3%減)
・最終利益:27億6000万円(同15.5%減)



計画に対する進捗率は、売上高53.5%、営業利益72.5%、経常利益74.6%、最終利益75.3%となっている。

・売上高:53.5%
・営業利益:72.5%
・経常利益:74.6%
・最終利益:75.3%

 

■テンセントからの調達資金の使途も公開

昨年5月に発表した、中国テンセントの完全子会社である Image Frame Investment(HK)との資本業務提携で調達した49億円の資金使途を公開した。同社は、これまでテンセントとの間で、資金の具体的な使い道についての協議を重ね、様々な企画やアイデアについて検討しながら、内容を詰めていたという。

資本業務提携では以下の4点の目的を掲げていた。

・既存IP(知的財産) のリッチコンテンツ化とグローバル化
・新規IPの創出に向けた大型投資
・新規事業展開のための投資
・最先端技術の習得及び活用



まず、34億円をコンシューマ向けの新規IPの創出に投じる。3タイトルのシミュレーションやアクションゲームを制作し、2022年から2023年にかけての発売を目指す。いずれも創造性に満ちた作品で、グローバルでも十分展開可能なものとしている。

また、既存IPのグローバル化に向けて、10億円を使用する。同社が保有している主力IPのグローバル強化施策を進めていく。

オンラインゲームの事業展開費用として、5億円を割り当て、今後配信を目指している有力タイトルの事業展開を強化する。また、テンセント社が持つ、サーバー技術をはじめとしたネットワーク技術や、ゲーム・アズ・ア・サービス(GaaS)のような新しい収益モデルの習得と活用を促進していく。

【新規IP投資】34億円
グローバル展開可能な新規IPの創出(コンシューマ)
■ジャンル:シミュレーション 投資額: 7億円 2022年秋 発売目標
■ジャンル:シミュレーション 投資額:16億円 2023年秋 発売目標
■ジャンル:アクション 投資額:11億円 2023年秋 発売目標

【既存IP投資】10億円
既存IPのグローバル化(コンシューマ)
■強化施策費:3.5億円 2022年秋 実施予定
■強化施策費:6.5億円 2024年春 実施予定

【事業展開費用】 5億円 有力タイトルの事業展開費用(オンライン)
■事業展開費用:5億円 2022~2023年度中 実施予定
■ネットワーク技術や新しいビジネスモデル(GaaS)等の習得及び活用



さらに、計画中のタイトルについても紹介し、グローバルターゲットのアクションゲームに25億円以上、新作RPGに15億円以上のタイトル投資も具体的検討段階に入っており、アニメ制作へも5億円以上の投資を計画しているそうだ。

このように、調達した資金に限らず、今後もテンセントからの協力も得ながら、1年に3本から4本程度のペースで、コンシューマゲームの開発を進めていく、としている。

そのほか、アミューズメントや舞台公演についても、コロナ収束からのV字回復を狙った投資を検討するなど、グローバルIPの創出や継続的な企業成長のために、今後も積極的なコンテンツ投資を行う、としている。

【新作タイトル投資】25億円以上 グローバルターゲット作品
コンシューマ ジャンル:アクション 2024年 発売目途

【新作タイトル投資】15億円以上
新作ロールプレイングゲーム ■コンシューマ ジャンル: RPG 2024年 発売目途

【TVアニメ制作投資】5億円以上
オリジナルIP
■TVアニメ 2024年 放送目途

 

株式会社マーベラス
https://www.marv.jp/

会社情報

会社名
株式会社マーベラス
設立
1997年6月
代表者
代表取締役社長 執行役員 兼 デジタルコンテンツ事業本部長 佐藤 澄宣
決算期
3月
直近業績
売上高253億4100万円、営業利益24億8800万円、経常利益29億3100万円、最終利益19億2500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7844
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