【決算レポート】バンナムHD、9月中間期は過去最高業績を達成 ゲーム苦戦もトイホビー大幅増、ライブ関連やAM関連も回復 異例の上方修正
バンダイナムコホールディングス<7832>の2022年3月期の9月中間期の連結決算は、売上高3936億4600万円(前年同期比16.8%増)、営業利益617億5100万円(同34.4%増)、経常利益641億1100万円(同35.8%増)、最終利益395億2700万円(同24.6%増)と大幅増益を達成した。売上と利益面の全てで過去最高を達成した。
・売上高:3936億4600万円(同16.8%増)
・営業利益:617億5100万円(同34.4%増)
・経常利益:641億1100万円(同35.8%増)
・最終利益:395億2700万円(同24.6%増)
ゲーム事業が減収減益となったものの、トイホビーが大きく伸びて過去最高となるなど業績拡大をけん引したほか、ライブイベント関連のビジネス楽とアミューズメントの収益が回復した。
あわせて通期の業績予想も上方修正した。同社では例年、中間期のタイミングで修正を行っていなかったが、上半期の実績を受けて修正した。
・売上高:7950億円(前回予想7500億円)
・営業利益:900億円(同750億円)
・経常利益:930億円(同760億円)
・最終利益:580億円(同520億円)
従来予想からの修正率は、売上高6.0%増、営業利益20.0%増、経常利益22.3%増、最終利益11.5%増となっている。
・売上高:6.0%増
・営業利益:20.0%増
・経常利益:22.3%増
・最終利益:11.5%増
セグメント別の状況は以下のとおり。
[デジタル事業]
売上高は1495億9700万円(同10.7%減)、セグメント利益は260億0800万円(同24.6%減)となった。家庭用ゲームソフトは堅調だったものの、スマホゲームについては「巣ごもり消費」で大きく伸びた前年には及ばなかったという。
家庭用ゲームソフトの売上高が同1.2%増の557億円だった。家庭用ゲームソフトは、『テイルズ オブ アライズ』などの新作タイトルの販売が好調だったほか、リピートタイトルも継続的な施策が奏功して好調を継続した、としている。
『テイルズ オブ アライズ』について、今期中に170万本に達する見込み。発売1か⽉で100万本を突破するなど販売が好調に推移している。
「テイルズ オブ」シリーズは、日本とアジアでの販売が中心だったが、本作については展開地域ごとにきめ細やかなマーケティングを行うことで、欧米でも支持を集めることができた、としている。
今後の大型タイトルとして、『ELDEN RING』を2022年2月に発売する。発売前より欧州のゲームイベントで多数の賞を受賞し、ゲーム業界・ゲームファンから高い評価を得ており、今期中に全世界400万本の販売を見込む。
下期においては『エルデンリング(ELDEN RING)』など大型タイトルをリリースし、国内では通期で前期比29.7%増の4500万本、アメリカでは10.6%増の1800万本、ヨーロッパでは2000万本の販売を目指す。売上も3.3%増の1220億円を計画している。
また、「ネットワークコンテンツ」の売上高は同20.2%減の863億円だった。主力タイトルが堅調だったが、好調だった前年同期には及ばなかった。下期に複数タイトルのリリースで巻き返しを狙っていく。
内訳を見ると、スマホゲームの売上高が前年同期比で20.7%減の436億円だった。ソーシャルゲームは28.6%減の10億円、PCオンラインゲームが13.6%減の19億円だった。
主力タイトルが安定的に推移し、「僕のヒーローアカデミア」の新規タイトルが好スタートをきったものの、巣ごもり需要の追い風を受けた前年には及ばなかった、としている。
同社では、「アイドルマスターSideM」の新作など、下半期に国内外で11本の新作のリリースを予定している。新作のリリースで、新規ユーザーの獲得を目指す。
ここまで主なリリースしたタイトルは以下のとおり。
・『フットサルボーイズ!!!!! ハイファイリーグ』
・『テイルズ オブ ルミナリア』
・『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚』
・『アイドルマスター SideM GROWING STARS』
[トイホビー事業]
売上高は1781億2300万円(同35.9%増)、セグメント利益は330億9200万円(同73.1%増)となった。
全てのエリア、事業において好調な実績となった。「機動戦士ガンダム」のプラモデルやコレクターズフィギュア、ロトなどのハイターゲット層向けの商品においても、巣ごもり需要で獲得した新たなファンが定着して好調に推移した。
海外では、北米や中国など重点地域でのカテゴリーや販路の拡大が業績に貢献した。国内では、「鬼滅の刃」などの新規IPを活用した商品が引き続き好調だった。
また、「ガシャポン」(カプセルトイ)がタッチポイントの拡大によって女性層等へファン層が拡大しているほか、海外向けの「デジモン」や「ドラゴンボール」のトレーディングカードゲーム、エンターテインメント性を盛り込んだ菓子商品といった玩具周辺商材も人気となった。
今後は、年間最大の年末年始商戦に向けて、国内では「仮面ライダー」や「プリキュア」などの定番IP商品、「鬼滅の刃」などの新規IP商品、自社IPの「たまごっち」などの話題商品を投入していく。
トイホビー全体では、下半期、新作アニメがスタートした「デジモン」をはじめ、複数のIPの立ち上げ、来期に向けた種まきのための費用を見込んでいる。また、輸送コストなどの増加、海外における拠点統合に伴う費用も織り込んでいる。
[映像音楽事業]
売上高は236億2700万円(同69.7%増)、セグメント利益は30億5900万円(同183.8%増)となった。映像音楽事業は、主力IPの映像・音楽パッケージソフトの販売や、海外アプリゲーム等のライセンス収入が業績に貢献した。また、ライブイベントは、制限の緩和に伴い、上半期は前年同期より多くのライブイベントを開催することができた。
ライブイベントについては、IPやファンの特性に応じてリアルと配信、EC、新技術との組み合わせで開催していく。イベントの制限は緩和するが、回数については上半期よりも減少する予定。また、ライセンス収入については、下半期は通常ベースに戻る見込み。
[クリエイション事業]
売上高は156億9600万円(同64.2%増)、セグメント利益は9億0900万円(同52.5%減)となった。『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や「ラブライブ!」シリーズ等の新作増加に伴い制作収入が増加したが、コスト先行のビジネスモデルのため、利益への貢献は限定的となった。また、ガンダムの商品化権収入が好調だったが、IPの情報発信を行う『GUNDAMFACTORY YOKOHAMA』については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。
10月より、クリエイション事業では、20か所以上に拠点が分かれていた制作スタジオを、荻窪の新スタジオに順次集約している。クリエイターが安心・安全に制作に集中できる環境をつくることで、制作力アップをはかる。
[アミューズメント事業]
売上高は390億0500万円(同60.4%増)、セグメント利益は24億4700万円(前年同期は80億2200万円のセグメント損失)となった。事業全体では、前年度末に構造改革に取り組んだ効果もあり、上半期は黒字化することができた。
緊急事態宣言の発令による影響を受けたが、国内施設の既存店売上高が「東京リベンジャーズ」などのキャンペーン効果もあり、前年同期⽐で139.1%となった。また、新型コロナウイルス感染拡大の状況が回復してきている英国や中国・⾹港のアミューズメント施設についても回復した。業務用ゲームの機器販売についても同様に回復基調にある。
下半期ではIPやガシャポンなどグループのリソースと、店舗の企画運営力をミックスしたバンダイナムコならではの展開を推進する。11月からは「鬼滅の刃」とのコラボキャンペーンもはじまっており良い出⾜。環境変化を慎重に見つつ、年末年始商戦に向けて盛り上げをはかる。なお、費用面においては、機器投資に関わる償却費等が増加する見込み。今後も国内外のコロナの動向を慎重に見ながら、引き続き効率化を推進する。
[その他事業]
売上高は136億4200万円(同18.0%増)、セグメント利益は5億8000万円(同60.4%増)となった。その他事業については、グループ各社へ向けた物流事業、その他管理業務等を行っている会社から構成されており、これらのグループサポート関連業務における効率的な運営に取り組んでいる。
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 川口 勝
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆502億1000万円、営業利益906億8200万円、経常利益1041億6400万円、最終利益1014億9300万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832