【決算レポート】サイバーエージェント藤田社長、第1四半期は「社内予算を大幅に上回る非常に良い決算」 『ウマ娘』好調で営業益2.8倍 先行投資実りABEMAやネット広告も拡大
サイバーエージェント<4751>の2022年9月期の第1四半期(2021年10~12月)の連結決算は、売上高1710億9000万円(前年同期比30.6%増)、営業利益198億0400万円(同180.6%増)、経常利益198億3600万円(同186.2%増)、最終利益60億9100万円(同107.9%増)と大幅な増収増益となった。
・売上高:1710億9000万円(同30.6%増)
・営業利益:198億0400万円(同180.6%増)
・経常利益:198億3600万円(同186.2%増)
・最終利益:60億9100万円(同107.9%増)
藤田晋社長(写真)は「業績予想を対外的に出していないが、社内予算を大幅に上回った。非常に良い決算だった」と振り返った。『ウマ娘 プリティーダービー』が業績拡大をけん引。『ウマ娘』は「一時の流行で終わることを懸念していたが、その後も高い水準で安定している」という。
『ウマ娘』ばかりが注目されるが、他の事業も伸びている。季節要因もあって売上が落ち着く傾向にあるネット広告も過去最高の売上高を更新。6四半期連続の増収となった。「ABEMA」については引き続き投資を行いつつも周辺事業が好調に推移し、売上を大きく伸ばした。
■インターネット広告事業
売上高は同14.7%増の878億円と過去最高を更新した。6四半期連続の増収だ。営業利益についても同0.7%増の57億4600万円となった。さらに6四半期連続の前四半期比で増収も達成した。
ゲームやABEMAの動きに目を奪われがちだが、ネット広告も顕著な変化が出てきた。以前は第1四半期は苦戦し、企業の予算消化が行われる3月と9月に収益の多くを稼ぐ傾向だったが、大きな変化といえよう。
同社の広告ビジネスが大きく変わったこと示しているが、AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)など、これまで実施してきたテクノロジーへの投資が成果につながりはじめていることが背景にあるそうだ。
先行投資を続けており、企業の収益拡大を目的としたDXを推進するサイバーエージェントDXや無人店舗ソリューションを手がけるCA無人店舗、オンラインイベントを運営するCA Future Eventを新たに設立。次に向けた仕込みも着々と行っている。
■ゲーム事業
売上高は同94.7%増の583億円、営業利益が同15.1倍(1405.7%増)の171億円だったと発表した。『ウマ娘 プリティーダービー』が大きく貢献した。
藤田社長は「大ヒットした『ウマ娘』が一時的な流行で終わることが最も恐れていたシナリオだったが、(ボラティリティが減り)高い水準で安定してきている」とコメントした。
次の四半期である2月には『ウマ娘』がいわゆる「周年」を迎えることになるため、再び売上と利益が大きく伸びそうだが、「長く愛されるタイトルとしてしっかり運営していきたい」と述べるにとどめた。
なお、今後の新作タイトルについては、ジークレストの新作『夢職人と忘れじの黒い妖精』を2月17日にリリースするほか、有力IPタイトルの準備を進めている。アプリボットが『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』、サムザップが『呪術廻戦 ファントムパレード』、GOOODROIDが『東京リベンジャーズ(タイトル未定)』が錚々たる顔ぶれだ。
■メディア事業
売上高は同22.4%増の249億9600万円と直近での最高を更新した。営業損益については38億4000万円の損失と前年同期の39億2600万円の損失から赤字幅が縮小した。
引き続き投資フェーズにあるものの、ABEMAの月額課金収入や広告収入が大きく伸びたことに加えて、「WINTICKET(ウインチケット)」が「グンと伸びている」(藤田晋社長)ためだ。
とりわけ「ウインチケットは、開始から2年になるが、競輪中継と組み合わせて車券販売を行なうことで大きく伸びた。市場が拡大する中、当初は0だった市場シェアがいまでは27%を占有するようになるなど驚異的な伸びを見せた。
先行投資は、伸び盛りの「ウインチケット」の広告プロモーションを積極的に行なう一方、ドラマなどのコンテンツ品質の向上にも取り組んでいる。昨今、テレビ番組の予算削減が指摘されるが、同社は制作予算を増やして独自性と品質の高いオリジナルコンテンツを増やしていく考え。
特にコンテンツの品質向上には、映画やドラマ制作を行なうBABEL LABELをグループ化したことが大きな意味を持つ。藤田晋社長は「(BABEL LABEL)の制作力は世界水準。この会社をベースにトップクリエイターを集めて世界水準のコンテンツを作っていきたい」と述べた。
■2022年9月通期の見通しは次の四半期決算で開示する可能性も
2022年9月通期の見通しは非開示。ただ、藤田社長は、次の3月中間決算の段階で2022年9月通期の業績見通しを開示できる可能性があるとの見方を示した。同社は、業績を大きく左右する『ウマ娘 プリティダービー』の業績貢献について、「経営陣ですら予測がつかない」ため、通期の業績予想を非開示としてきた経緯がある。
今回発表した四半期決算では『ウマ娘』について「安定軌道に乗る兆し」(藤田社長)が出てきたこともあり、次の四半期の推移を見極めたうえで開示するかを判断する。開示を確約したわけではないので注意してほしい。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751