【決算レポート】ブロッコリー、第3四半期は「うたプリ」や他社グッズ減収で営業赤字2500万円 円安や原価上昇、簿価切り下げも響く 「Z/X」は拡大基調続く

木村英彦 編集長
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ブロッコリー<2706>の2023年2月期 第3四半期累計(22年3月~22年11月)の連結決算は、売上高36億6300万円(前年同期比22.5%減)、営業損失2500万円(前年同期は1億3300万円の利益)、経常損失400万円(同1億5400万円の利益)、最終損失2500万円(同5900万円の利益)と減収・赤字転落となった。

 

また、第3四半期(22年9月~11月)だけの数字を見ると、売上高9億3500万円(前年同期比38.3%減)、営業損失4500万円(前年同期は1700万円の利益)、経常損失4000万円(同2400万円の利益)、最終損失2500万円(同1200万円の利益)だった。四半期売上は今期2度目の10億円割れで、直近数年では最低水準だった。

 

主力コンテンツ「うたの☆プリンスさまっ♪(うたプリ)」の関連グッズやCD、他社ライセンスグッズなどの販売が前年同期に及ばなかったことに加えて、円安や原価高騰が収益を圧迫した。また前年同期に続き物販イベント分の余剰在庫による簿価切り下げ、開発中のゲームの仕様見直しに伴う減損損失計上なども響いた。

 

  

■「うたプリ」や他社グッズの売上低下、TCGが拡大

品目別の売上高からみていくと、CDは同57.5%減の2億6200万円と大きく落ち込んだ。「劇場版うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ」の挿入歌8作品を発売したものの、「ジャックジャンヌ」関連CDや「HE☆VENS」のミニアルバムが販売好調だった前年同期に及ばなかった。

「うたプリ」関連グッズも落ち込み、同29.7%減の9億円だった。同社では、落ち込んだ要因について、夏季限定ショップ「SHINING STORE」を開催したが、高価格帯商品のラインナップ不足や新型コロナ第7波の影響で客単価が伸びなかった、と分析しているという。円安・原価高騰も利益には打撃となった。

他社グッズも同24.9%減の11億0500万円だった。他社グッズは「うたプリ」グッズと合わせて全体売上の半分以上を占めていたから、そのインパクトは大きい。他社イベントの順調な開催や「ラビットコレクション刀剣乱舞-ONLINE-」第2弾を発売したものの、『呪術廻戦』が好調だった前年に及ばなかったようだ。

ゲームも同77.9%減の7900万円だった。前年は「ジャックジャンヌ」を発売した効果があったが、今年は新作の発売がなかった。ただし、第4四半期である12月に「うたの☆プリンスさまっ♪All Star After Secret for Nintendo Switch」を発売したとのことで、今後の収益への貢献が期待される。

こうしたなか、好調ぶりが目立ったのは「Z/X」を中心とするTCGで、同43.7%増の7億3700万円と大きく伸びた。引き続き通販強化を行ったという。8月に発売した新作「Vividz(ビビッヅ)」は新たなファンの獲得、売上向上に向けて制作・営業活動に注力とのことで、収益貢献は限定的だったもよう。

 

■コンテンツ別売上構成は「うたプリ」低下、「Z/X」上昇

この結果、コンテンツ別の売上高を見ると、「うたプリ」の全体に占める比率が48.0%から43.2%に低下する一方、「Z/X」が11.8%から19.3%にシェアを伸ばした。「ジャックジャンヌ」は8.9%から3.9%となった。また、新作「Vividz」関連商品のシェアは2.2%となった。これからの貢献に期待であろう。

  

■費用は販管費抑制も原価率上昇

費用について見ていくと、売上高に対する原価の比率(原価率)が上昇した。前年同期の70.4%から72.9%に上昇した。売上低下に加えて、原価率増加も収益を圧迫した。価格改定の対応も行ったものの、カバーするには至らなかったという。

続いて販売費及び一般管理費をみていくと、12億6900万円から10億1700万円に低下した。前年同期は新規IP「ジャックジャンヌ」の発売などもあり、一時的に販促費を増やしていた。

 

■2023年8月期の業績見通し

2023年8月期の業績は、売上高58億円(前期比11.6%減)、営業利益1億円(同64.7%減)、経常利益1億3000万円(同58.4%減)、最終利益6000万円(同64.4%減)と黒字確保を見込む。10月に修正した業績予想からは変更はないとのこと。

・売上高:58億円(同11.6%減)
・営業利益:1億円(同64.7%減)
・経常利益:1億3000万円(同58.4%減)
・最終利益:6000万円(同64.4%減)
・EPS:6.86円

 

厳しい結果だったものの、こうした中でも、トレーディングカードゲーム(TCG)「Z/X -Zillions of enemy X-(Z/X)」は前年同期を大幅に上回る売上を記録するなど光明も見えた。また、苦戦していた「うたプリ」についても劇場公開に合わせて発売したグッズの効果で復調基調に入ったという。第4四半期もこの基調が続くか注目される。

株式会社ブロッコリー
http://www.broccoli.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ブロッコリー
設立
1994年3月
代表者
代表取締役社長 鈴木 恵喜
決算期
2月
直近業績
売上高65億6300万円、営業利益2億8300万円、経常利益3億1200万円、最終利益1億6800万円(2022年2月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
2706
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