【決算レポート】ゲームとXRで実績を積み重ねたユークス、23年1月期は営業益36%増を達成 『DCデュアルフォース』引っ提げ24年1月期は70%増とさらなる高みへ

木村英彦 編集長
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ユークス<4334>は、3月10日に、2023年1月期(22年2月~23年1月)の連結決算を発表するとともに、2024年1月期の業績見通しを発表した。2024年1月期も業績が大きく伸びる計画で、株式市場からの期待と評価を集めた。今回は、決算レポートとして、会社概要を振り返りつつ、決算のポイントについてまとめていく。

 

 

■ユークスの会社概要

1993年に創業した会社で、プロレスなど格闘ゲームを中心に実績を積み上げてきた。ゲームソフトやXR関連、パチンコ・パチスロ遊技機などの受託開発を行っているほか、自社でのパブリッシングも行っている。かつては新日本プロレスの親会社でもあった。

連結子会社として以下の会社がある。

 

  • YUKE'S LA Inc.
  • ファイン
  • ユークスミュージック

 

■2023年1月期は営業利益は36%増と大幅な伸びに

発表された2023年1月期の決算は、売上高42億9900万円(前の期比18.4%増)、営業利益9億4800万円(同36.3%増)、経常利益10億9200万円(同12.7%増)、最終利益8億8300万円(同4.1%減)だった。2期連続で高水準の売上・利益を達成した。

  • 売上高:42億9900万円(同18.4%増)
  • 営業利益:9億4800万円(同36.3%増)
  • 経常利益:10億9200万円(同12.7%増)
  • 最終利益:8億8300万円(同4.1%減)

 

 

■なぜ増収増益となったのか

増収増益となったが、これはゲーム事業とXR事業で受託タイトル数が増えたことで売上が伸びたことに加え、円安に伴い外貨建売上、為替差益が計上されたため。最終利益については減益だが、固定資産除却損や税負担の増加が主な要因だった。

 

 

主力のゲーム事業は拡大

事業別の売上を見ると伸びが目立つのはゲーム事業で、売上高が11.6%増の25億3600万円だった。プロレスゲーム『AEW:Fight Forever』などの開発を受託したという。THQ Nordicからの発売が決定し、2023年のリリースが予定されている。

受託開発の場合、顧客企業の都合があるため、自社で自由に開発実績を公開できないため、上場企業としてIR上、なかなか苦しいところではあるのだが、受託件数は増えたそうである。

 

これは完全に余談だが、ゲームの受託開発を行う会社が上場はじめたのは2000年代前半。当初は受託開発会社の情報開示に限界があることはあまり知られていなかったようだ。

このため、決算説明会で情報があまりに出ないので、アナリストから質問が集中し、険悪な雰囲気になったこともあったようだ。記者も上場廃止したゲームの受託開発会社の説明会で、そういう場面に遭遇したことがあった。

 

XR事業も伸び著しい

XR事業も大きく伸びている。その売上高は78.5%増の6億6400万円だった。自社技術AR Live System「ALiS ZERO」が寄与した。大型IPのモーションキャプチャー収録のほか、CGモデル・アニメーションなどの制作を担当したとのこと。以下の大型IPから受託するなど実績を着実に積み上げている。

 

  • 「あんさんぶるスターズ !!DREAM LIVE -6th Tour“Synchronic Spheres”–」(Happy Elements)
  • 「あんさんぶるスターズ!!DREAM LIVE -7th Tour “Allied Worlds”-」(Happy Elements)
  • 「Full Throttle4 LIVE 2022 “RECEPTION PARTY”」(ハニーワークス)
  • 「プロジェクトセカイ 2nd Anniversary 感謝祭」(セガ)
  • 「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 3DCG LIVE “HYPED-UP 02”」(キングレコード)
  • 「プロジェクトセカイ COLORFUL LIVE 2nd – Will -」(セガ)
  • 「Hoshimachi Suisei 2nd Solo Live “Shout in Crisis” 」(ホロライブ)
  • 「ポラピポスポ」(バンダイナムコアミューズメント)

 

 

遊技事業その他も堅調

パチンコ・パチスロ分野は、同5.5%減の7億6900万円だった。引き続き複数タイトルの画像開発プロジェクトを受託しており、開発が順調に進行したという。

その他は、同91.3%増の3億2900万円だった。自社パブリッシング案件としては、DCコミックスのキャラクターをテーマにしたオンライン・トレーディングカードゲーム『DCデュアルフォース』を制作中で、2023年夏リリース予定だ。

 

■2024年1月期も引き続き大幅な伸びを計画

2024年1月期の業績は、売上高79億2300万円(前期比84.3%増)、営業利益16億1500万円(同70.4%増)、経常利益16億2200万円(同48.5%増)、最終利益11億9200万円(同35.0%増)、EPS141.47円を見込む。

 

  • 売上高:79億2300万円(同84.3%増)
  • 営業利益:16億1500万円(同70.4%増)
  • 経常利益:16億2200万円(同48.5%増)
  • 最終利益:11億9200万円(同35.0%増)
  • EPS:141.47円

 

 

■増収増益のカギは『DCデュアルフォース』

それではなぜ大幅な増収増益を計画しているのか、最後に会社側が想定する増収増益の前提を見ていこう。

 

大幅な増収だが、かなりの部分が自社パブリッシング事業が担う。新たな事業セグメントとして、売上高32億1000万円を計画している。『DCデュアルフォース』をリリースする予定。上半期に広告宣伝費が前倒しで発生し、下半期から本格的に寄与してくる見通し。これ以外に新規タイトルの開発にも着手する予定だ。

 

また、ゲームも同12.4%増の28億5000万円と伸びを見込む。前期において開発を進めていた『AEW:Fight Forever』がTHQ Nordicより発売となる予定だ。これ以外にも複数プロジェクトが進行しているそうだ。遊技機事業も同様に7.6%増の8億2800万円と拡大する。

気になるところとしては、大きく伸びたXR事業が同7.9%減の6億1100万円と売上が低下する見通しであることだ。業況が悪化するというわけではなく、外部協力会社との協力体制の整備のほか、研究開発に人員を投入するなど、2025年1月期以降の成長に向けた投資を行うため。

  

株式会社ユークス
http://www.yukes.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ユークス
設立
1993年2月
代表者
代表取締役社長 谷口 行規
決算期
1月
直近業績
売上高40億8700万円、営業利益1億7900万円、経常利益2億8200万円、最終損益13億4900万円の赤字(2024年1月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4334
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