アピリッツ<4174>の2022年1月期 第4四半期(22年11月~23年1月)の連結決算は、売上高20億5900万円(前年同期比58.1%増)、営業利益1億6100万円(同46.0%増)、経常利益1億5700万円(同42.2%増)、最終利益3900万円(同32.7%減)だった。減損損失を計上したことで最終利益は減益となったものの、売上高と営業利益、経常利益は大幅な伸びとなった。今回は、第4四半期の状況を中心にみていこう。
■全事業が増収、オンラインゲームは営業減益に
全体としてみると、Webソリューション事業とオンラインゲーム事業、デジタル人材派遣事業の売上がいずれも拡大するなど売上が順調に伸びたことで大幅な増収を達成した。営業利益については、オンラインゲーム事業が減益となったものの、Webソリューション事業とデジタル人材派遣事業が牽引したという。
最終利益のみ減益となったが、これはオンラインゲーム事業において、『けものフレンズ3』と『アルカ・ラスト』の減損損失4000万円をこの四半期で計上したため。いずれも2年間での投資回収を行う考えだったが、期間内での回収は難しいと判断したという。
■WEBソリューション事業
・売上高:7億6100万円(同28.9%増)
・営業利益:2億4100万円(同47.9%増)
WEBソリューション事業は増収増益と順調に伸びた。DXサービスを中心に引き合いが増え、売上高が右肩上がりで伸びた。DXサービスについては、案件が大きく、単価も増加傾向にあるという。利益面では、新卒社員の戦略化が進んだことで、外注費をよく制すことができ、収益性が改善したとのこと。さらに子会社における利益改善も寄与したそうだ。
■オンラインゲーム事業
・売上高:8億4100万円(同42.2%増)
・営業利益:3300万円(同47.2%減)
オンラインゲーム事業は増収減益だった。アカツキ<3932>より、『UNI'S ON AIR(ユニゾンエアー)』の運営移管が10月1日より行われたが、第4四半期から業績にフル寄与したようだ。売上は伸びたものの、営業利益は大幅減となった。これについて、既存タイトルの原価低減が思うようにいかず、費用が高止まりしてしまったことが主な要因となった。
費用が高止まりとなっている要因のひとつとして、取得したタイトルの「のれん」の償却費負担があげられる。この四半期において、主に『けものフレンズ3』のほか、『アルカ・ラスト』の減損処理を行ったとのこと。一時的に費用が発生するものの、2024年1月期以降の償却費負担が減るため、収益性の改善には寄与することになりそうである。
なお、『けものフレンズ3』については、キャッシュの回収は完了しているものの、全社費用を加味した会計上の回収については当初設定した2年間では難しいと判断したと明かした。同社では、のれんの負担がなくなることで、今後の運営計画においては利益確保が見込めることから、『けものフレンズ3』のサービス提供を続ける、としている。
■デジタル人材育成派遣事業
・売上高:4億5600万円(同279.8%増)
・営業利益:3700万円(同130.6%増)
デジタル人材育成派遣事業は、大きく業績が拡大した。事業成長に加えて、第2四半期に買収したY'sが業績に寄与したことが主な要因だ。DX化などデジタル人材へのニーズは引き続き旺盛で、今後も伸びが見込まれるという。一部オンラインゲーム事業からの人材の異動も検討しているそうだ。
■2024年1月期も引き続き成長が見込まれる
以上、第4四半期を中心にアピリッツの業績を見てきたが、今後はどうなるのか。会社側は続く2024年1月期の業績については、売上高69億0700万円(前期比8.6%増)、営業利益5億円(同18.2%増)、経常利益5億1200万円(同22.0%増)、最終利益3億2200万円(同49.4%増)、EPS80.09円と増収増益を計画している。
DX化などデジタル化を背景に同社への引き合いは順調で、2024年1月期においてもWebソリューション事業とデジタル人材育成派遣事業を中心に引き続き成長が期待できそうだ。オンラインゲーム事業は固定費用が減ることになるが、新規タイトルの想定はしていないとのことで横ばいを見込んでいるという。
会社情報
- 会社名
- 株式会社アピリッツ
- 設立
- 2000年7月
- 代表者
- 代表取締役社長 執行役員CEO 和田 順児
- 決算期
- 1月
- 直近業績
- 売上高84億2700万円、営業利益5億9900万円、経常利益5億9600万円、最終利益3億8600万円(2024年1月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 4174