スマートフォンで本格的なRPGが楽しめる『CARAVAN STORIES』や『剣と魔法のログレス いにしえの女神』等のタイトルを開発・運営する、Aiming<3911>の第二事業部。
通称「Team CARAVAN(チーム・キャラバン)」と呼ばれる同スタジオは2021年より事業部制を導入して以降、その組織の規模は拡大。熊本県熊本市にTeamCARAVAN熊本ベースを新設(関連記事)することを明らかにしたほか、先日、グッドスマイルカンパニーの石原章弘氏とのタッグで贈る完全オリジナル新作『ストリームヒーロー!』を発表(関連記事)するなど、常に話題を提供し続けている。
今回は、『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』(カゲマス)の運営チーム(関連記事)、ゲームの仕上げを行うゲーム評価改善課(関連記事)、アート部(関連記事)に続き、TeamCARAVANのチーフエンジニア、およびエンジニアマネージャーにインタビューを敢行した。
Aiming社内での開発環境について詳しく話を聞きながら、新たなことにチャレンジし続けるための環境作りの秘訣について伺った。
課とプロジェクトの壁を超えた情報共有が生み出すシナジー
TeamCARAVANエンジニア部メンバー
Aiming 第二事業部/開発二課/課長/エンジニアマネージャー 矢嶋 利規氏(写真左)
Aiming 第二事業部/開発三課/チーフ/エンジニア 板花 健氏(写真中央)
Aiming 第二事業部/開発三課/チーフ/エンジニア 吉田 杏平氏(写真右)
──:まず初めに、簡単な自己紹介からお願いします。
矢嶋:私は、ゲーム開発歴が今年で20年くらいになります。Aimingには2011年に入社し、最初に参加したのが『幻塔戦記グリフォン』、『World of Demons – 百鬼魔道』等の開発を経て『カゲマス』のリードエンジニアを務めています。あとは、組織内のマネージャーという役職も務めていて、人材の採用や育成にも力を入れています。
板花:開発三課でエンジニアをしている板花です。業界歴は17年になります。Aimingには2021年の11月にリファラル採用制度を使用して中途入社しました。
入社してからは『カゲマス』、それから『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル(以下、ダンクロ)』といったIPタイトルの開発に携わり、現在は新規プロジェクトのリードエンジニアをさせていただいています。『カゲマス』の開発では、最初はバトルまわりのエンジニアリングということでスタートしましたが、少しずつ作業の範囲が広がっていき、リリース直前の最適化も任せていただきました。
『ダンクロ』には、各画面の改修を進めていくフェーズでアサインされました。そこでもリーダーとして指揮をとり、リリース直前の最適化まで担当しています。入社してからまだ2年と経っていませんが、重要なポジションにつかせてもらって、良い経験が積めています。
吉田:Aimingには2019年に新卒で入社しました。その後、半年ほどエンジニア総合職として研修を受けています。元々プログラムの勉強はしていましたが、ゲーム制作についての知識や経験がなかったので、その研修でゲーム制作について学ばせていただきました。
それから『キャラバンストーリーズ』に参加し、『キャラスト魔法学園』、『カゲマス』、『ダンクロ』と色々なプロジェクトを渡り歩いていき、今は新規プロジェクトのリードエンジニアをやらせていただいています。最近は、課金やログインフローに関わる社内システムの組み込みや整備といった、重要な業務もやらせていただいています。
──色々なパートを担当されているようですが、エンジニア部はどういった体制で動いているのでしょうか?
矢嶋:エンジニア部は1課から3課までありまして、課内は同じプロジェクトで動いていることは多いですが、経験が浅い人やアサインされたばかりの人の面倒を見たり相談に乗ったりしています。
──:皆さんをみていると横の動きやつながりが盛んに見えますが、実際に皆さんはどう感じていますか。
板花:所属する課が違っていたり、違うプロジェクトを担当していても、役立つ情報の共有は常に行われていますね。情報が壁無く入ってくるので、部が一体となって多くのプロジェクトを担当している感覚です。
──:プロジェクトの壁を取り払うために気を付けるべきことは何だとお考えですか?
板花:入社したばかりでもスタッフのコミュニケーションに壁が無いことをすぐに感じることができます。気軽にランチに誘っていただいて仲良くなると、直接関係しないプロジェクトの人だったり、違う課の人だったり。単純な答えですが、誰とでも遠慮なく会話できる環境が壁をなくすためには大切なのだと思います。
──:矢嶋さんはそういった壁を取り払うための取り組みを長らくされてきたんですか?
矢嶋:Aimingは、元々フラットな組織で、その流れがずっと続いているのだと思っています。
吉田:事業部制になってから、役職が細分化されてきていますけど、分けられる前と変わらず相談しやすい環境というか、話しやすい距離感が保たれているなと感じています。話しやすい環境が元々あったというのは大きいでしょうね。
──:他にエンジニア部ならではだなと思うような特徴とかはありますか?
板花:他のプロジェクトでも使えるようなフレームワークの作成に取り組んでいるというところでしょうか。技術的、業務的な部分で接点ができていて、半強制的にコミュニケ―ションしなければならない環境が自然とできあがっているのは特徴ではないでしょうか。
──:プロジェクトという枠を超えた交流の起点になるんですね。
板花:新規プロジェクトが立ち上がる際にも、同じフレームワークを使いながらちょっとずつ独自に進化させていくんです。そのアップデート内容をまた他のプロジェクトとも共有して、フレームワークを成長させていきます。特にリードエンジニア間ではそういった情報共有が活発に行われています。
「やりたいことに挑戦できる」が高めるモチベーション
──:どうしても規模が大きくなるに連れて情報共有が難しくなっていくもので、それを今も活発にされているというのはAimingさんの強みなのかなと聞いていて感じました。その他にエンジニアとしてチャレンジしていることはありますか?
吉田:最近は研究開発に力を入れられるようになってきています。今後、どんな風に作っていきたいかというビジョンはあったとしても、商品開発を優先しなければならない事情があって研究開発は後回しになっていたのですが、徐々に取り組めるようになってきました。成果もあがってきていて、運営中のタイトルついても改善効果が見られています。
──:今後の課題や伸びしろになると思っている部分はありますか?
矢嶋:社員の教育とベテランの採用が大きな課題になると思います。開発力やノウハウを蓄積していくためには、社員を増やして自社内で回せるようにする必要があると感じています。
──:教育面の取り組みについても具体的なお話を聞かせてください。
吉田:僕はゲーム開発の経験がなかったということで、通常の新卒研修だけでなく、半年ぐらい時間をかけてゲーム制作について学ばせていただきました。
総合職で入社された方が他にいなかったこともあって、研修をひとりで受ける形になりましたが、先輩の方々が普段の業務で忙しいなかで時間を割いて質問に答えてくれたのは嬉しかったです。
研修が終わったあとは、運用中のタイトルに配属されて、現場での業務を学ばせてもらいました。そこで色々な経験を積みながらも、数年で新規タイトルのリードエンジニアを任せてもらえるまでになりました。
──:先輩からのフォローが手厚いですね。新規のエンジニア獲得についても、やはり難易度が高くなっているのでしょうか?
矢嶋:幸いなことに応募は結構な数がきていますね。採用担当の人から書類を見るのが大変だと言われました(笑)。ただ、新規の人が増えていくのであれば、より教育面の強化が課題になっていきます。
──:中途入社という点では、板花さんが入社してから2年ですが、Aimingについて感じたことは何でしたか?
板花:一番強く感じているのは、提案や相談が簡単にできることです。先ほども言ったように、課だったりプロジェクトをまたいでコミュニケーションが取れるので、自身のグループだけで解決しづらい問題の解決策をエンジニア部全体から得られるのが大きいです。そういったところから自分で動きやすい流れができあがっていくので、相談だけでなく提案もしやすくなります。
──:第2事業部の皆様からの良いところといいますか、特徴的だなと思う部分ってあったりされます?
板花:先ほどお話したのは中途採用だった自分のケースですが、提案をして自分から動いていくうちにやりたいことをやらせてもらったり、リードエンジニアに抜擢されたりといった話は、新卒の方でも変わらないという点が良いところだと思っています。実際、吉田さんがそのケースに当たりますしね。
吉田:色々なことが重なった結果ではありましたが、元々自分からやりたいことを発信していくタイプではあったので、それが実を結んだのかもしれません。こちらがやりたいことをしっかりと聞いてくれますし、何がしたいのかを把握しておいてもらうことで、上の人が仕事を振る際に「そういえば、彼がそんなことをやりたいと言っていたな」と思い出してもらえるようになるんです。そういう流れを作りやすい環境なんだと思います。
──:マネージャー目線でもそういう環境作りには気を遣われているんですか?
矢嶋:発言しやすい空気感は意識しています。自分がやりたいことをやってもらうのが一番パフォーマンスが出ると思うので、そういう発言をしやすい環境にしたいと考えています。
第二事業部では事業部会というものが3カ月に1回あるんですが、開発中の全てのプロジェクトの情報共有はもちろん、新しく始める予定のプロジェクトについても社員に共有しています。興味のあるプロジェクトの担当になりたいとか意思表示さえしてくれれば、それを最大限くみ取るようにしています。
求めるのはやりたいことを言語化する熱意ある人材
──:皆さんの今後の目標についても聞かせていただけますか。
板花:現在は新しいプロジェクトを任せていただいているので、そのプロジェクトをリードエンジニアとして成功に導きたいと考えています。その中で、教育面でも次のリーダーを育てるという責務を全うしていきたいと思います。
吉田:僕は、元々が作業者みたいなタイプで、決められた仕事をこなしていくというタイプなんですが、今回新しいプロジェクトのリードエンジニアを任せていただいて、人を管理する側に回ったので、皆が働きやすくて意見を言いやすい環境を作っていき、皆がやりたいことがしっかりと見えるようにしていきたいというのがひとつの目標ですね。
矢嶋:エンジニアにも結構色々な性格の人がいて、仕事をバリバリやりたいという人もいれば、仕事はそれなりにやって趣味の開発に時間を使いたいという人もいます。スキル的にもサーバーとかインフラ周りからクライアント側のことまでスキルセットがバラバラです。
なので、皆がベストパフォーマンスを発揮できるような場所を割り振って、組織として成長させたいと考えています。そのためにもそれぞれの特性を理解して、フィットするような環境を与えていきたいです。
──:採用面についてもお話を伺いたいのですが、理想となる人物像はありますか?
吉田:ゲーム開発経験があると嬉しいんですけれども、僕みたいにゲーム開発自体が未経験でも入社すること自体はできます。日々の業務から知識と経験を積み上げて成長していけると思わせてくれることが大事だと思います。そういう意欲的な人が来てくれたら嬉しいです。スキルセットよりは色々なことにチャレンジする姿勢を持っていてほしいですね。
板花:ゲームの仕様考案や演出内容とか、幅広く関わっていきたいという熱意がある方だと嬉しいです。中途採用で熱意のある方に是非来ていただきたいです。
矢嶋:現在、第二事業部はベテランの人が少なく、比較的若い部門になっています。教育に力を入れていますが、教える側の人も増やしていきたいと考えています。なので、ベテランの方が入ってきてくれれば助かります。
──:最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。
矢嶋:私からは『カゲマス』の新コンテンツについてお話させてください。『カゲマス』は現在、「シークレットガーデン」という内政コンテンツのアップデートを予定しています。
七影メンバーがひとつの拠点を成長させていくコンテンツで、10月から始まるアニメ第2期に合わせて新しく始めていただくユーザーさんでも、同じように成長体験を経験できるようなコンテンツになっています。長期的にゆっくり遊びながら、育成に必要なアイテムも集められるので、ぜひこの機会に手に取ってみてください。
吉田:エンジニアの新卒採用は通常通り行なっています。先ほどから少し話題には挙げていますが、プログラミングの経験さえあればゲーム開発の経験が薄くても開発者になれるエンジニア総合職の募集もやっています。
近年はゲームの専門学校からゲーム開発者になる方が多いんですけど、それ以外の方でも意欲があればチャンスはあります。そういったルートを用意している会社はなかなかありませんので、興味がある人にはぜひAimingで挑戦してみてほしいと思っています。
板花:同じ中途採用だった方と話をしていると、一度他の会社に行ってからAimingに戻ってきた方が結構多いんです。そういった方の話を聞きながら、戻ってきたいと思う環境なんだなと感じています。
そういう会社にはなかなか出会えませんよね。なので、中途採用の方でも安心して働きやすい環境になっていると思います。興味のある方はぜひAiming、そしてTeam CARAVANに来ていただきたいなと思います。
──:ありがとうございました。
次回予告
次回は熊本のサテライトオフィスの取り組みについてお届けする予定なので、お楽しみに!
会社情報
- 会社名
- 株式会社Aiming
- 設立
- 2011年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 椎葉 忠志
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高181億9900万円、営業損益13億900万円の赤字、経常損益11億円の赤字、最終損益22億2700万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3911