スマートフォンアプリ市場は、日々新作ゲームがリリースされる。その一方で、様々な事情により惜しまれつつサービスが終了してしまうゲームも少なくはない。
gamebizでもサービス終了に関する記事(関連情報)を取り上げている。
それら記事を読み、「あと数ヵ月後に終わるのか…」と思うが、サービス終了発表~サービス終了当日までの期間、そのゲームについて追ってはいなかった。
そこでgamebizでは、それらゲームのサービスが終了する瞬間に立ち会って、ゲーム内でどのような事が起こったのかを伝える「サービス終了、その瞬間」を展開している。
今回は、2025年2月27日18時をもってサービス終了となった、マイネットゲームスの『ひぐらしのなく頃に 命』(以下、『ひぐらし命』)をピックアップする。
◆マイネットゲームス『ひぐらし命』(Since 2020 to 2025)
まずは『ひぐらし命』の概要について。
本作は、竜騎士07先生原作の人気作品「ひぐらしのなく頃に」を原作としたスマートフォン向けゲームアプリ。2020年9月3日にディ・テクノがサービスを開始しており、2022年12月16日にマイネットゲームスへと運営権が移管されていた。
なお、サービス開始から約4年半でのサービス終了となった。
◆タイトル発表からサービス終了までの歴史を振り返る
続いて、『ひぐらし命』発表からの歴史を振り返っていこう。
2020年7月31日、ディ・テクノが『ひぐらしのなく頃に 命』のティザーサイトを公開し、あわせて事前登録を開始した。
ティザーサイトでは、『ひぐらし命』のあらすじや登場キャラクター、PV、楽曲「フラストレーション」の歌唱を担当する彩音さんと、バトルBGMの制作を担当する桜庭統さんのコメントなど、リリースに向けてファンが期待するコンテンツを掲載していった。
ティザーサイト公開から1ヵ月後の2020年8月31日には、App StoreとGoogle Playでの事前登録を開始するとともに、リリース日が9月3日に決定したことを発表した。
リリース前日の2020年9月2日、App Storeは事前ダウンロードが可能となっていたが、Google Playはストア反映の遅れが発生。(関連記事)
それでも予定どおり、2020年9月3日に『ひぐらし命』は正式サービスを開始した。なお、事前登録者数については10万人を突破していた。
初動こそサーバーの負荷の高まりからサーバー増強のための緊急メンテナンスを要していたものの、リリースから4日後の2020年9月7日9時時点のApp Storeの売上ランキング(ゲームカテゴリー)では50位とトップ50圏内に。Google Playでも2020年9月12日時点で54位にランクインした。
2020年9月25日には、ユーザー数が20万人を突破したことを発表。そこからゲーム内イベント開催に合わせたピックアップガチャの実施、新コンテンツ「秘境探検」「部活遠征」などの実装、そしてクリスマスや正月、節分、バレンタイン、ひな祭りと、その季節に合わせた施策を展開。さまざまな仕掛けでユーザーを楽しませていった。
▲2020年12月11日、『ひぐらし命』TVCM放映を開始を記念して全ユーザーに鬼石1500個がプレゼントされた。
▲『ひぐらし命』初の生放送が2021年2月9日に配信された。
また、OVA『ひぐらしのなく頃に煌』や「サンリオキャラクターズ」「戦姫絶唱シンフォギアXD」『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』『CLANNAD(クラナド)』『うみねこのなく頃に』『Kanon』『閃乱カグラ』など、『ひぐらし命』では様々な作品とのコラボも開催された。
▲漫画コラボでは、コミカライズ版「ひぐらしのなく頃に 業」の赤瀬とまと先生描き下ろしの新限定カードが登場した。
▲こちらは漫画コラボより、コミカライズ版「ひぐらしのなく頃に 鬼曝し編」の鬼頭えん先生描き下ろしの新限定カード。
『ひぐらし命』の歴史の中でターニングポイントの一つと言えば、2022年12月16日に発表された、マイネットゲームスがディ・テクノより本作の運営権を取得したこと、だろう。
当時の記事によると、『ひぐらし命』は、2021年6月1日よりマイネットゲームスが運営受託を行っており、今回、1年以上にわたって安定的に運営したことが評価され、今回の決定に至った、としている。(関連記事)
その後、『ひぐらし命』はマイネットゲームスにより、引き続きファンを満足させるよう運営を行っていったが、2025年1月17日に、本作のサービスが2025年2月27日18時をもって終了することが発表されたのだった。
◆1週間前からプレイ…有終の美(サ終)を見届ける
『ひぐらし命』の発表からサービス終了決定までの流れをお届けしたところで、ここからはサービス終了1週間前の2025年2月21日からログインしたプレイ記録をダイジェストでお届けする。
その前に、知ったかぶりしたところでメッキはすぐに剥がれるので正直にお話すると、筆者は『ひぐらし命』の原作である「ひぐらしのなく頃に」及びそのシリーズ作品を通ってこなかった。
とは言え、「ひぐらしのなく頃に」が同人ゲームとして発売された2002年は筆者も新米ながらゲームメディアの編集者として働いていたので、作品の存在自体知ってはいた。
プレイステーション2~4、ニンテンドーDS、PlayStation Vita、Nintendo Switchと家庭用でゲームタイトルが発売されたし、小説や小説、アニメ、実写作品などなど、メディアミックスも半端ない。
「ひぐらしのなく頃に」は大人気作品。これはもう誰もが認めるところで、異論もないだろう。
それなのに「ひぐらしのなく頃に」を通ってこなかった筆者が、「ひぐらしのなく頃に」の“ひ”の字も知らない筆者が、『ひぐらし命』について語るんじゃない。そうファンの皆様は思われるだろうが、もうおっしゃる通りで。
でも、『ひぐらし命』は原作を知らない人でも楽しめるゲームだってどこかで見たので、それを心の拠り所にしてプレイしたよ。皆様、今回は生暖かい目で見てくださいまし。
まずは、いつものように社用スマホからアプリをインストールしてゲームデータをダウンロード。出先だったのでWi-Fi未接続で実行したらば。
「通信量が●●GBを超えたため追加料金発生です。以降、1.00GB毎に課金されます」
だってさ。なかなかどうして、幸先の悪いスタートだ。“新たな惨劇”に挑む筆者に幸あれ! 追加料金にビクつきつつ、ゲームプレイを開始した。
▲最初に引くことができたガチャで、【神秘のシスター】古手羽入さんがお目見えしたよ。
▲ログインなどでもらった鬼石やチケットも早々に使って、戦えるメンバーを獲得。【赤鼻トナカイ】公由一穂ちゃん、可愛いよ。
SSRのキャラも数名確保できたところで、ストーリーを進めるためのメインクエストや、経験値アイテムが入手できるクエストなどをチクチクと進めていった。
しかしなんだ。これまで関連作品に触れてこなかったにせよ、筆者も何となく「ひぐらしのなく頃に」がミステリーのような、ホラーのような雰囲気を醸し出していることは感じていたけど、なかなかどうしてスゴイ内容なのね。おじさん、ビックリしちゃって、夜中トイレに行けなくなりそうだよ。
▲この人(北条鉄平)、ものすごく怖いんですけど……。
▲ものすごく怖いけど、惹かれるものがあったからホーム画面に設定しちゃったよ。
そんなこんなで「ひぐらしのなく頃に」素人なりに1週間プレイをして、ついに迎えたサービス終了当日。筆者は終了1時間前に最終ログインを果たした。
そう言えば、『ひぐらし命』ではクエストに挑む際に、ほかのプレイヤーさんのキャラクターをサポートとして使用することができ、クリアー後にフォローすることができた。
1週間プレイしてみたが、最終ログインが数時間前や数日前のプレイヤーさんもいれば、数十日前、数百日前というプレイヤーさんもいた。肌感覚でいうと、3体7、いや4対6くらいかしら。
で、サ終当日、これまでフォローしたプレイヤーさんの最終ログインを確認してみたところ、ほとんどの方が数時間前に『ひぐらし命』とお別れしていたことがわかった。
▲そういえば途中、通信エラーが発生したけれど、多くのプレイヤーがログインしていたからなのだろうか? 真相はわからない。
『ひぐらし命』には部活というプレイヤー同士のコミュニティがある。筆者はこのサ終記事を書くためにゲームをプレイ する際、なるべくチームだったりグループだったり、そういったコミュニティには入らないようにしている、というのは以前の記事でも少し話したと思う(関連記事)。
しかしながら、今回はどうしてもサ終当日にどれだけのプレイヤーさんがログインしているのかを知りたくて、とある部活に入部させてもらうことにした。入部する前に、「ひぐらしのなく頃に」について疎いこと、仕事とは言え興味本位でコミュニティを覗くようなことをして申し訳ない、という意味を込めてプロフィールの称号を変更しておいた。
▲スカイ●イの名セリフ「ありがとう! そしてありがとう!」のネガティブ版とも言える称号が爆誕。
準備が整ったところで、部活検索をして自由入部制を条件にしている部活に入部させてもらった。
部員の方々の最後の会話は2時間前のようだ。サービス終了まで残り30分ほどとなったが、果たして誰か反応してくれるのだろうか。しばらく待ってみると…。
おお、スタンプで反応してくれた。ありがとう!そしてありがとう!この部活の皆さんは『ひぐらし命』の最後を見届けるべくログイン中のようだ。
筆者も挨拶のスタンプを送りつつ、サービス終了の瞬間までこちらの部活のコミュニティの様子を見届けた。
そして終了直前に最後のスタンプを送ろうとしたところで…。
こうして、『ひぐらし命』は約4年半の歴史に幕を下ろしたのだった。
▲サービス終了後の公式X(Twitter)。
©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会
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