【決算まとめ①】ゲーム関連企業の25年4～6月期決算は集計対象36社中の24社が営業減益に　TCGやライブが業績けん引したブシロード　バンダイナムコHDは運用型ゲームが貢献

主要モバイルゲーム企業の2025年4～6月期の決算を振り返りたい。今回の集計データでは、前四半期に4社まで減少した営業赤字計上企業が10社と再び2ケタ台まで増加した。

前四半期の減少が一過性のものなのか、今回の増加が一過性のものなのか、次の四半期の状況が気になるところだ。

また、6月5日に発売となった任天堂<7974>の新ハードウェア「Nintendo Switch 2」は、発売後7週間で全世界累計のセルスルーが600万台を突破するなど好調なスタートを切っている。

まずはローンチ初期段階ということで、ハードウェアがある程度普及する段階まではソフトウェアの販売のピークは来ないものと思われるが、多くの企業・タイトルが「Switch 2」対応のアナウンスを出し始めている。そうなると、まずは受託開発のような業態への恩恵が広がっていくことが予想されそうだ。

さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では4～6月期の決算シーズンの主要ゲーム関連企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>などの決算は既に次の四半期の決算発表が始まっているが2～4月期の数字を使用している。

■好調が目立ったブシロード　バンダイナムコHDは運用型ゲームが貢献

この四半期に四半期推移（QonQ）での増収企業で目立ったのはブシロードだろう。エンタメ事業のTCGユニットとライブエンタメユニット、MDユニットが通期でも過去最高の売上高を記録するなど好調だったが、特に第4四半期期間（4～6月）の伸びが顕著だったと言えるだろう。

また、バンダイナムコHD<7832>は利益の伸びが目立つ結果となった。家庭用大手ゲーム会社はクリスマス商戦などもあって、新作の投入が下半期になることが多く、この第1四半期期間（4～6月）は低調な数字となる企業も多いが、『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』など運用型ゲームが貢献したこともあり、高い収益性を確保したもようだ。

半面、売上の減少が目立ったのは、まさにその新作の投入が下半期にという点が顕著に現れたコーエーテクモHD<3635>とカプコン<9697>だ。コーエーテクモHDは『真・三國無双 ORIGINS』、カプコンは『モンスターハンターワイルズ』とミリオン級のタイトルが前年度の第4四半期業績を押し上げており、その反動減がQonQではくっきりと出ている状況だ。

■集計対象企業36社中の24社が営業減益に　

この四半期決算では、集計対象企業36社中の13社が増収、23社が減収となり、減収の企業が多かった。一方で営業利益については、11社が増益（赤字幅の縮小を含む）、24社が減益（1社横ばい）と減益の企業が多数を占めた。

前述のとおり、営業赤字を計上した企業も10社と増えており、収益性の悪化が数字から見てとれる。

なお、36社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる（並びはコード順）。なお、利益横ばいのテンダは便宜上、増益扱いでカウントしている。

増収増益…ボルテージ<3639>、エイチームHD<3662>、モバイルファクトリー<3912>、テンダ<4198>、東京通信グループ<7359>、ブシロード<7803>、バンダイナムコHD<7832>
増収減益…ネクソン<3659>、アエリア<3758>、ケイブ<3760>、ガンホー<3765>、ドリコム<3793>、マーベラス<7844>
減収増益…ディー・エヌ・エー（DeNA）<2432>、バンク・オブ・イノベーション（BOI）<4393>、サイバーエージェント<4751>、コナミグループ<9766>、スクエニHD<9684>
減収減益…MIXI<2121>、グリー<3632>、コーエーテクモHD<3635>、KLab<3656>、enish<3667>、コロプラ<3668>、オルトプラス<3672>、gumi<3903>、カヤック<3904>、Aiming<3911>、マイネット<3928>、アカツキ<3932>、アピリッツ<4174>、coly<4175>、ワンダープラネット<4199>、イマジニア<4644>、セガサミーHD<6460>、カプコン<9697>