【クリエイターの広報術:番外編(2)】恐ろしく使いづらいと感じるプレスリリース…受け取っても困ってしまうケースを紹介https://gamebiz.jp/news/426208

木村英彦 取締役 編集長
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企業やPR担当者から日々届くプレスリリース。その中には、テキストとしてコピーできない形式のものが、一定数混ざっている。

具体的には、以下のようなケースだ。

・PDF内のテキストが画像化されている
・メール本文が画像のみで構成されている
・Webページ上でコピー制限がかかっている
・改行やレイアウトが崩れていて実質的に使えない

一見すると些細な問題に思えるが、メディア運営の現場では、これが無視できない負担になる。

 

■「読める」と「使える」は別物

プレスリリースは「読めればいい」と思われがちだが、メディア側にとって重要なのは「すぐ使えるかどうか」だ。

記事制作では、以下のような作業が日常的に発生する。

・タイトル・リードの引用
・数値や固有名詞の正確な転記
・文章の一部をベースに再構成

このとき、テキストがコピーできないと、すべて手入力になる。当然ながら、これは時間もかかるうえに、入力・変換ミスのリスクも高まる。結果として何が起きるかというと、シンプルに「後回し」にされる。掲載されないまま削除されてしまうこともある。

 

■優先順位は、確実に下がる

メディア側には、日々大量のリリースが届く。その中で記事化の優先順位を決める際、以下の要素が影響する。

・情報の新規性
・話題性
・読者との相性
・そして「扱いやすさ」

コピペできないリリースは、この最後の「扱いやすさ」で不利になる。

・内容が良くても、
・手間がかかる
・ミスのリスクがある
・スピードが落ちる

といった理由から、結果的に掲載機会を逃すケースも珍しくない。

 

■なぜこの問題が起きるのか

背景にはいくつかの要因がある。

・デザイン重視で画像化してしまう
・社内フォーマットが古いまま運用されている
・外部ツールで生成したPDFの設定不備
・コピー防止を意図した制限

ただし、いずれもメディア側から見ると「理由は関係ない」というのが正直なところ。扱いづらい時点で、評価は下がってしまう。

 

■パワポ製リリースは意外と扱いづらい

最近では、PowerPointやデザインツールで制作されたプレスリリースも少なくない。誰もが知る大手メーカーでもこの形式で送ってくることがある。視覚的には整って見える一方で、メディア側からすると扱いにくいケースが少なくない。

特に扱いに困るのが、テキストボックスを多用したレイアウトだ。PDF化すると、

・コピー時に文章順が崩れる
・段組みの途中で文が飛ぶ
・改行位置がおかしくなる
・文字が分断される

といった現象が発生する。

結果として、文章を正常に引用できず、手作業で整形し直す必要が出てくる。

もちろん、イベント案内やビジュアル訴求ではデザイン性も重要だ。ただ、少なくとも本文テキストについては、別途コピー可能な状態で提供してもらえると、メディア側としては非常に助かる。

「綺麗に見えること」と「扱いやすいこと」は、必ずしも一致しない。

 

■最低限、ここは押さえてほしい

改善は難しくない。最低限、以下を満たすだけで大きく変わる。

・テキストはコピー可能な形式で提供する
・メール本文にも全文を掲載する
・PDFはテキストデータとして埋め込む(画像化しない)
・公式サイトにも同内容を掲載する

これだけで、メディア側の負担は大きく軽減される。

 

■プレスリリースは「素材」である

プレスリリースは完成品ではなく、メディアにとっては「記事の素材」。その素材が扱いにくい場合、どれだけ中身が良くても活用されにくくなる。逆に言えば、

・コピーしやすい
・構造が整理されている
・必要な情報がすぎる拾える

こうしたリリースは、それだけで掲載確率が上がる。

 

■小さな配慮が大きな差になる

テキストがコピーできるかどうかは、技術的には些細なポイント。しかし、実務の現場ではその差がそのまま「掲載されるかどうか」に直結する。プレスリリースの目的が「伝えること」だけでなく、「取り上げてもらうこと」である以上、こうした基本的な配慮は無視できない。ほんの少しの改善で、機会損失は確実に減らせる。