【クリエイターの広報術:番外編(3)】クラウドストレージのアクセス権限、正しく設定できていますか? 広報慣れしてない開発者が陥る意外な落とし穴

木村英彦 取締役 編集長
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ゲーム業界のプレスリリースで意外と多いのは、“共有設定ミス"問題だ。ゲーム業界のプレスリリースでは近年、GoogleドライブやDropbox、OneDriveなどのクラウドストレージを使って画像素材や動画、ロゴデータ、試遊コードなどを共有するケースが増えている。

一方で、メディア側として非常に困るのが、「アクセス権限の設定ミス」である。メールには「素材はこちら」とURLが貼られているものの、実際に開いてみると、「アクセス権が必要です」や「このファイルを表示する権限がありません」と表示され、何も見られないことが少なくない。

送信側は自分の環境では開けるため気付きにくいが、受け取ったメディア側からはアクセス不能になっているケースは意外なほど多いのである。

 

■「掲載されない」のではなく「開けない」

こうしたケースで厄介なのは、送信側が原因に気付きにくいことだ。広報担当者や個人開発者からすると、「内容が弱かったのかもしれない」「興味を持ってもらえなかった」「タイミングが悪かったのでは」と考えてしまい、同じリリースを何度も送り直すこともある。

しかし実際には、「素材にアクセスできず、確認できなかった」だけというケースも少なくないのである。特にゲームメディアでは、記事化にあたってスクリーンショットやロゴ、PV確認が前提になることが多いため、素材が見られない時点で作業そのものが止まってしまうのだ。

 

■メディアは“待ってくれない"

ここは、広報慣れしていない個人開発者や小規模チームほど見えづらい部分かもしれない。ニュースメディア、とくにゲームメディアには毎日、新作発表やアップデート、セール、キャンペーン、イベント、トレーラー公開、インタビュー案内など、大量の処理しきれないほどの情報が流れ込んでくる。

そのため、ファイルを開いた際に「アクセス権限をリクエスト」と表示された時点で、確認作業が止まってしまうのである。

もちろん理想を言えば、メディア側も「アクセスできませんでした」と返信するべきなのかもしれないが、現実にはすべてのリリースへ個別対応するのは難しい。多忙なときは「後にしよう」とそのまま掲載されずに終わってしまったり、「今回は見送るか」となったりしてしまう。

送信側から見ると“無視された"ように見える一方、受信側では単純に“確認不能"になっているだけ、というすれ違いが起きているのである。

 

■「あとで許可を出せばいい」は危険

特に危険なのが、「必要ならアクセス申請してもらえばいい」と考えてしまうことだ。実際には、Googleアカウントでのログイン要求や承認待ち、担当者不在、深夜・休日対応、あるいはフォルダだけ見えて中身が開けないなど、ちょっとした手間で記事化タイミングを逃すことがある。

ニュースは止まらない。ひとつのリリースで手が止まっている間にも、新しい情報が次々と届くのである。そのため、「開けなかった」は実質的には「素材が存在しなかった」のに近い感覚で受け止められてしまうことも少なくないのである。

 

■送信前に“第三者視点"で確認を

もっとも簡単な対策は、送る前に、シークレットウィンドウで開く、ログアウト状態で確認する、別アカウントで試す、ブラウザが複数あれば普段使わないブラウザでアクセスしてみる、スマートフォンから開いてみるなど、自分以外でも本当に開けるか確認することである。これだけでもミスは防げるのだ。

Googleドライブであれば、記事用素材については基本的に「リンクを知っている全員が閲覧可能」になっているかを確認したい。

もちろん、レビューコードや機密資料など制限をかけるべきケースもあるが、画像素材やロゴ、PVまで閉じてしまうと、本来得られるはずだった露出機会を失いかねないのである。

 

■「送った」ではなく「見られる」が重要

プレスリリースは、送信した時点で終わりではない。メディアがスムーズに素材へアクセスでき、すぐ記事制作に入ることができる状態を整えることも、広報活動の重要な一部だ。

せっかく魅力的なゲームや発表内容を用意していても、「アクセスできなかった」という単純な理由だけで記事化機会を逃してしまうのは、あまりにももったいないことである。

クラウド共有が当たり前になった今だからこそ、“アクセス権限"もまたプレスリリース品質のひとつとして見直す必要があるのだ。