テレビ朝日HD、シンエイ動画について「ドラえもん」「クレしん」海外展開強化と新規IP開発、制作体制の強化を軸に中長期成長を目指す

木村英彦 取締役 編集長
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テレビ朝日ホールディングス<9409>は、2026年3月期の決算説明会の質疑応答で、傘下のアニメーション制作/製作会社のシンエイ動画について、主力IPの海外展開強化と新規作品開発、制作体制の強化を軸に中長期成長を目指していることを明らかにした。

同社は、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」といった看板作品について、引き続き海外展開と劇場版展開を積極的に推進する方針を説明。長年にわたりアジアを中心に高い人気を持つ両IPを成長ドライバーとして位置づけている。

加えて、新規アニメ作品の育成にも注力する。若手クリエイターを中心とした“トライ作品”を複数進めているといい、これらについても将来的なグローバル展開を視野に入れているという。

また、同社は新規IP育成にも取り組んでいる。「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」の大ヒットが記憶に新しいが、「コウペンちゃん」や「ポップパップポルターズ」などショートアニメ作品も手掛けており、SNSや動画配信サービス時代を意識した新たなアニメ展開にも注力している。

さらに、映画「君と花火と約束と」では幹事会社を務めており、制作受託にとどまらない企画・プロデュース領域への関与も強めている。長寿IP運営に加え、新規IP創出や製作主導機能の強化も含めた事業拡張を進めている格好だ。

シンエイ動画は近年、既存IP依存から一歩進み、新たなクリエイター育成やオリジナル企画の開発にも取り組んでいる。今回の発言からは、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」という長寿IPを基盤としつつ、次世代タイトル創出も並行して進める姿勢がうかがえる。

また、制作体制強化についても言及した。同社では次世代クリエイター育成を重要テーマとして掲げており、中長期視点で制作力の底上げを進めているという。アニメ業界では制作人材不足が深刻化する中、育成投資を継続することで安定した制作ライン確保を狙う。

さらに、AIやDXの活用にも触れた。現時点では「補助的な部分」としながらも、将来的には制作現場への導入可能性を探っていく考えを示した。アニメ業界では制作工程の効率化や作画支援などを目的としたAI活用が広がり始めており、シンエイ動画もこうした流れを視野に入れているとみられる。

一方、シンエイ動画は、テレビ局系のアニメスタジオとしては珍しく、安定的に利益を確保している会社としても知られる。背景には、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」という長寿IPを軸に、テレビ放送だけでなく、劇場版、海外展開、配信、商品化など多面的な収益基盤を構築していることがある。

 

特に両作品は、ファミリー層を中心に国内外で長年支持を集めており、毎年の劇場版展開も含めて継続的な収益源となっている。近年のアニメ業界では、制作受託中心のビジネスモデルによる低収益構造や人材不足が課題となる中、シンエイ動画はIP運用型に近い事業構造を持つ点が特徴となっている。

同社は、長年培ってきた制作ネットワークを活用し、「前期以上にさまざまな作品を提供したい」と説明しており、主力IP、新規作品、制作基盤強化を組み合わせた成長戦略を進めていく構えだ。

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