【インディーゲームの現在地】PARCO GAMESが考える「新しいパブリッシャー」の役割とは

左から西澤優一氏、福井隆氏

商業施設を中心に、演劇、音楽、出版、展覧会、ポップアップなど、さまざまなカルチャーと関わってきたパルコ。その新たな取り組みとして、2025年にゲームレーベル「PARCO GAMES」が本格始動した。

同レーベルは、インディーゲームのパブリッシングを手がける一方で、催事やイベント、マーチャンダイズなど、パルコがこれまで培ってきたリアルな場づくりも活用している。単にタイトルを販売するだけでなく、クリエイターやユーザーとの接点をどう作るのか。そこには、従来のゲームパブリッシャーとは少し異なるアプローチが見えてくる。

今回gamebizではPARCO GAMES/ゲーム事業開発部・部長の西澤優一氏、マネジャーの福井隆氏にインタビューを実施。パルコがゲーム事業に参入した背景、パブリッシングタイトルの選び方、インディーゲーム市場の現状、そしてPARCO GAMESだからこそできるクリエイターとの関わり方について話を聞いた。

パルコがパブリッシングに挑む理由

――本日はよろしくお願いします。PARCO GAMESは昨年創設されたばかりの新しいレーベルですが、そもそもなぜパルコがゲームパブリッシングを始めようと思ったのでしょうか。まずはそのきっかけから教えてください。

西澤氏:
時系列からお話しすると、2025年8月にPARCO GAMESというレーベルと、ゲームパブリッシング事業への参入を発表しました。

ただ、ゲーム事業としてはそのさらに2年前、2023年9月頃から、新規事業として社内でビジネスのR&Dを進めていました。その流れの中で、今回の発表に至った形です。

パルコというと商業施設のイメージが強いと思いますが、実は創業以来、商業施設と並行してエンタテインメント事業にも取り組んできました。演劇、音楽、ライブハウス、出版など、さまざまなジャンルのクリエイターやカルチャーと協業してきた歴史があります。

そうした中で、新たにゲームカルチャーに対しても、パルコとして何か取り組めるのではないかという発想がありました。これがゲーム事業参入のきっかけのひとつです。
また、パルコには、面白いものを見つけ、それをさらに面白く伝えていく、あるいは編集していくような企業風土があります。そうしたインキュベーション精神は、ゲーム業界にも応用できるのではないかと考えました。

そのうえで改めて考えると、パブリッシャーという立ち位置は、これまでパルコがやってきたことと、これから挑戦したいことが重なる領域だと感じました。そこに、我々だからこそ業界に対して果たせる役割や価値があるのではないかという仮説を持ったんです。
その仮説をもとに、ゲームパブリッシング事業に参入し、PARCO GAMESのローンチに至りました。

――すでに複数のタイトルを展開されていますが、パブリッシングするタイトルを集めるという観点では、感触はいかがですか?

福井氏:
おかげさまで順調です。西澤からもお話しした通り、PARCO GAMESにはいくつかの役割があり、その中のひとつとしてパブリッシングがあります。どうしてもパブリッシングだけが大きく取り上げられがちなのですが、チームとしては「PARCO GAMESの大きな取り組みのひとつ」という意識を持ちながら動いています。

その意味では、パブリッシング事業はかなり自然な流れでした。これまでもパルコでは、催事やイベント、マーチャンダイズなどを通じて、さまざまな企業やIP、作品のクリエイターの方々と一緒に取り組んできました。その延長線上で、「パブリッシングもやってみよう」という流れが生まれた感覚でしたね。

TGS(東京ゲームショウ)では3タイトルを発表しましたが、そこに至るまでの動きとしては、2025年の頭頃からいくつかのクリエイターの方にお声がけをしたり、逆に「我々はこういうことをやろうとしています」と業界の方々やクリエイターにお話しする中で、お声がけをいただいたりしていました。

ですので、3タイトルについても「急いで何か出さなければいけない」と無理に集めたというよりは、ごく自然な流れで出会うことができ、2025年はいいスタートを切れたのかなと思っています。
おかげさまで、TGS以降はお問い合わせをいただく機会も非常に増えましたし、我々の方からお声がけすることもあります。

西澤氏:
2025年の頭頃のタイミングでは、まだ具体的なタイトルや作品が見えていたわけではありませんでした。
ただ、気持ちとしては「2025年の東京ゲームショウで何かしらニュースを出したい」という思いはありました。一方で、その時点ではまだ何もない状態でもあったんです。

そこから結果的に、1タイトル目が見え、2タイトル目、3タイトル目も見えてきた。そこで「これは東京ゲームショウにも間に合いそうだ」という流れになりました。
その結果、8月にPARCO GAMESを発表し、9月の東京ゲームショウで出したい情報を含めて発信できた、という流れがありました。

福井氏:
TGSは5月が出展の締め切りなんですが、僕らは4月に出展を決めたので、本当に急遽でしたね。
「TGSに出した方がいいんじゃないか」「そもそもどうやって出展するんだっけ」「CESAの会員になる必要があるらしい」といったところからスタートしました。

そこから急いでCESAさんに連絡して、「会員になりたいのですが、東京ゲームショウにはどうやって出展すればいいですか」と相談しました。しかも、出展には審査もあると言われて、「5月締め切りです」と聞いて、「ええ、マジで!?」と(笑)。

ですので、2025年中に何か絶対に発表しなければいけないというよりは、僕らが納得できるもの、面白いと思えるものとの出会いがあり、それを世に出せるタイミングが重なったという感覚です。
我々としては、そうした出会いと発表のタイミングが噛み合う、最適な瞬間を狙いたいと思っていました。去年はちょうどそのタイムラインを組むことができた、という感じですね。

「これは面白い」を起点に、個人の熱量からチームへ広げる

――お話を聞くと、PARCO GAMES側からクリエイターに声をかけることもあれば、クリエイターから売り込みを受けることもあるんですね。未知のゲームを見るとき、まずはどこを重視していますか。

福井氏:
まず、必ず実際に触らせてもらいます。チームのメンバーも、基本的にはみんな触りますね。

いくつかフェーズがあって、最初はご連絡をいただいた担当者が1人で触ってみます。その担当者が「これは面白いな」と感じたら、次にチームへ共有します。そこからチーム全員で触ってみて、そこで改めて「面白いね」「いいね」となれば、「こういう形で一緒にやりませんか」というフェーズに入っていきます。

ですので、最初に担当者個人がどう感じるかは、かなり大事にしています。たとえ開発のかなり初期段階であっても、その担当者がビビッと来るものがあれば、きちんとチームのテーブルに上げるようにしています。

――モックの段階でも、実際に動かせることが条件になってくるのでしょうか。

福井氏:
そうですね。一般的なゲーム会社であれば、企画書の段階から予算をつけて、バーティカルスライスやプロトタイプを作っていくケースもあると思います。ただ、我々はまだ企画書だけで判断できるほど知見が蓄積されているわけではありません。そのため、最低限、実際に触れるものがあることはお願いしています。


――PARCO GAMES側から「あ、このゲームはいい」と感じて、クリエイターに声をかけるパターンもあるわけですよね。そういった場合は、どのような手段で連絡を取っているのでしょうか。

福井氏:
イベントでの出会いだったり、あとはSNS経由も多いですね。ちなみに、僕はだいたい毎週1タイトルぐらいのペースで、新しい開発者の方にコンタクトを取っています。基本的にはInstagramやX、Facebookなどで、DMを送ることが多いです。

そこは担当者によってやり方が違うのですが、僕の場合はかなり直接DMを送っています。「すごく面白いと思ったので、少しお話しできませんか」といった感じですね。受け取る側からすると、「誰やお前」と思われるかもしれませんが(笑)。

西澤氏:
当社の担当者個人がそれぞれ関心を持って動いてみる、という部分は、パルコという会社が持っているインキュベーションの精神にかなり紐づいていると思います。

面白いものを見つけて、それをさらに面白く伝えたい。そういった姿勢は、ゲームに限らず、当社のさまざまな仕事に通じています。たとえばイベントをひとつ作る場合でも、担当者個人の熱量はとても大事にされています。

「自分はこれが面白いと思っているから、こういう企画をやりたいんだ」という思いは、会社としてもかなり重要視していますし、大事なことだと考えています。
その考え方はPARCO GAMESにも組み込まれていますし、パルコという会社の良さでもあると思います。
ただし、独りよがりになってはいけないので、個人の熱量を起点にしつつ、チームで見るレイヤーも設けながら進めているんです。

――チーム全体で一定の基準を共有するというより、まずは個人個人の感性で見てみる、ということですね。

西澤氏:
最初から全員が100点満点で「これはいい」と思うものが、本当にいいものなのか、という考え方もあります。むしろ、尖っているものの方がいい場合もあるのかもしれません。そこは、ある程度広く風呂敷を広げて見ていってもいいのではないかと思っています。

年間2万本の時代に、いいゲームをどう届けるか

――PARCO GAMESはあくまでパブリッシャーですので、「売るための取り組み」についてもお聞きしたいです。2025年から事業が始まり、現在まで取り組んできた中で、売ることに関する苦労や所感はありますか。

福井氏:
これはチーム内でもよく話すことなのですが、明確な答えがあるものではないと思っています。
市場が拡大する一方で、作品が埋もれやすくなっている現状がありますよね。そこについては、ざっくり言うと、今はフェーズ3くらいにいるのではないかと考えています。

――フェーズ3ですか

福井氏:
フェーズ1は、ある程度マーケティング費用をかければ、認知を取ることができた時代です。次のフェーズ2では、ユーザーレビューや口コミ、インフルエンサーなど、いわゆるオーガニックな反応が重視されるようになっていったと思います。特にマッチングの部分では、その傾向が顕著だったのではないでしょうか。

そうなると、いくらお金をかけてマーケティングをしても、ユーザーが見向きもしてくれなければ買ってもらえない。いわゆる「札束で殴る」ようなやり方では通用しなくなっていきました。

そして今は、おそらくフェーズ3です。どれだけいいゲームで、口コミがあったとしても、そもそも世の中に作品が多すぎるため、埋もれてしまう。そういう段階に入っていると感じています。そこでようやく、パブリッシャーの意義がまた復活してきたのではないかと思っています。

フェーズ2までであれば、クリエイターの方だけでもよかったのかもしれません。きちんといいものを作れば、きちんと売れるという状況がありました。
しかし今は、年間でだいたい2万タイトルほどのゲームが出ていると言われています。その中では、売れるはずのものも売れない。いい作品であっても、目に留まらなければ届かないわけです。

だからこそ、いいものをきちんと目に留まらせる役割として、もう一度パブリッシャーの存在意義が出てきていると感じています。

西澤氏:
年間2万タイトルという話がありましたが、今後はさらに増えていくことは間違いないと思っています。そうなると、より埋もれやすくなるというか、ユーザーの関心が分散していく場面も増えていくはずです。

先ほどのフェーズ1、フェーズ2、フェーズ3という話にもつながりますが、いずれにしても、何かしら特徴を持つことが重要ですよね。目立ち方は非常に難しいのですが、いろいろなやり方でユーザーに伝えたうえで、最終的には手に取ってもらわなければいけません。
そのハードルをどう越えるか。そこに工夫が必要であり、売るための取り組みとして大事な部分だと考えています。

ただ、我々もまだそこを完全につかめているわけではありません。これから追求していかなければならないところだと思っています。
一般的なプロモーションや、SNSを使ったマーケティングは当然やっていきます。そのうえで、プラスアルファとして、PARCO GAMESがやる意味合いのある特徴的な取り組みを追求していく必要があると考えています。

――すでにさまざまなプロモーション施策を行ってきていると思いますが、今のところの手応えはいかがですか。

福井氏:
効果的かどうかはタイトルによる部分もあるのですが、印象が大きく変わったのはイベント出展です。
最初に想定していたものと、実際に出展してから得られるフィードバックには、かなり大きな違いがありました。

パブリッシャーのKPIとしては、ウィッシュリスト数や販売数が大前提としてあります。イベント出展についても、当初はそうした指標を意識していました。実際に、東京ゲームショウを皮切りに、昨年は6~7本ほどイベントに出展しました。
ただ、やっていく中で、イベント出展がウィッシュリストや販売数に直接大きく影響するかというと、必ずしもそうではないことが分かってきました。

一方で、ゲームのクリエイティブに対するフィードバックという意味では、非常に大きな価値があると感じています。
特に昨年は海外イベントにも積極的に出展したのですが、海外のユーザーの方は、プレイした後に本当によく話しかけてくれるんです。良いことも悪いことも、かなり率直に伝えてくれます。

日本のお客さんも、もちろんイベントによって反応は違います。東京ゲームショウのようなイベントはライトなお客さんも多いので、触ってそのまま終わる方もいます。一方で、ゲームダンジョンや、先日開催された京都のBitSummitのようなコアなイベントでは、プレイ後にかなり話しかけていただけます。

そこで得られるクリエイティブへのフィードバックは、イベント出展を行う大きな意義になると、この半年ほどで強く感じるようになりました。
もちろん露出という面でもイベントは大事です。ただ、それ以上に、お客さんとのコミュニケーションの場として、イベント出展は非常に機能するのだと感じています。

西澤氏:
少し別の角度でお話しすると、PARCO GAMESには催事という軸もあります。冒頭で福井が、PARCO GAMESの中でパブリッシングは一部だとお話ししましたが、それ以外の領域として、催事やイベントを自分たちで企画するチームがあるんです。たとえば展覧会を作ったり、他社IPと組んでポップアップショップを展開したり、マーチャンダイズを行ったりするチームですね。

その催事の軸で、今年2月に渋谷PARCOの店内で「PARCO GAME CENTER」という企画を実施しました。
ざっくり言うと、さまざまな視点で集めたゲームカルチャーを、ひとつのマーケットのような形で詰め込んだ企画です。ゲームを遊ぶだけではなく、ゲームに関連するアパレルやグッズ、コレクションとしてのレトロゲーム展示なども集積したんです。

これを実施したところ、結果として1カ月で約4万人の方に来場いただきました。その中の一角に、PARCO GAMESのパブリッシャーとしての領域として、我々のタイトルを紹介するコーナーも設けました。他社様のタイトルも当然並んでいる中にインディータイトルがある。そうしたシチュエーションを作ったのです。

こうしたフィジカルなタッチポイントを作れたことは大きかったと思います。たとえば、ゲームとはあまり関係のないアパレルを買いに来た方が、ついでにゲームを遊んでくれる。あるいは、普段あまりゲームをやらない渋谷PARCOのお客さんが、「少し気になるから入ってみよう」と足を運んでくれる。そうした形で、かなり接点を広げることができたのではないかと感じています。


――PARCO店舗での施策は、まさにPARCO GAMESがインディーゲームに対して提供できる価値にもつながってきますよね。

西澤氏:
そうかもしれません。業界に対してどこまでのことができるのかについては、あまり大きなことは言えないと思っています。ただ、株式会社パルコという会社としても、PARCO GAMESというレーベルとしても、インディーゲームが持っているムードや、ユーザーコミュニティの熱量とは、すごく相性がいいのではないかという仮説は持っています。
そこに僕たちが関わることで、また違ったアウトプットができたらいいなと考えています。

作品には口を出さず、届け方を一緒に考える

――クリエイティブに関してはいかがですか。開発者やデベロッパーの方々に向けて、「もっとこうしてほしい」とお願いすることはあるのでしょうか。

福井氏:
ゲームのコア部分に関しては、ほとんどありません。まずはクリエイターの方々が作りたいものを作ることが大前提です。ただ、ゲームを広めていくという目線では、いろいろとお話しすることはあります。作品としてというより製品としての目線でお話しすることが多いです。

たとえば、今度リリースする『Finding Polka』というゲームがあります。クリエイターの熊沢さんと話していたのですが、Steamのページでは、バナーが小さく表示されるケースがありますよね。
そのときに、「このバナーだと、何のゲームかわかりづらくないですか」という話をしました。

『Finding Polka』は、犬を探すウォーキングシミュレーターなのですが、当初のバナーだと、すでに犬と一緒に散歩しているようにも見えてしまったんです。そうではなく、もう少し“探している感”を出した方が伝わりやすいのではないか、という話をしました。このように、「どこにどうリーチするのか」「ユーザーにどう伝えるのか」といった話はよくします。

――今の話にも少しつながるのですが、Steamページの作り方も大事だと思います。ページの見せ方についても、PARCO GAMESとしてこだわっているのでしょうか。

福井氏:
そうですね。そこはクリエイターの方々と話しながら進めていますが、本当にクリエイターさんそれぞれです。すごくこだわりがあって、自分で文章を書きたいという方もいらっしゃいますし、逆に「お任せでお願いします」という方もいます。

ですので、最初に目線合わせはしっかり行います。「どこを推していくのか」「何を見せていくのか」といった部分を話し合ったうえで、我々が手を動かすこともあれば、クリエイターさん自身が作られることもあります。

『Finding Polka』のSteamページ

――具体的なタイトルもすでにいくつか発表されていますが、ここまでの手応えはいかがですか。

福井氏:
まず、現時点で世に出している、あるいは発表しているタイトルは5本です。そのうち3タイトルをリリースしていて、2タイトルは発表済みという状況です。
手応えでいうと、「インディーゲームのパブリッシングをちゃんとやっているな」と感じます(笑)。

すごく大きく、ドーンといろいろな方から反応をいただくというよりは、本当にコアなユーザーの方々から、熱量の高い反応をいただくことが多いです。
これは一般的なコンシューマーの大作では、なかなか得られない経験だと思います。ひとつひとつの反応に読み応えがありますし、その熱量を感じられることが大きな手応えになっています。

――確かに、プレイヤーとの距離感が近いというのは、インディーゲームならではですよね。

福井氏:
本当にそうですね。クリエイターさん自身もそうですが、一人ひとりのユーザーさんと普通にコミュニケーションを取られています。そうした関係性に対して、我々もきちんと何かを提供できているという実感があります。

西澤氏:
とはいえ、まだまだ課題もあります。会社としては、いわゆるソフトで戦うビジネスの経験が、そこまで多いわけではありません。PARCOのような商業施設は、どちらかというとハード的な視点のビジネスですし、ライブハウスや劇場もある種のハードですよね。
その中で、ゲーム事業はかなり明確にソフトのビジネスです。ハードとソフトではビジネスモデルが違いますし、それだけでも見えるものが違うと感じています。

僕らとしては、精神的にも気持ち的にも妥協していないものを大切にしたい。たとえばアートワークであったり、作品のナラティブ性であったり、さまざまな関心や興味を、僕たちなりに伝えていくことも重視したいと思っています。

少しビジョナリーというか、ドリーミングな部分かもしれませんが、そうした姿勢も大切にしたいんです。その両立やバランスの取り方は難しいと感じていますし、今も手探りで進めているところです。
だからこそ、たくさんタイトルを出していくこと自体には、あまりこだわっていません。一つひとつのタイトルを、丁寧に、深くやっていきたいと思っています。

――まずは、良いものを届けることが大切だと。

福井氏:
先日、「最近パブリッシャーがたくさん増えてきた。異業種からの参入もあるけれど、みんな口をそろえて『インディーゲームのため』と、慈善事業のようなことを言っている」という書き込みを見たんです。
「そう見える部分もあるよな」と思う反面、我々の原動力はちゃんと違う所にあって。
直近だと、昨年の取り組みを振り返って、商業的な資料を社内に共有する機会があったんです。これまであまりに自由にやりすぎていたところもあったので、「2026年は売れ線のゲームにもきちんと目を向けていきます」といった話をしてみたんです。そうしたら、役員から「それはいらない」と言われて。「あ~、パルコだな~」って(笑)。こういった、PARCO GAMESというレーベルのムードやスタンスが、少しずつでも認知されていったらいいなと思っています。


“何を体験させるか”が問われる時代へ

――新たに参入したPARCO GAMESから見て、現在のインディーゲーム市場はどのように映っていますか。

西澤氏:
現在というより、今後にもつながる話ですが、「ゲームがどんな体験を与えるのか」という価値は、ますます重要になると思っています。

もちろん、インディーゲーム市場を広げていくこと自体も大事です。一方で、今後はAIなどによって、これまで時間がかかっていた開発工程が短縮される可能性もあります。そうなると、ゲーム開発そのものがより大衆化し、いろいろな人が自分でゲームを作れる時代になるかもしれません。

だからこそ、一本一本のゲームが「何を体験させるのか」「どこが尖っているのか」という価値は、より際立っていくのではないかと思います。
他と同質化しない作品をどう届けるのか。あるいは、パブリッシャーとして自分たちがどんな特徴を出し、ユーザーにどんな体験を届けるのか。そこが、これからの市場では非常に重要になると感じています。
作品を軸に、その良さをナラティブに伝えていくことは、我々としても常に意識していきたい部分です。


福井氏:
インディーゲーム市場は、今かなり難しい状況にあると思っています。ヒットさせることはもちろん、そもそも遊んでもらうこと自体が難しくなっている。だからこそ、パブリッシャーの役割が、ここに来てもう一度重要になっていると感じています。

ただ、その役割も従来のパブリッシングだけに限らないと思います。タイトルを販売して、売上をシェアするというのが基本的なパブリッシャーの形だと思いますが、今後はそれ以外の関わり方も増えていくはずです。大事なのは、ゲームやクリエイターに対して、いかに柔軟に関われるかだと思っています。

――パブリッシャーとしても、新しい関わり方が重要になってくると。

福井氏:
そのとおりです。たとえば『Finding Polka』を開発する熊沢さん(熊沢新之助氏)は、もともとパブリッシャーをつけるつもりがなかったと、ご自身のnoteの開発メモに書かれています。

それでも一緒にやることになったのは、これまでの一般的なパブリッシングスキームとは違う部分に、何か価値を感じていただけたからだと思います。我々としても、そこは臨機応変に考えていきたいです。

だからこそ、クリエイターの方々からお問い合わせをいただいた場合は、必ず返信しています。

接点の作り方も、これからアップデートしていかなければいけませんし、それができるパブリッシャーが求められているのだと思います。

西澤氏:
別の角度でいうと、PARCO GAMESでは催事やイベントも行っていますし、現場でレセプションを開くこともあります。そういったイベント現場では、知人の紹介や偶然の出会いを通じて、クリエイターの方々とつながることもあります。そうした接点は、さまざまなチャンネルで生まれていると感じています。

商業施設としてのPARCOでも、PARCO GAMESでも構いません。少しでも関心を持っていただけたら、ぜひリアルな場でもコミュニケーションが取れるとうれしいです。
クリエイターの方々はもちろん、ユーザーの皆さんも含めて、そうした接点をこれからも作っていきたいですね。

――ありがとうございました。

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パルコ(PARCO GAMES)

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