『メダロット カードロボトルRB』開発者インタビュー なぜ今、コンシューマで“カードロボトル”なのか

イマジニアは、2026年6月25日にNintendo Switch用ソフト『メダロット カードロボトルRB』を発売する。

本作は、同社の人気シリーズ『メダロット』の世界観やロボトルの駆け引きを、カードゲームとして再構築した新作タイトル。『カブトVer.』と『クワガタVer.』の2バージョンで展開され、メタビーやロクショウをはじめとするおなじみのメダロットたちがカードとなって登場する。

近年はスマートフォン向けタイトル『メダロットS』を中心に展開されてきた同シリーズだが、今回はNintendo Switch向けのコンシューマタイトルとして登場。しかも、ジャンルはRPGではなくカードゲームだ。なぜ今、コンシューマで“カードロボトル”なのか。そして、従来のロボトルの面白さをどのようにカードゲームへ落とし込んだのか。

今回は、『メダロット カードロボトルRB』の開発ディレクターを務める加藤昌史氏にインタビューを実施。企画立ち上げの経緯やカードゲーム化の狙い、開発中の試行錯誤、そしてもうすぐ30周年を迎える『メダロット』シリーズへの思いを聞いた。

目次

カードゲームという形で始まった新たな挑戦

――『メダロット カードロボトルRB』という企画は、そもそもどのような経緯で始まったのでしょうか。

加藤氏:
ここしばらく、コンシューマゲーム機向けの『メダロット』は新作が出ておらず、コンシューマでも新しい『メダロット』のタイトルをお届けしたい、という思いがまずありました。

――今回、意外だったのがジャンルです。『メダロット』といえばRPGの印象も強いですが、なぜ今回はカードゲームという形になったのでしょうか。

加藤氏:
『メダロット』はストーリーも魅力のひとつだと思っていますが、自分としてはやはりバトルが楽しい作品だと感じています。
特に『メダロット8』や『メダロット9』あたりでは、バトルシステムの中に、トレーディングカードゲームのようなコンボやシナジーの要素をかなり取り入れていました。感覚としては、カードゲームに近い遊び方になっていた部分もあったんです。

一方で、スマートフォン向けの『メダロットS』では、すでにロボトルを軸にした遊びが展開されています。そこで、同じようなものを出すのではなく、少し違うターゲットにも届けたい、IPを広げたいという思いから、カードゲームという形を選びました。

――『メダロット』のカードゲームというと、20年以上前にも展開されていた記憶があります。今回の『メダロット カードロボトルRB』は、過去のカードゲームを参考にしているのでしょうか。

加藤氏:
過去のカードゲームも参考にはしています。ただ、今回の『メダロット カードロボトルRB』は、あくまで新しいゲームとして構築し直しています。

――昔のカードゲームをそのまま再現するのではなく、現代のカードゲームとして作り直したということですね。

加藤氏:
そうですね。昔のものをそのまま持ってくるだけでは、今のトレーディングカードゲームやアナログゲームのトレンドとは違う部分もあります。そこは新しい形にする必要がありました。

――改めて、デジタルカードゲームというジャンルならではの魅力はどこにあると考えていますか。

加藤氏:
まず、一人で家でもじっくり遊べるところですね。対戦相手がいなくても遊べるというのは大きいです(笑)。
それから、新しいカードの追加やルール修正といった対応は、デジタルの方がやりやすいと思います。
また、今回のゲームはリソース管理が少し複雑になっています。アナログ版も作ったのですが、実際にアナログで遊ぼうとすると、チップなどを使っていろいろな情報を管理する必要があり、かなり手間がかかるんです。
その点、デジタルであればリソース管理やルール処理を自動で行ってくれます。そこは大きな強みだと思います。

――ルール面をサポートしてくれるのは、デジタルならではの利点ですよね。

加藤氏:
そうですね。アナログゲームの場合、みんなで遊んでいれば「ここはこうじゃないか」「ああじゃないか」と確認しながら進められますが、慣れていないと「この処理で合っているのかな?」と思いながら遊ぶこともあります。
それで、いつものメンバーでない所で遊ぶと「えっ、そういうルールだったの?」となることもありますよね(笑)。そういった部分を自動で処理してくれるのは、デジタルカードゲームの大きなメリットだと思います。

――デジタルゲームであれば、ルール処理を自動で行ってくれるのは大きいですよね。ジャンルは少し違いますが、麻雀ゲームで「アガれますよ」と教えてくれるような便利さにも近いと感じました。

メダロットらしさとカードゲームらしさをどう両立したのか

――本作は発表から発売までの期間が比較的近かった印象もあります。発表時の反響はいかがでしたか。

加藤氏:
やはり一番多かったのは、「なぜカードゲーム?」という反応でしたね。

――やはりそこでしたか(笑)。

加藤氏:
その点については、驚かれた方も多かったと思います。ただ、こちらとしてもある程度は想定していましたし、むしろ「してやったり」という気持ちもありましたね(笑)。
もし単にナンバリングタイトルを発表していたら、ここまでの注目は集められなかったかもしれません。あえて異なるジャンルで、しかもコンシューマ向けに展開したからこそ、「これは何だろう」と興味を持っていただけたのだと思います。

――たしかに、自分自身も発表時にはかなり驚きました。その後、体験版への反響はいかがでしたか。

加藤氏:
カードゲームということで心配していた方からも、「ちゃんとメダロットっぽい」と言ってもらえたのは大きかったです。
開発中も、メダロットらしさはきちんと残そうと話しながら作っていました。なので、体験版を遊んだ方に「メダロットらしさが入っている」と感じてもらえたのは嬉しかったですね。
今回手に取ってくれるターゲット層は、すでに何らかのカードゲームを経験している方が多いだろうという想定がありました。なので、チュートリアルの工夫としては「なるべく褒める」ことを意識しましたね。少し進めては褒め、また少し進めては褒める、という流れにしています。

――その話にもつながると思いますが、ロボトルをカードゲームに落とし込むうえで、特にこだわった部分を教えてください。

加藤氏:
メダロットらしさという意味では、パーツを組み替えられることや、対戦前に「どんなメダロットにしようか」と考える部分がありますよね。そこは、カードゲームでデッキを組む感覚にも近いと思っています。
あと、パーツ壊されても、新たなパーツを換装できるようにして、終盤でもしっかり戦えるようにしました。メダロットらしさをしっかり残しつつ、現代のカードゲームらしい盛り上がりも作ることを意識しました。

――確かに子どもの頃にゲームボーイの『メダロット』を遊んでいた時は、「いかにパーツを壊されないように立ち回るか」をずっと意識していたのを思い出しました(笑)。
そういえば、カードの中にはゲームボーイ時代のキャラクターなど、原作シリーズの登場人物も収録されています。そうしたキャラクターは、カードゲームとしてどのように再現しようと考えたのでしょうか。

加藤氏:
実は最初から「このキャラクターをこういう能力にしよう」と、キャラクターありきで作ったわけではありません。まずはカードゲームとして実現したい遊びや効果があり、そこにキャラクターを当てはめていく形で作っていきました。
ただ、それだけでは原作のキャラクター性とまったく違うものになってしまいます。そこで、キャラクターごとの個性をアレンジして付け加えながら、バランスを取っていきました。

――有名なキャラクターだからといって強くしすぎるのではなく、あくまでカードゲームとしてのバランスを重視したと。では、ゲーム内の演出についてはいかがですか。

加藤氏:
もっと豪華にしようと思えばできた部分もあります。ただ、今回は演出が目立ちすぎるのも違うなと思っていました。あくまで目立たせたいのはゲームシステムそのものです。
やりすぎると、カードゲームとしてのテンポやシステムの見え方に影響してしまう。なので今回は、ゲームシステムがきちんと伝わる範囲で演出を入れることを意識しました。

――今回は、カナイセイジさんや刈谷圭司さんといった、アナログゲームのクリエイターの方々とも共同で制作されたと伺っています。やり取りの中で、特に印象的だったことはありますか。

加藤氏:
やはり、カードテキストの書き方ですね。アナログのボードゲームやトレーディングカードゲームには、独特のテキストの書き方や作法があります。そこに関して、我々は素人でした。

自分たちだけで書こうとすると、どうしてもテキストがどんどん長くなってしまうんです。そこで、どうまとめるか、どう表現すればプレイヤーに分かりやすく、間違えずに伝わるのかは、かなり考えました。

もうひとつよく話していたのが、今はタイムパフォーマンスが重視される時代だということです。世の中には遊べるコンテンツが本当にたくさんあります。その中で、ユーザーがこのゲームにどれだけの時間を使ってくれるのかを考えると、1回のプレイ時間が長すぎるものは、今の環境には合わないのではないかと。

なので、短い時間でサクッと遊べるものにすることは、かなり話し合いながら意識して作りました。

――最近のゲームには、テンポ感もかなり求められていますよね。

加藤氏:
今回はテンポの速さも意識しながら、カードゲームのシステムに落とし込んでいきました。

――開発の初期段階では、もっとじっくり遊ぶようなゲームを思い描いていた時期もあったのでしょうか。

加藤氏:
「こういうカードゲームを作る」と決まった段階では、そこから大きくブレることはありませんでした。
ただ、「どういうゲームにしていくか」を模索していた段階では、従来のロボトルをそのままカードゲームに落とし込んだような試作も作りました。ですが、それだとプレイ時間が長すぎたんです(笑)。
今作では、リーダー機だけが腕パーツなどの要素を分けて使える仕様にしています。ただ、本当にこれまでの『メダロット』通りにしようとすると、3体分の頭、右腕、左腕、脚部パーツをすべてデッキに入れることになります。そうなると、ものすごく複雑になってしまうんです。

実際に「とりあえずリアルなカードを作ってテストしてみよう」と、机の上にカードを並べて試したこともありました。すると、机の上がカードだらけになってしまって(笑)。「これはいかん」となりましたね。

――確かに、体験版でもテンポの良さは感じられました

加藤氏:
本作には「急速冷却」というシステムがあります。手札を捨てることで、行動済みの機体をもう一度動けるようにできるんです。
さらに、毎ターンのドローでは手札が6枚になるまでカードを補充できます。そのため、常に手持ちのカードが多く、1ターンの中で本当にいろいろなことができるようになっているんです。

――他のカードゲームが、限られたリソースをどうやり繰りするかを考えるものだとすると、本作は「たくさんの選択肢がある中でどう動くか」を考えるゲームになっているわけですね。

加藤氏:
そうですね。カードを捨てて別の機体を立ち上げると、また別の展開ができるなど、考えることがたくさんあります。

カードゲームファンの方には、「新しいカードゲームだな」と思ってもらえれば嬉しいです。そしてメダロッターの皆さんには、「ちゃんとロボトルしているな」と分かってもらえるはずです。他に類を見ないゲームになっていると思います。

変わらない『メダロット』らしさ…新たな展開にも期待

――パッケージについてもお聞きします。今回は『カブトVer.』と『クワガタVer.』という、『メダロット』ではお馴染みの2バージョン展開になっています。やはり、初期の作品を強く意識されたのでしょうか。

加藤氏:
そうですね。やはり最初の「メタビー」と「ロクショウ」は、『メダロット』の顔になっている存在です。そこは変えられない部分でもありますし、悩ましいところでもあるのですが(笑)。

 ――本作には新しいデザインのメダロットも収録されています。収録機体のコンセプトや方向性については、どのように考えられたのでしょうか。

加藤氏:
スマートフォン向けの『メダロットS』では、さまざまな作家さんとのコラボなどを通じて、新しいメダロットがどんどん増えています。今回は「そうした新しい機体も入っているぞ」と見せられるようにしたかったんです。

収録機体については、アニメ放送当時からのオールドファンに向けたものと、最近登場した新しい機体を多めに入れています。やはり人気のある機体はしっかり選んで収録しています。

――デザイン面について、加藤さんからデザイナーの方へ要望を出すことはあったのでしょうか。

 加藤氏:
メダロットの機体自体は、基本的にすでに存在しているものを使っています。「戦術カード」や「メダフォースカード」などを新たにCGで描き起こしています。そうした部分については、なるべくかっこいいものにしたいという思いがありました。また、これまで『メダロット』を知っている人が見たときに、ニヤリとできるようなものになるよう、デザイン面でも指示を出したつもりです。

――シリーズそのものについてもお伺いします。『メダロット』は非常に長く続いているシリーズですが、改めてこのシリーズの強みや魅力はどこにあるとお考えですか。

 加藤氏:
長く続いている分、多種多様なキャラクターたちがいることですね。それに加えて、他に類を見ないメカデザインも大きな強みだと思っています。

もちろん、かっこいい系のロボットもいるのですが、少し個性的でおかしなデザインのものも多いんです。

 ――ロボットものではありますが、リアル系と同系列かと言われると、間違いなく違いますよね。

 加藤氏:
どちらかというと、敵キャラのようなデザインが多いですよね(笑)。

 ――コミカルさや可愛らしさが残っているところも、『メダロット』の魅力だと思います。かつてゲームを遊んでいた世代がメインターゲットになる一方で、若い世代に魅力を伝えるために意識していることはありますか。

 加藤氏:
今のゲームの流行は、しっかり取り入れていかなければいけないと考えています。先ほどもお話ししたテンポ感やスピード感もそうです。そういった部分を意識して作っていかないと、今の時代に取り残されてしまいますから。

――シリーズの盛り上がりという点では、現在はスマートフォン向けタイトルも展開されています。今後についてはいかがでしょうか。

加藤氏:

どんどん盛り上げていかなくてはいけないですね。『メダロット』は1997年に初代ソフトを発売してから、今年で29周年、もうすぐ30周年を迎えます。そういう意味でも、さらに展開を広げていきたいです。

 ――今回のコンシューマ向けタイトルが、今後の足がかりや期待にもつながればということですね。シリーズの今後について、現時点でお話しいただける構想はありますか。

 加藤氏:
今作の人気が出れば、新しい展開や続編、新しいカードの追加などは十分に考えられるシステムになっています。
まずは、「コンシューマ機でも『メダロット』が出るよ!」ということを皆さんに知っていただきたいです。

 ――ありがとうございました。

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© Imagineer Co., Ltd.

イマジニア株式会社
https://www.imagineer.co.jp/

会社情報

会社名
イマジニア株式会社
設立
1986年1月
代表者
代表取締役社長兼CEO 澄岡 和憲
決算期
3月
直近業績
売上高56億9000万円、営業利益1億4500万円、経常利益11億5600万円、最終利益7億4600万円(2026年3月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4644
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