ANYCOLOR、2027年4月期は増収減益を計画 VTuber起用に「規律」 施策数の拡大より1施策あたりの売上成長を重視

木村英彦 編集長
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ANYCOLOR<5032>は、2027年4月期の連結業績について、売上高560億円~600億円(前期比0.6%増~同7.8%増)、営業利益180億円~200億円(同10.8%減~同0.9%減)、経常利益180億円~200億円(同10.9%減~同1.0%減)、最終利益123億2600万円~136億9600万円(同12.5%減~同2.8%減)と増収減益を見込む。従来予想からは変更はなく、前回の決算説明会の内容にも言及しつつ見通しの前提についてみていきたい。

・売上高:560億円~600億円(同0.6%増~同7.8%増)
・営業利益:180億円~200億円(同10.8%減~同0.9%減)
・経常利益:180億円~200億円(同10.9%減~同1.0%減)
・最終利益:123億2600万円~136億9600万円(同12.5%減~同2.8%減)
・EPS:205.6円~228.45円

同社では、業績予想を一定のレンジで開示しているが、その主な理由として、「にじさんじ」のファンコミュニティの盛り上がりによって業績が変動する可能性があることに加え、VTuberの起用頻度について、これまで以上に規律を持った運用を行う方針を期初にあげている。

 

■人気VTuberへの起用集中に課題感

2026年4月期の決算説明会では、2027年4月期の売上高について「横ばい」とする一方、利益についてはやや落ち込む見通しを示した。

その背景として会社側が挙げたのが、VTuberの「起用頻度」だ。

同社では人気の高いVTuberを中心に企業案件や商品などで高頻度に起用するケースがあるが、起用が集中することで、ファンから見たときのバランス感を考慮する必要があると説明。2027年4月期については、こうした起用頻度について「一定の規律を持った運用」を行う方針としている。

つまり、人気VTuberを数多くの施策に起用することで売上を積み上げるだけではなく、ファンコミュニティの熱量や受け止め方も考慮しながら施策を展開していく考えだ。

 

■「施策数」から「1施策あたりの売上」へ

同社が今期の成長を考える上で重視しているのが、施策数と施策当たりの売上高という2つの要素だ。

会社側によると、施策数については年間の計画を立てる上で比較的予測しやすい一方、1施策あたりの売上高については、「にじさんじ」全体の盛り上がりに左右されるため、期初時点で正確に見通すことが難しいという。

そこで、施策数を無理に増やすのではなく、1施策あたりの売上高を伸ばしていくことが今期の重要なテーマになる。

業績予想をレンジで開示しているのも、この考え方と関係している。下限では一定の施策数を前提としつつ、ファンコミュニティが年間を通じて盛り上がり、各施策の売上が伸びれば上限に近づくという構造が想定されているとみられる。

 

■ライブ、コマース、イベント、プロモーションで上振れ目指す

会社側は、売上高について慎重な見通しを置きながらも、ライブストリーミング、コマース、イベント、プロモーションの各領域でさらなる上振れを目指すとしている。

特にコマースについては、世界情勢を踏まえた原価率の推移を慎重に見る必要があるとしており、売上だけでなく利益率についても警戒感を示している。

また、2026年4月期の第4四半期から棚卸資産評価損の導入を開始しており、こうした要因も利益見通しに織り込んでいる。

さらに、従業員数の増加などにより人件費関連費用も増加する見込みで、これも前期比で利益を押し下げる要因となる。

 

■「バーチャル・タレント・アカデミー」で中長期の市場拡大も

一方、短期的な売上成長だけを追うわけではない。

VTuberの発掘・育成を行う「バーチャル・タレント・アカデミー」では、引き続き長期的な視点からマーケットを拡大するため、様々なテーマでオーディションを開催し、多様な候補生を選出していく。

現在の人気VTuberへの依存度をコントロールしながら、新たなタレントを継続的に発掘・育成することで、将来のファンコミュニティそのものを拡大していく狙いとみられる。

 

■高成長を追うより「持続可能な成長」へ

今回の業績予想で興味深いのは、ANYCOLORが必ずしも売上高の最大化を優先していない点だ。

人気VTuberを高頻度で起用すれば、短期的には施策数を増やしやすい。しかし、それによってファンに「またこのVTuberが起用されている」と受け止められれば、施策そのものの価値が低下する可能性もある。

そして人気VTuberへの起用集中については、ファンから見た際のバランスだけでなく、キャスト側の負担も考慮する必要がある。人気タレントほど多くの施策を抱えることになるため、案件数を増やすだけでは持続的な事業運営につながらない。

同社が今回示した「規律を持った運用」は、こうした問題を意識したものと考えられる。

そのため2027年4月期は、施策数を積み上げて売上を大きく伸ばすというより、VTuberの起用バランスを調整しながら、1施策あたりの売上を高め、ファンコミュニティの熱量を維持・拡大することが成長のポイントになりそうだ。

売上高560億~600億円というレンジの上限と下限の差が大きいのも、こうした「年間を通じた『にじさんじ』の盛り上がり」が業績を左右する事業特性を反映したものといえる。

人員増によるコスト増やコマースの原価率、棚卸資産評価損などから利益には慎重な見通しを置く一方、ライブストリーミング、コマース、イベント、プロモーションで1施策あたりの収益力を高める。「規模を追う成長」から「ファンコミュニティの価値を高める成長」への転換が、2027年4月期の業績を見る上で重要なポイントとなりそうだ。

 

 

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ANYCOLOR株式会社
https://www.anycolor.co.jp/

会社情報

会社名
ANYCOLOR株式会社
設立
2017年5月
代表者
田角陸
決算期
4月
直近業績
売上高556億8100万円、営業利益201億7200万円、経常利益201億9700万円、最終利益140億9100万円(2026年4月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
5032
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