【決算まとめ①】ゲーム関連企業32社の7-9月…テレワーク移行など「withコロナ」の体制作りが課題に 『DQタクト』の貢献でAimingの業績が様変わり

主要モバイルゲーム企業の2020年7~9月期の決算を振り返ってみたい。この四半期は、新型コロナウイルス感染症の流行による影響がくすぶり続けながらも経済活動を動かしていく、いわゆる「withコロナ」の状況の中での数字となっている。

さて、今回も前回に続き、テーマごとに少し切り分けた形とし、まずは7~9月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、gumi<3903>とエイチーム<3662>、ブシロード<7803>の決算は5~7月の数字を使用している。また、これまでと同様にネクソン<3659>はモバイル事業の売上高も掲載し、サイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。

また、オルトプラス<3672>にゲーム事業とand Experience事業の一部サービスを譲渡し、スマホゲーム事業から撤退したアクセルマーク<3624>は今回からこの集計データからは外している。
 

■「withコロナ」の状況下での開発・運営体制への移行が大きな潮流に


前述のとおり、この7~9月期は「withコロナ」の状況下にあって、各社が新しい生活様式を意識した取り組みを進めている過程にある。ゲーム関連企業にとっては、テレワークの推進による開発・運営体制の変化などにこうした影響が強く出ていると考えられる。

恒久的なテレワーク体制への移行や、それに伴うオフィスの縮小に踏み込む企業も目立っており、いち早く収益性の向上にめどを付けた企業もあれば、その移行期に伴う費用が負担となっている企業も見受けられる。

前四半期に続き難しい状況にあるのは、アミューズメント系のビジネスやイベントなどだ。ただ、感染対策や人数的な制約など様々な課題を手探りで探りながらも徐々に再開の動きを進めており、セガサミーHD<6460>が黒字化したように前四半期比ではやや回復傾向となった。
 

この四半期決算では、32社中の17社が増収、15社減収とやや増収の企業が多かった。中で業績が様変わりしたのがAiming<3911>で、7月16日に正式サービスを開始したスクウェア・エニックスとの共同開発タイトル『ドラゴンクエストタクト』の貢献により、QonQで336%増という大幅な増収を達成している。

一方、利益については、15社が増益(赤字幅の縮小を含む)、17社が減益となっている。これはテレワーク移行に伴い、開発面が遅延してコスト増が発生したケースや、前述のとおりオフィス縮小など思い切った事業体制の転換を行い、一過性の費用が発生した企業などが多かったことも影響していると思われる。

なお、33社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。

増収増益…グリー<3632>、KLab<3656>、コロプラ<3668>、gumi<3903>、カヤック<3904>、Aiming<3911>、アカツキ<3932>、LINE<3938>、セガサミーHD<6460>、バンダイナムコHD<7832>、コナミHD<9766>
増収減益…ミクシィ<2121>、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、コーエーテクモHD<3635>、ガンホー<3765>、サイバーエージェント<4751>、マーベラス<7844>
減収増益…enish<3667>、ケイブ<3760>、ギークス<7060>、ブシロード<7803>
減収減益…ボルテージ<3639>、エイチーム<3662>、モブキャストHD<3664>、オルトプラス<3672>、アエリア<3758>、ドリコム<3793>、モバイルファクトリー<3912>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、イマジニア<4644>、スクエニHD<9684>、カプコン<9697>