【決算まとめ③】ゲーム関連企業31社の10-12月…コンシューマゲームがヒットのマーベラスとイマジニアが躍進 ガンホーは四半期売上高300億円台を回復
主要モバイルゲーム企業の2020年10~12月期の決算の決算を引き続き振り返ってみたい。今回は、各社の売上高と営業利益の状況をまとめてみた。
まずは四半期売上高100億円以上の企業をまとめたグラフを見ると、バンダイナムコHD<7832>が四半期売上高で2000億円の大台に乗せている。ネットワークコンテンツの売上高はやや伸び悩んだものの、家庭用ゲームのリピート販売が好調だったほか、ハイターゲット層向けのトイホビー商品も大きく貢献した。QonQでは、バンナムHDのほか、コーエーテクモHD<3635>、セガサミーHD<6460>、バンダイナムコHD<7832>、コナミHD<9766>も増収となっており、クリスマス商戦は家庭用ゲーム大手に追い風が吹いたようだ。
また、ガンホー<3765>が四半期売上高300億円台を回復したことも注目だ。ガンホーは、主力の『パズドラ』で実施した「鬼滅の刃」とのコラボが奏功したことに加え、子会社Gravityが韓国でリリースした『Ragnarok Origin』と、繁体字圏でリリースした『Ragnarok X: NextGeneration』が貢献した。Gravityは「Ragnarok」IPによるタイトル展開に注力しており、次の四半期も連結業績への貢献度を強めてくるのかどうか注目されるところだ。
次に四半期売上高100億円未満の企業を見ると、ブシロード<7803>が売上高90億円に迫る水準まで回復してきたほか、マーベラス<7844>がQonQで65%の増収となるなど大きく売上を伸ばした。マーベラスは、コンシューマ事業で11月に全世界で発売した和風アクションRPG『天穂のサクナヒメ』が大ヒットを記録したことが大幅な増収の要因となっている。
また、Nintendo Switch向けソフト『Fit Boxing』の最新作『Fit Boxing2』が好スタートを切ったイマジニア<4644>も大きく売上高を伸ばしている。
その半面、KLab<3656>やコロプラ<3668>、Aiming<3911>、アカツキ<3932>などが大幅な減収となっており、家庭用大手各社やマーベラスのようなコンシューマゲームを手掛ける企業と比較すると、スマホゲームを主力とする企業は苦戦が目立っている印象だ。
営業利益の四半期推移に目を移すと、まずは営業利益10億円以上の企業については、13社と前四半期の15社から減少した。ただし、経営統合に伴う上場廃止で今回からLINE<3938>が集計から除外されているため、実質は1社減と大きく収益性が悪化したというわけではなさそうだ。
先ほど大幅な減収として取り上げたKLabとAimingが営業利益10億円以下となった半面、ここでもマーベラスが営業利益10億円超に乗せてきている。
利益の急減が目立っているのはミクシィ<2121>だろう。主力の『モンスト』の広告宣伝費が周年イベントや年末年始のキャンペーンで増加したほか、スポーツベッティングサービス「TIPSTAR」への先行投資なども影響している。
営業利益10億円未満の企業については、赤字企業が7社に増加した中、enish<3667>が黒字転換を果たしたことが特筆されるべきだろう。2020年10月にリリースした新作『五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。』の運営成績が好調に推移したことによる増収効果に加え、収益構造の改革でコスト圧縮が進んだこともプラスに働いている。
また、イマジニアがQonQで340%増の大幅な増益となったほか、ハイパーカジュアルゲームが足元のけん引役となっているカヤック<3904>も着実に収益性を向上させている。
この四半期の利益率の悪化が懸念されるのは、赤字転落となったKLabだろう。主力タイトルが周年イベントの反動で落ち込んだことに加え、『テイルズ オブ クレストリア』の売上がスタート当初より落ち込んだことが大きく、この10~12月期は大きく減速した。次の四半期で立て直しが図れるのか注視しておきたい。
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【決算まとめ①】ゲーム関連企業31社の10-12月…『天穂のサクナヒメ』が大ヒットのマーベラスや「鬼滅」コラボが奏功したガンホーが躍進
【決算まとめ②】ゲーム関連企業31社の10-12月は営業赤字企業が7社に増加 周年反動と『テイクレ』苦戦でKLabが赤字に 『ごとぱず』貢献のenishは黒字転換
まずは四半期売上高100億円以上の企業をまとめたグラフを見ると、バンダイナムコHD<7832>が四半期売上高で2000億円の大台に乗せている。ネットワークコンテンツの売上高はやや伸び悩んだものの、家庭用ゲームのリピート販売が好調だったほか、ハイターゲット層向けのトイホビー商品も大きく貢献した。QonQでは、バンナムHDのほか、コーエーテクモHD<3635>、セガサミーHD<6460>、バンダイナムコHD<7832>、コナミHD<9766>も増収となっており、クリスマス商戦は家庭用ゲーム大手に追い風が吹いたようだ。
また、ガンホー<3765>が四半期売上高300億円台を回復したことも注目だ。ガンホーは、主力の『パズドラ』で実施した「鬼滅の刃」とのコラボが奏功したことに加え、子会社Gravityが韓国でリリースした『Ragnarok Origin』と、繁体字圏でリリースした『Ragnarok X: NextGeneration』が貢献した。Gravityは「Ragnarok」IPによるタイトル展開に注力しており、次の四半期も連結業績への貢献度を強めてくるのかどうか注目されるところだ。
次に四半期売上高100億円未満の企業を見ると、ブシロード<7803>が売上高90億円に迫る水準まで回復してきたほか、マーベラス<7844>がQonQで65%の増収となるなど大きく売上を伸ばした。マーベラスは、コンシューマ事業で11月に全世界で発売した和風アクションRPG『天穂のサクナヒメ』が大ヒットを記録したことが大幅な増収の要因となっている。
また、Nintendo Switch向けソフト『Fit Boxing』の最新作『Fit Boxing2』が好スタートを切ったイマジニア<4644>も大きく売上高を伸ばしている。
その半面、KLab<3656>やコロプラ<3668>、Aiming<3911>、アカツキ<3932>などが大幅な減収となっており、家庭用大手各社やマーベラスのようなコンシューマゲームを手掛ける企業と比較すると、スマホゲームを主力とする企業は苦戦が目立っている印象だ。
営業利益の四半期推移に目を移すと、まずは営業利益10億円以上の企業については、13社と前四半期の15社から減少した。ただし、経営統合に伴う上場廃止で今回からLINE<3938>が集計から除外されているため、実質は1社減と大きく収益性が悪化したというわけではなさそうだ。
先ほど大幅な減収として取り上げたKLabとAimingが営業利益10億円以下となった半面、ここでもマーベラスが営業利益10億円超に乗せてきている。
利益の急減が目立っているのはミクシィ<2121>だろう。主力の『モンスト』の広告宣伝費が周年イベントや年末年始のキャンペーンで増加したほか、スポーツベッティングサービス「TIPSTAR」への先行投資なども影響している。
営業利益10億円未満の企業については、赤字企業が7社に増加した中、enish<3667>が黒字転換を果たしたことが特筆されるべきだろう。2020年10月にリリースした新作『五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。』の運営成績が好調に推移したことによる増収効果に加え、収益構造の改革でコスト圧縮が進んだこともプラスに働いている。
また、イマジニアがQonQで340%増の大幅な増益となったほか、ハイパーカジュアルゲームが足元のけん引役となっているカヤック<3904>も着実に収益性を向上させている。
この四半期の利益率の悪化が懸念されるのは、赤字転落となったKLabだろう。主力タイトルが周年イベントの反動で落ち込んだことに加え、『テイルズ オブ クレストリア』の売上がスタート当初より落ち込んだことが大きく、この10~12月期は大きく減速した。次の四半期で立て直しが図れるのか注視しておきたい。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社MIXI
- 設立
- 1997年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 木村 弘毅
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2121
会社情報
- 会社名
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
- 設立
- 1998年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森下 一喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3765
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656
会社情報
- 会社名
- 株式会社マーベラス
- 設立
- 1997年6月
- 代表者
- 代表取締役社長 執行役員 兼 デジタルコンテンツ事業本部長 佐藤 澄宣
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高294億9300万円、営業利益24億1500万円、経常利益30億200万円、最終損益5億1700万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7844
会社情報
- 会社名
- 株式会社enish
- 設立
- 2009年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 安徳 孝平
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高35億800万円、営業損益12億600万円の赤字、経常損益12億6500万円の赤字、最終損益13億7400万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3667
会社情報
- 会社名
- イマジニア株式会社
- 設立
- 1986年1月
- 代表者
- 代表取締役社長兼CEO 澄岡 和憲
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高59億600万円、営業利益3億4500万円、経常利益6億5600万円、最終利益4億1600万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 4644