【決算レポート】グリー、第1四半期は営業益23%減の15億円 『アナデン』『シノアリス』で周年の反動 存在感高める投資事業 メタバースへの投資も着々

木村英彦 編集長
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グリー<3632>の2022年6月期の第1四半期(21年7~9月)の連結決算は、売上高136億7500万円(前四半期比7.1%減)、営業利益15億5300万円(同23.1%減)、経常利益16億6000万円(同14.3%減)、最終利益18億7400万円(同55.4%減)と減収減益となった。想定を上回って着地したものの、ゲームなどを展開するインターネット・エンタメ事業が減収減益となったことが響いた。投資・インキュベーション事業が大きく伸びたが、カバーしきれなかった。

・売上高:136億7500万円(同7.1%減)
・営業利益:15億5300万円(同23.1%減)
・経常利益:16億6000万円(同14.3%減)
・最終利益:18億7400万円(同55.4%減)

 
■インターネット・エンタメ事業
売上高123億2900万円(同11.6%減)、営業利益4億8800万円(同67.3%減)だった。主力のゲーム事業が季節要因で減少したことによる、前四半期では、『アナザーエデン』や『シノアリス』などで周年イベントを開催しており、この四半期はその反動減があったという。

また、費用に関しては、メタバース事業の中核となる、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」の機能強化やコンテンツ拡充、プロモーション強化、グローバル展開を進めたほか、広告事業でメディア力の強化とユーザー基盤の拡大を図るなど、先行投資を行った。


■新作『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚』が好調な出足
グループのWFSが開発した『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚』(まおりゅう)について、「トップセールスのTOP10に入るなど好調な初速だ。安定収益に貢献するよう、今後もしっかりと運営を行いたい」とコメントした。

同タイトルは、人気TVアニメ「転生したらスライムだった件」を題材にした建国&3DバトルRPGで、2021年10月28日にバンダイナムコエンターテインメントよりApp StoreとGoogle Playでリリースされた。事前登録100万人を超えるなど注目度が高かったが、両ストアでTOP5に入るなど好調なスタートを決めている。

 
■メタバース「REALITY」は海外ユーザーに人気
「REALITY」のグローバル展開の状況について、アクセスするユーザーの多くが海外からであることを明かした。全体の母数も比率も開示されていないため、どこまでグローバルでヒットしているのか判断しづらいところだが、海外を中心にプロモーション展開を行っており、ユーザー獲得が順調に進んでいるという。

最高財務責任者の大矢 俊樹氏は、「グローバルで通用するサービスだ。今後もプロモーションを積極的に行っていきたい」とした。広告宣伝費については「一定期間の中で回収可能な基準を定めている」として、一定のルールを設けて資金投下を行っている。並行してアプリの機能拡充などへの投資も行っているとした。

他社との差別化ポイントとして、日本のアニメテイストのアバターを楽しめるメタバースであることをあげた。ここ数年、日本のアニメを配信する映像配信プラットフォームの普及を背景に、日本のアニメファンやアニメテイストのコンテンツを好むユーザーが世界各地で増えてくるなど追い風が吹いているという。

 


■投資・インキュベーション事業
売上高13億4400万円(同71.8%増)、営業利益10億6500万円(同105.8%増)となった。気がつくと投資事業が営業利益の多くを稼ぐようになっている。「短期的な変動はあるが、総じて安定的な利益貢献をしている」(大矢氏)。インターネット・IT領域を中心に投資するベンチャーキャピタルやスタートアップへの投資に取り組んだ。出資ファンドが保有株式を売却したとのこと。

 グリーが直接投資している残高だが、投資額165億円に対して、含み益に相当する「評価換算額」が146億円となっており、投資額の倍の価値を持つようになっている。スタートアップなど投資先の資金長太うじの評価ベースでの評価額は450億円になる。この四半期ではVCファンド9件の投資を行ったほか、CVCを通じて7件のスタートアップに投資したという。

グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
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