【決算レポート】ワンダープラネット、『アリフィ』の運営費用の負担増で赤字幅が拡大…運営体制の最適化を推進中 ハピエレから資金調達して新作開発に充当

柴田正之 編集部記者
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ワンダープラネット<4199>の2023年8月期の第1四半期(9~11月)の決算(非連結)は、新作『アリスフィクション』(以下『アリフィ』)の売上が加わったほか、日本版の『クラッシュフィーバー』(以下『クラフィ』)が好調に推移したことで大幅な増収を達成した。

その一方で、『アリフィ』の運営費用の負担が大きく、赤字幅が拡大した。

売上高8億3200万円(前年同期比24.5%増)
営業損益2億3700万円の赤字(前年同期1億3000万円の赤字)
経常損益2億4000万円の赤字(同1億3100万円の赤字)
最終損益2億3800万円の赤字(同9200万円の赤字)

「アリフィ」については、運営体制の最適化を目指し、運営費の総額を削減中であり、第1四半期の運営費・広告宣伝費は合計で、前四半期比76%減となった。一方、外注費は、契約期間の関係で費用削減までに数ヵ月間のタイムラグが生じるため、第1四半期で判断した削減効果が出てくるのは、第2四半期以降になるという。

なお、第2四半期の運営費・広告宣伝費の合計は、引き続き費用削減に取り組むことで、第1四半期比で約30%減となることを想定しているという。

第1四半期の既存タイトルの状況を見てみると、『クラフィ』日本版が2022年9月から「Re:ゼロから始める異世界生活」とのIPコラボ第3弾を実施し、2022年10月には「1,400万ダウンロードキャンペーン」を実施し、売上高が好調に推移した。また、海外版については、2022年9月に「デート・ア・ライブ」とのIPコラボを実施し、2022年10月に「グローバル版6周年イベント」を実施した。

『ジャンプチ ヒーローズ』は、日本版が2022年9月から10月にかけて「4.5周年イベント」を実施した。繫体字版は、日本版のイベントを随時実施した結果、売上高は好調に推移した。

なお、『この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ』の繫体字版は、予定どおり2022年11月にサービスを終了した。

新作の開発状況については、前四半期から大きな変更はなく、コンシューマー系ゲーム開発会社との共同事業新規タイトルが現在開発中となっている。長期運営型のスマホゲームとして、パブリッシングをワンダープラネットが担当し、世界同時運営を行う予定だ。

一方、予定に変更があったのがブロックチェーンゲームへの取り組みで、Game Changer社との共同展開によるブロックチェーンゲームのリリース時期が「2023年8月期中」から「未定」に変更となった。これは、直近の仮想通貨やNFTなどの暗号資産の価格変動やブロックチェーンゲームにおける市場動向について慎重に検討した結果によるものとなる。

また、Game Changer社が独自に発行を行う暗号トークン Game Changer Token($GC) (以下「GCトークン」)については、現状のシンガポール子会社WPBCの事業準備状況やグループ内でのGCトークン管理の効率性をかんがみ、その割当予定先を当初のWPBCからワンダープラネットへ変更するという。

直近のトピックとしては、Happy Elementsを割当先とした第三者割当増資を1月5日に実施したことが挙げられる。調達資金の手取概算額は4億1815万円となるが、その全額を開発中および開発開始予定の新規タイトル開発に係る人件費、外注費に充当する。

また、今後は業務面における両社の関係性を強化することを視野に入れた検討も進めていくという。

なお、2023年8月期通期の業績見通しは非開示。現時点で適正かつ合理的な業績予想の算定が困難であるため、としている。

『アリフィ』は、今期は売上の維持と向上に努め、IPコラボを順次実施する予定で、第4四半期の1周年に向け、サービスの順次改善も図り、通期で業績への貢献に努めていく。また、下期からの収益化に努めており、第2四半期より『アリフィ』以外の既存タイトルも運営体制の最適化に取り組んでいく。

ワンダープラネット株式会社
http://wonderpla.net/

会社情報

会社名
ワンダープラネット株式会社
設立
2012年9月
代表者
代表取締役社長CEO 常川 友樹
決算期
8月
直近業績
売上高34億6400万円、営業利益4900万円、経常利益2800万円、最終損益2億3600万円の赤字(2023年8月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
4199
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