​【連載】★スマホesports★戦の時間だバカ野郎! 第24戦「オッサンから見た、クラロワリーグの話」



お疲れ様です。板垣です。

さてさて、2018年12月1日に、クラッシュロワイヤルの世界一決定戦が行われました。

みんな見てましたか?

まさかPONOS Sportsがココまで来るとはな~。結果としては、世界4位タイでした。

いやぁ、それにしてもリーグが立ち上がって、世界一決定戦まで来るのに本当に紆余曲折あったなぁと。

今回、クラロワリーグを立ち上がりからゼロイチで関われたのは、そうとうレアな体験だったなと思っているので、記録も兼ねて今までの事を色々ザックリメモしておこうかなと思います。


 
● クラロワリーグとは?

2018年の4~12月で開催された、クラッシュロワイヤルのプロリーグです。

開催当初の記事はコチラ

日本のチームは、その中でも、クラッシュロワイヤルリーグアジアという韓国やSEA合わせた全12チームで戦っていました。PONOS Sportsは第1シーズン優勝し、第2シーズンは日本1位となり、日本代表として世界大会に進出しました。

ちなみに、今回世界一になったチームの画像はコチラ
 


 
● チーム立ち上げ当初

あれは確か、2017年の末くらいだったでしょうか。

クラロワ関係者の方から、

「極秘だけど、クラロワリのリーグが立ち上がる予定です。去年と違って、チーム戦でやってく流れかも」

そんな感じの話を聞いた所から、私のクラロワリーグ物語はスタートしました。

少しずづ情報がアップデートされていく中、チームの候補として、色んな有名な企業が候補に挙がっていき、我々も一応候補として残っていました。

まぁ、我々は弱小だし、選ばれるわけないだろうなぁ、と思っていたら、esportsに対する熱意を評価していただけたのか、なぜか最終的にチームとして選んで頂けることになりました。

名だたる有名企業が並ぶ中で、クラロワ側から「一緒にリーグを盛り上げましょう!」と言っていただけたのは、すごく嬉しかったですね。


 
● みかん坊や、フチとの出会い

リーグに参加したのはいいが、いったいどうすれば良いのか分からない。本当に手探りだったなぁと。

まず、期間内にチームの監督を決めなければならないのですが、監督と言われてもなぁ、、、と考えている時に、ふと閃きました。

「そもそもクラロワというゲームの特性上、クランリーダーなどのシステムもあるし、選手と監督が同じ人の方が良かったりするんじゃないか?チームワーク的な意味で」

ココで、「選手兼監督」の概念が生まれた感じです。

では、誰が選手兼監督に適しているんだろう?

リーグを運営していくにあたり、試合会場が都内中心なのはある程度分かっていました。

なので、「ひょっとして地方に住んでる有力選手ってリーグに参加出来ない可能性高い?」という懸念があり、その可能性が高そうな人にダメ元で聞いてみよう、という感じでチャレンジしてみることにしました。

みかん坊やが、地方に住んでいることは知っていたので、コンタクトを取ってみようと。

もう直接会ってお話してみたいなと思い、実際に先方のご実家近くまで押しかけてみたわけです。

最初は「すげぇ怖そうな人が来た」と思ったらしいですが、なんやかんやで意気投合し、選手兼監督をお願いすることになりました。

その後、フチに会う機会があり、色々お話をさせてもらいました。

フチとしては、海外のチームなどからも声が掛かっているものの今後どうなるか分からないリーグだし、迷っていると。

で、私としては、去年日本一だった人が、リーグに参加しないのはクラロワリーグとしてもったいないと思い、我々の理念などを共有させてもらって、最終的には意気投合して、選手をお願いすることになりました。(たぶん、胡散臭さは拭えなかっただろうとは思うけど)

こうして、チームが少しづつ固まっていったのです。


 
● 天ゴッド、ライキジョーンズとの出会い

同時期に、選手選考会があり、我々も何人か声を掛けさせていただいたのですが、結果的に他チームに行ったり、条件が合わずに決まらない状態が続いていました。

(それはそうと、現在FAVゲーミング所属のDANI選手の声が、ビックリするくらい小さかったのがとても印象的でした)

(お話させていただいた時に、みかん坊やと二人で、「え?何ですか?もう一回言ってもらっていいですか!?」と、何回も聞き返したのは良い思い出)

それで、結局遅れを取った我々は、参加条件を満たしている中から、みかん坊やとフチの知り合いに、声を掛けてみることにしました。

天ゴッドは、みかん坊やが「就職したばっかりだしダメだと思いますけどもね~」などと言いながら、ダメ元で連絡してみた所、一度会ってみる流れになり、結果的に選手をお願いすることになりました。

天ゴッドが働き始めたばかりの場所は、就職の為に引っ越して来たばかりの場所で、本人もまったく土地勘無し。

お互いまったく思い入れの無い土地の、その土地界隈では断トツでおしゃれなカフェで、人生を決めるかもしれない大事な話をしたのは中々レアな体験だったなと。

ライキジョーンズは、フチが「自分よりも強い可能性のあるヤツです」みたいな感じで連れてきました。

フチがリーダーを務めるクランのメンバーで、相性も良さそう。

連携のとれた試合運びが期待出来るし、バッチリだろうということで、選手をお願いすることになりました。

それにしても二人とも、この短期間で「今の仕事を辞めてクラロワに賭ける!」という決断をしたのは、本当にすごいことだなと思います。

こうして、初期チームメンバーが無事揃ったのでした。


 
● 選手を選考する際に考えたこと

クラロワは、基本的には個人戦ですが、チームとして戦っていくには、チームワークが大事だと考えていました。

チームワークを大事にするには、「同じ釜の飯を食う」ほどじゃないですが、出来るだけ同じ場所に毎日集まって練習できるような環境が必要なんじゃないか?

そんな風に思い、それが実現しやすそうな人選を心掛けてみました。その辺は、割とリーグでの成績に現れてたんじゃないかと思ってます。


 
● そして第1シーズンへ

結果としては、優勝できました。経緯はいろんな所で記事にされているので省きますが、個人的に印象的だった出来事を一つメモしておこうかと。

それは、韓国のサンドボックスというチームとの1戦で、対戦相手が発表された時のこと。韓国最強のBeaver選手を擁するサンドボックスですが、なんとBeaver選手を温存するという作戦で臨んで来ました。代わりに、新加入のSinchu選手をメインで出してきましたと。

「誰だろう、このSinchuって選手?まぁ相手は全力じゃないみたいだし、楽勝楽勝」

そんな空気が、チームの控室で流れました。戦ってもないのに、もう勝ったようなもんだと。

そんな空気になった時、私は逆に嫌な予感がしました。

オッサン特有の、「こういう時って逆に負けるフラグ立ってるよな、、、」という勘。

そして、その勘は残念ながら当たってしまいました。

ノーマークのSinchu側は、おそらく徹底的に対策をしてきており、天ゴッドもみかん坊やも敗北。絶対負けちゃいけないタイミングで負けて、他チームとの差がさらに開くという最悪の結果に。

試合後の控室は、荒れに荒れました。お互いがお互いを責め、下を向き、とにかく険悪なムード。

私は、彼らに掛ける言葉が見つからず、マネージャー陣を連れてコーヒーを買いに外に出ました。とにかく、今は選手だけにさせて、本音同士で言葉をぶつけ合わせた方が良い。経験則的にそう思ったからです。

30分くらい経ったでしょうか?控室に戻ると、選手達は徐々に落ち着きを取り戻していきました。少し言葉をかけてみると、油断したことを認め反省して次に繋げようとしてました。

その様子を見て、あぁこれなら大丈夫かも、思いました。そして、この試合をきっかけに、今まで少し自信過剰気味だった彼らが、明らかに変わり、そのまま第1シーズン優勝まで駆け上ったのでした。

いわゆるターニングポイントというヤツにリアルに立ち会えた、よい経験だったなと。


 
● ロラポロンとの出会い

第1シーズン終了後、みかん坊やから「戦力的にもう1人増やさないとキツイかも」という話をされました。確かに、4人で回していると、相手チームに対策されやすかっただろうなと。

第1シーズンで優勝していたこともあり、おかげさまで「PONOS Sportsに入りたい」という声も何人からか頂きました。そんな中、追加補強するなら誰が良いだろうか、と考えた時に、一番大事なのは、やはりチームワークだろうと。

そうなると、現メンバーとすでに仲の良いプレイヤーの方が良いんじゃないか?という結論に至り、みかん坊や中心に、そっちの軸で探し始めました。

その流れで、メンバーとすでに面識のあるロラポロンに会って話してみることになり、結果的に選手をお願いすることになりました。(ロラポロンのご両親と話さなきゃなぁというタイミングがあったのですが、「髪半分無い人が家に来たらどう思いますか?」みたいな議論がフワッと起こり、結果マネージャーが行ってくれました)

正直、最初は、すでに他4人のチームワークが固まっていたので、途中からチームに入り込むのに苦戦していたと思います。ただ、周りのフォローもあり、だんだんと一つのチームに固まっていきました。

こうして、1人仲間が増え、5人のチームで第2シーズンを戦うことになったのです。


 
● そして第2シーズンへ

前述の通り、リーグアジアの日本1位、世界4位タイ、という結果に終わりました。こちらも、経緯はいろんな所で記事にされているので省きますが、個人的に印象的だった出来事を一つメモしておこうかと。

それは、リーグアジアのプレイオフでの1戦で、ライキジョーンズがBANカードを使ってしまった時のこと。(BANカードというのは、簡単に言うと、その試合で使うことが禁止されたカードのことです)

私は、舞台裏側のディスプレイで、控えのフチや、相手チームと一緒に試合を見ていました。BANカードが使われた瞬間、見ていた全員がすぐに気づき、「えぇ!?」となりました。おいおい、マジかよ、どうなんのコレ?という雰囲気。

スタッフの人達がバタバタと駆け回り、対応について急ぎ検討している状況。それくらい、BANカードを使ってしまうというミスは初歩的なモノで、起きる事を誰も想定していない事故でした。

後からライキジョーンズに聞いた所、戦っている時はBANカードを使った事に気づいておらず、逆に何が起きたんだろう?と思って立ってたとのこと。

それくらい目の前の試合に集中していたのです。

ついつい、第1シーズンの時のサンドボックス戦後の控室の様子が頭をよぎりました。これはヤバイ。またあの時の険悪なムードになっちゃうのか? そう思ったが、そんなことはありませんでした。彼らはもう、とっくに成長していたのです。

みかん坊やは、「タイムアウトのタイミングで気付くべきだった、俺のミスだ。スマン」
ロラポロンも、「僕もですね、すいません」
天ゴッドも、「そもそもオレが勝ってれば、流れもまた違ってたはず、、、」
フチは、「(オレは控えだったし、黙って様子見しつつアシストしよ)」

たしか、そんな感じの雰囲気でした。もちろん、全員落ち込んで悔しがってはいましたが、あの時のように荒れる様子は一切ありませんでした。

最終的には、

「世界一決定戦で、このミスをやらなくて良かった。先に失敗しておけて良かった。ポジティブに捉えて次に向けて練習しよう」

そういう話で着地していました。

それを聞いて、皆すっかりプロの顔になったなぁ、などと、そんな事を思ってしまうオッサンであったのでした。

そして、そこから猛練習して、世界一決定戦で相手にブチかまして勝利したライキジョーンズの映像がコチラ。
 


すごい歓声だったなぁ。(さらにその後の「みかん坊やvsロイヤル」の対決は、伝説級にすごかった)

ついでに、リーグ初期の頃と、リーグ後期の頃の比較画像があったので貼っときます。
 


 
● まとめ

他にも色々なことがありました。天ゴッドが韓国でTシャツ無くしたり、フチがカラオケになると急に声が変わったり、、ロラポロンのメイク時間が長かったり、ライキが意外と真面目に動画撮影してたり、みかん坊やが知恵熱で倒れそうになってて肩貸したり、ファンの方達向けにオフ会を開催してみたり、マネージャーがtwitterでバズったり、、、とても一回で書ききれるような内容ではありませんねぇ。

いずれにせよ、出会った頃はあどけない素朴な青年達が、ヒーローになっていく過程を身近に見ることが出来て良かったです。いやぁ、修羅場をくぐると、人間は無理矢理にでも成長していくんだなと。

私自身も、リーグのおかげで色々経験させてもらって、成長出来たんじゃないかと。いくつになっても、やってみないと分からない事って、世の中いっぱいあるんですねぇ。いやぁ、面白かった!

と、そんな感じで、今回は締めたいと思います。

それではありがとうございました!

※このブログで書かれていることは板垣個人の見解であり所属する組織とは一切関係ありません。

ついでに、オフ会の時の写真が出てきたので貼っときます。
 




 
【過去記事アーカイブ】

第23戦「日本と韓国とesportsと!」
第22戦「EVO2018に行ってきたよ!」
第21戦「ファイトクラブで体験した、人間模様とドラマ」
第20戦「クラロワリーグに参戦するぞー!」
第19戦「ゲームのプロライセンスに関して」
第18戦「CanadaCup2017を通して、思ったこと」
第17戦「東京ゲームショウ2017に行って思ったこと」
第16戦「プロゲーマーのセカンドキャリアに関して」
第15戦「フランスのESWCに参加してきた!」
第14戦「社内でガチの大会やってみたら、どうなるか?」
第13戦「esportsの、本質的な価値って何だろう」
第12戦「プロゲーマーに関して」
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第10戦「e-sportsの賞金大会に関する謎!!」
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第8戦「Nintendo Switchが賛否両論な件」
第7戦「今更だけど、東京ゲームショウに行った時の話」
第6戦「テクノスポーツを体験してきました!」
第5戦「e-sports大会のRAGEに行ってきた!」
第4戦「ポケモンGOをe-sports化したらどうなる?」
第3戦「ゲーム内に大会機能を同梱するのは、e-sports化の近道??」
第2戦「『にゃんこ大戦争』を、もしe-sports化しようとしたら、どうなる??」
第1戦「『クラッシュ・ロワイヤル』はe-sportsタイトルとなりえるのか?」


 
●著者紹介
 

著者
板垣護
ヤルキマントッキーズ株式会社、CEO。
最近の一言
「みかん坊やと天ゴッド、出会った頃に比べてめちゃめちゃ太ったなぁ」