【連載企画:f4samuraiマガジン③】「良い」の一歩先を突き詰め、感動できる作品を創り出していく…アシスタントプロデューサーの仕事とは?

「世界に、“一番のワクワク”を届ける」をミッションとし、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行っているゲーム会社、f4samurai。

秋葉原に拠点を構える同社は、世界観の構築に強みを持ち、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(『オルサガ』)をはじめ、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(『マギレコ』)、『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』などを手掛け、いずれもヒット作として覚えている人も多いだろう。

そんなf4samuraiのゲーム開発はどのようにして行われているか。今回、gamebizでは、そんなf4samuraiの開発環境を、同社マスコットであるエフフォーくんと探る「f4samuraiマガジン」を特集掲載していく。同社がヒット作を輩出するその秘密について探ってみた。






皆さん、こんにちは! f4samurai・エフフォーくんです。

今回は、現在アシスタントプロデューサー(以下:アシプロ)として活躍中のKさんをご紹介します。

アシプロの仕事内容や、仕事のやりがいと苦労についてじっくり語ってもらいました!



スケジュールとクリエイティブに責任を持つ、アシスタントプロデューサーの仕事


ーー:現在の仕事内容を教えてください。

私は、現在2つのプロジェクト(ゲームタイトル)を兼務しています。 

運営中のIP(版権もの)タイトルと新規開発中のタイトルを担当していて、私のポジションは社内では“アシプロ”または“物量プランナー”と呼ばれています。

担当業務は、プロジェクト全体の進行管理・アートまわりのディレクション・クオリティチェックです。カードイラストやスチルイラストに関しては、どのようなものを作るかアイデアを出して要件を決め、クリエイターさんに依頼・ディレクションするところまでを担当します。一部のイラスト制作は外部の制作会社さんに依頼するケースもあるため、そのやり取りと制作物に対するフィードバックも行います。

IPタイトルの場合、クリエイティブな制作物はリリース前にパブリッシャーさんや原作者さんに監修いただく必要があります。制作物を先方へ提出するほか、監修会で使用する資料を作成したり、いただいたフィードバックを社内メンバーへ丁寧に共有したりするのも私の仕事です。そのほかに、マーケティング業務も一部兼任しています。

ーー:アシプロの方は担当業務の幅が広いので、マルチタスクが大変そうなイメージがあります。ご自身の感覚としてはいかがですか?

進行管理などマネジメント寄りの業務と、ゲームのクリエイティブに関わる業務を兼任するポジションなので、たしかに大変なことはたくさんあります。 

ただ、幅広い業務を一気通貫でやっているからこそ、「このフィードバックの内容ならスケジュールに間に合わせられるな」など、制作にかかる工数のイメージもつきやすいですし、詳しい作業工程を理解していることで、より正確な調整ができるというメリットもあります。



なぜf4samuraiに?ー入社前のキャリア


ーー:Kさんは約2年前に中途入社されたんですよね。f4samuraiに入る前はどのようなキャリアだったのでしょうか?

私はf4samuraiが3社目で、その前に2社の経歴があります。 

新卒のときは広告事業を主軸としている会社で、着せかえアバターのソーシャルゲームを作っていました。ゲームというよりはコミュニティアプリのようなサービスでしたが、そこでディレクターとしてアバターの洋服を考えたり、課金まわりの設計を担当したりしていました。

3年ほど勤めたあと、料理動画の配信サービスを提供する会社に転職し、プロダクトマネージャーとしてプレミアム(有料)サービスを訴求するための企画を担当しました。ジャンルが料理ということもあり、フードスタイリストさんなどの専門職の方がコンテンツ制作を行うケースがほとんどで、なかなか企画内容に携わることができなかったんです。

勤め続けるうちに「やっぱりコンテンツが作りたい」という気持ちがだんだん強くなり、再びゲーム業界に戻ろうと決心しました。

ーー:f4samuraiを受けようと思ったきっかけは何でしたか?

当時「1社目の仕事と親和性が高い会社のほうがキャッチアップしやすいのではないか」という考えがあり、アバターゲームや女性向けゲームを開発している会社を探していました。そんななかでf4samuraiの開発作品を見て、これまでの経験を活かせるイメージが湧いたというのが大きかったです。入社前からユーザーとして複数の作品をプレイしていましたが、他のゲーム開発会社と比較しても、アートワークやシナリオのレベルが高いと感じたことも決め手になりました。 

はじめは運用中タイトルの設計チームに所属し、イベント設計やキャンペーン設計、データの作成やお知らせの執筆を担当しました。その後、今のプロジェクトでアシプロのニーズが高まったことと、私自身「アートまわりの業務に関わってみたい」という思いがあったことから、アシプロへ転向したという流れですね。

仕事の苦悩と喜び。ユーザーの声が力になる


ーー:日々の業務で特に大変だと感じることは何ですか?

クリエイターさんとの共通言語となる知識を、幅広く身に付ける必要があることは結構大変です。もともと私自身がゲームやエンタメコンテンツにすごく精通しているわけではないため、特に入社当初は例に挙げられた作品が分からなくて苦労することがありました。 

これにはとにかく知識を積んでいくしかないので、日々アニメやゲームなどのコンテンツをたくさんインプットするようにしました。おかげでだいぶ会話についていけるようになってきましたが、まだまだ勉強中です(笑)。

また、アシプロの仕事は分かりやすい答えがないことが非常に多いです。どこに着地するべきなのか、どうやってその着地点まで進んでいくべきなのか、などやり方から策定して進行していく必要があるため、苦戦することもしばしばです。

これに関しては私自身最善なアプローチができているかまだ自信がないのですが、なるべく多くの人に「これでやってみようと思うのですが、どう思いますか?」と相談し、それぞれから得た回答を調整しながら最適解を導き出すよう心掛けています。


ーー:やりがいや楽しさを感じるのはどんなときでしょうか?

少し言い方が難しいですが、「妄想を形にする」ような楽しさは常にあります。私はクリエイターではないので、自分で手を動かして制作することはできません。ですが、自分がイメージしていることや「もっとこうしたら良いんじゃないか」という意見を伝えることで、それがどんどん形になり、クリエイターメンバーの手でさらに魅力的なものに仕上がっていきます。その過程を目の当たりにできるのは、この仕事の醍醐味の一つだと思います。 

 あとは、やはりゲームをプレイしてくださるユーザーの皆さんの声が大きなやりがいになっています。カードイラストや着せかえ衣装などのアートを楽しみにゲームを遊んでくださっているユーザーさんも多いため、新たなコンテンツを出すと毎回大きな反響をいただきます。SNSなどで楽しそうなコメントやファンアートなどを見かけると、「頑張ってよかった!」と嬉しくなりますね。



アシスタントプロデューサーに向いている人とは? 求められる意識や能力


ーー: 自分の性格で「アシプロに向いているな」と感じるのはどんなところですか?

自信をもって言えることはそんなにないのですが……(笑)。まず、心配性なところはアシプロの仕事に活きていると感じています。プロジェクトを進めていくうえで、人によっては「大丈夫だろう」とスルーしてしまうようなことでも、私は「これは本当にうまく進んでいるのかな?」「このAという問題があるなら、Bの件にも影響するのではないか?」などとかなり細かく気にするタイプなんです。 

 そうやって問題の芽を見つけ深堀りした結果、後々の大きな問題を防げたことも何度かありました。いろいろなところに目を配り、自分から状況を把握しにいったり情報を取りにいったりするマインドは持っていたほうが良いと思います。

 また、調べることが好きで、興味の幅が広いことも仕事の役に立っています。どんなコンテンツを作るうえでも、題材によってさまざまな知識が必要になってきます。例えば時代ものの作品であれば、その時代の歴史や文化についてリサーチしないといけませんよね。それが苦にならず、自発的に楽しんでできるかどうかというのは、この仕事をやっていくうえで重要なポイントの一つなのかなと思います。

ーー: 日々の業務のなかで、特に意識していることや気を付けていることはありますか?

クリエイターさん個人に直接発注するときは、相手ができるだけ「つくること」に時間と労力を割くことができるような依頼を心がけています。依頼の目的やイメージを最初にしっかり伝えたり、案件の優先順位を明確にしたりして、クリエイターさん側に制作以外の負担が極力発生しないよう注意しています。ただ、要件やイメージをこちらで固めすぎてしまうと、今度はクリエイターさんの味を失ってしまう場合もあるので、そこのバランスも気にするようにしています。 

あとは、常に「プロジェクトとしてどうするべきか」を考えるということも意識しています。Live2Dチームやイラストチームなど、プロジェクト内の各セクションごとにリーダーポジションの方がいて、アシプロはそのリーダーとやり取りすることが多いです。リーダーはチームの代表者なので、当然、そのチームとしてどうしたいかを話してくれます。

ただそれをアシプロが鵜呑みにしてしまったり、他との兼ね合いを考えず言われた通りに進めてしまったりすると、プロジェクト全体としては無理がある状態になるケースや、別のチームに必要以上の負担がかかってしまう場合もあります。実際に私の考えが及ばず、前述したような状況になってしまった失敗もありまして……(苦笑)。

それ以来、各リーダーの提言や相談内容はしっかり受け止めつつも、全体のことを考えて時には交渉したり、取捨選択したりすることもアシプロの重要な役目だと心に留めています。






「良い」の一歩先を突き詰める。f4samuraiの魅力

ーー:会社の好きなところや、入社してから気づいたf4samuraiの魅力を教えてください。

入社する前からf4samuraiが作るゲームに対し、設計はもちろんアートワークやシナリオのレベルが高いと感じていました。そして、入社後実際にプロジェクトの中に入ってみて、クオリティに対するこだわりの強さにも驚かされました。 

正直、ビジネス的なことだけを考えたら、例えば最高のクオリティが10割だとして、8割くらいの出来ばえのものを数多く作っていくほうが、コストパフォーマンス的には良いやり方かもしれません。ただユーザーのみなさんが感動したり、パブリッシャーさんや原作の作家さんが信頼を寄せてくださったりするのは、そこから突き詰めた残り2割のところだと思うんです

「いいね」と思った先に、「あともう一歩何ができるか?」「すべての要素にしっかりと考え抜かれた裏付けがあるか?」といったことを、プロジェクトメンバーみんなが考えている。f4samuraiはそんな会社だと感じています。

日々の仕事面でいうと、「質問するとみんな丁寧に答えてくれる」という点がとても助かっています。はじめはクールそうに見える方でも、相談すると想定の何倍も丁寧な答えをくれたり、一緒にどうするべきか考えてくれたりと、やり取りのなかで心の温かさが見えてくることがよくあります。

そんなギャップがある、照れ屋さんな方が多い職場だと言えるかもしれません!

ーー:熱意を持ってぶつかっていけば、ちゃんと熱意で応えてくれる方が多いですよね。

そう思います! 

あと、まだ組織としていろいろなことを整えていく過程にあるという点も、私にとってはプラスな側面が多いと感じています。体制やルールが固まりきっていないからこそ、個人の「こういう業務に挑戦したい」という希望を聞いてもらいやすいですし、手を挙げた人はどんどん新しいチャレンジをしていける環境です。もはや手を挙げなくても仕事が舞い込んでくる状況も多々ありますが……(笑)。そういうことも含めて楽しめる方には向いている職場だと思います。

アシスタントプロデューサーの次のステップは? 今後の目標




ーー:今後のキャリアパスのイメージや目標などはありますか?

あくまで私個人の考えですが、アシプロの主なキャリアパスは以下の3つになると思っています。 

・アシプロの腕をそのまま磨いていき、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルになっていく道
・アートまわりに特化していき、いわゆるアートディレクターなどを目指す道
・プロデューサーを目指す道
 
特に3つ目の「プロデューサーになる」という道は、おそらく会社にとっても重要なキャリアパスだと思いますが、現状でいうとアシプロとプロデューサーの仕事内容には結構な隔たりがあります。アシプロはプロジェクトのクリエイティブやスケジュールに対して責任を負う立場ですが、プロデューサーはさらに外部の方との関係構築や、売上など数字に対する責任も負うポジションです。

なので、アシプロの仕事をただがむしゃらに続けていった先にプロデューサーという役職が待っているというよりは、プロデューサーになるためにもう一歩先のスキルを身に付けたり、プロデューサーと相談して新たな業務を任せてもらったりするなど、能動的なアクションが必要になってくると思います。

私の場合、どの道へ進みたいかはまだ自分のなかで明確には決まっていないので、まずは引き続きアシプロとしての実力や実績をつけていきたいと考えてます。特に新規プロジェクトの立ち上げやリリースまでの進行を担当するのは今のプロジェクトが初めてなので、このタイトルを世に送り出し、既存プロジェクトも新規プロジェクトもしっかりと担当できるアシプロになることが当面の目標です!






他にも、f4samuraiではnoteおいても開発環境について発信している。





連載企画「f4samuraiマガジン」のアーカイブはこちらから。