【クリエイターの広報術:第8回】リリースの価値を底上げする、本文にあるといいかもこんな情報

インディーゲームクリエイターが自身のゲームを効率よく世に伝えるため、メディア視点から掲載しやすいプレスリリースを紹介する連載「クリエイターの広報術」。前回は、ゲームのジャンルや遊び方を分かりやすく伝える方法について解説した。
今回はそこから一歩踏み込み、メディアが記事を書きやすくなり、かつ読者の興味を強く惹きつける「本文にあると嬉しい+αの情報」について見ていこうと思う。

(書ける場合は)過去の実績や経歴を紹介する

言葉を選ばずに言えば、世に出る前のインディーゲームは、読者からすると「得体が知れないゲーム」だ。だからこそ、客観的な実績を一つ一つ提示することが、ゲームの信頼度アップに直結する。

・Steamのウィッシュリスト〇〇件超え
・体験版は〇〇ダウンロード突破
・〇〇といったインディーゲームショウに出展
・すでにNintendo Switchでも発売中

あくまで筆者の個人的にだが、特に強力と感じるのが、「以前はこんなゲームを作ってました」という過去作のアピールだ。インディーゲームの場合、ゲームそのものを好きになっても、開発者の名前まで覚えているユーザーは稀。プレスリリースを通して「あ、あのゲームを作った人の新作なんだ!」と思い出してもらえるなら儲けもの。出し惜しみせず、過去の栄光はしっかり書き添えてみよう。

「開発者について」のストーリーを添える

大企業にはない「属人性の強さ」や「開発のストーリー」は、インディーゲーム最大の武器と言える。

「会社員を辞めて、3年かけて1人で作りました」
「学生のチームで開発しました」
「Unreal Engine 5を駆使して限界に挑んでいます」

こうした開発の背景や技術的な挑戦は、ニュース記事の素晴らしいフックになる。ただし、主役はあくまでゲームであることは忘れないでほしい。開発者自身が前に出すぎたり、ポエムのような長文になったりすると逆効果になるので、スパイス程度に留めるのがコツ。

あと、主に海外からのプレスリリースだと、最後に「About ◯◯(サークル名など)」といった見出しで、プロフィールなどをまとめて書くケースが多い。日本の個人開発ではあまり見られないが、文末にすべて集約させてしまうのも一つの手だと思う。

記事の価値を底上げする「+α」の補足情報たち

ゲームの魅力や開発の背景を伝えた後は、リリースの末尾に「ちょっとした補足情報」を箇条書きで添えるのもあり。メインの見出しにするほどではなくても、これらがあるだけでメディアは記事を肉付けしやすくなり、読者にとっても有益な情報になる。

意外と忘れがちな「対応言語」
海外のデベロッパーはもちろんだが、日本のクリエイターであっても「どんな言語に対応しているか(あるいは追加予定か)」を明記するのをおすすめしたい。特に海外での販売を狙っているのならば、製品情報に載せるだけでなく、しっかりアピールして損はないはず。

読者の背中を押す「リリース記念セール」
「発売から1週間は10%オフ!」といったローンチセール情報は、読者に「今すぐ買う理由」を与えてくれる。メディア側もセール情報は見出しに書きやすい強力なフックだ。

実機に触れる「イベント出展情報」
「〇月〇日の〇〇(インディーゲームイベントなど)に出展予定です」といった情報は、ゲームの活動的な姿勢をアピールでき、読者が実際にブースへ足を運ぶきっかけになる。

その他の「ちょっとしたお知らせ(小ネタ)」
「実は現在、Nintendo Switch版も開発中です」「リリースに合わせて、過去作の50%オフセールも同時開催しています」「サントラも出ました」といった、単独でプレスリリースを打つほどではない小出しの情報も、ここが絶好のアピールポイント。記事の最後に「なお、現在Switch版も開発中とのことだ」と一言添えられるだけで、ファンにとっては嬉しいサプライズになる。

編集部からの一言

今回紹介した「開発の背景」や「+αの補足情報」は、メディアにとって非常にありがたく、記事を彩る素晴らしいスパイスになり得る。

しかし、絶対に忘れないでいただきたいのは、「記事の主役はあくまでゲームそのものである」ということ。メディアの編集方針や文字数の都合上、せっかく書いていただいた開発の苦労話や補足情報(過去作のセールなど)を、泣く泣くカットして掲載するケースも多々ある。こればかりは「ごめんなさい!」としか言えない。

プレスリリース全体を構成する際のバランスとしては、「メインのゲーム情報(ジャンルやシステム、魅力)が7、今回紹介した実績や補足情報が3」くらいの比率を目指すのが理想的だと思う。
補足情報の部分が長すぎると、ゲームの魅力よりも開発者の自分語りや宣伝が目立ってしまい、リリース全体が冗長でピントのずれた印象を与えてしまう。スパイスはあくまでスパイスとして、適量に抑えることを心がけてほしい。

連載一覧

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