家庭用ゲーム大手、第1四半期は6社中5社が増益 非ゲーム改善で増益目立つ カプコンとコーテクは"本業"で増益、際立つ存在感
家庭用ゲームソフト大手6社の第1四半期(21年4~6月)決算が出揃った。コーエーテクモHD<3632>とバンナムHD<7832>、カプコン<9697>、コナミHD<9766>がいずれも20%を超える大幅な増収増益となったほか、セガサミーHD<6460>も黒字転換を達成するなど総じて良好だった。唯一、スクエニHDのみが減益だったが、これは前年同期に発売した大型タイトル「FINAL FANTASY VII REMAKE」に相当する新作がなかったため。新型コロナの"特需"後の翌年とあって、反動減が懸念されたが、全体的には良好な内容の決算だったといえそうだ。
増益組のうち、非ゲーム事業の収益改善で増益とした会社が目立った。スポーツ事業や、アミューズメント関連、遊技機関連など、前年同期は新型コロナの影響で収益悪化を余儀なくされたが、昨年より構造改革を実施したこともあり、採算性を大きく改善させたようだ。バンナムHDはトイホビー事業が引き続き好調だったが、アニメやイベント関連が大幅増益を達成し、アミューズメント関連も赤字幅が縮小した。セガサミーもIR事業や遊技機の赤字が縮小。
この中では、主力のゲーム事業で増益としたカプコンとコーエーテクモHDの存在感が際立つ。カプコンは、『バイオハザード ヴィレッジ』が大ヒットし、『モンスターハンターライズ』も販売本数を伸ばした。コーエーテクモも新作とスマホゲームが両輪で伸ばすことに成功。前年にリピート販売で利益を伸ばした会社の中にはリピート販売する商品がなくなるという、いわば"弾切れ"のような形で減益になったところもあったが、両社とも毎年コンスタントに新作を出し続けることで市場拡大の恩恵を受けている。
各社の状況は以下のとおり。
売上高205億2000万円(前年同期比80.6%増)、営業利益97億1800万円(同121.5%増)と最高業績を達成。複数の新作やリマスター版を発売したほか、採算性の高いリピート販売が好調だった。自社開発のスマホゲームの運営収入、IP許諾によるロイヤリティ収入が引き続き高い水準となった。投資有価証券売却益も利益を大きく押し上げた。
・売上高:205億2000万円(同80.6%増)
・営業利益:97億1800万円(同121.5%増)
・経常利益:184億0800万円(同105.5%増)
・最終利益:133億8100万円(同101.9%増)
売上高594億4700万円(前年同期比22.9%増)、営業利益38億4400万円(前年同期38億5100万円の赤字)と増収・黒字転換を達成した。ゲーム事業は苦戦したが、遊技機事業とリゾート事業の赤字幅が縮小した。またアミューズメント施設からの撤退や、アミューズメント機器の採算改善なども増益要因となった。
・売上高594億4700万円(前年同期比22.9%増)
・営業利益38億4400万円(前年同期38億5100万円の赤字)
・経常利益34億8400万円(同40億9900万円の赤字)
・最終利益29億4000万円(同33億100万円の赤字)
売上高1780億4900万円(前年同期比22.8%増)、営業利益270億2100万円(同35.7%増)と増収増益を達成した。ゲーム事業が減収減益となったものの、ハイターゲット向け玩具が伸び、全体をけん引。アニメや音楽ライブを行う映像音楽事業の大幅増益や、アミューズメント事業の赤字縮小なども利益拡大に貢献した。
・売上高:1780億4900万円(同22.8%増)
・営業利益:270億2100万円(同35.7%増)
・経常利益:287億5400万円(同40.9%増)
・最終利益:209億1700万円(同58.7%増)
売上高886億0400万円(前年同期比1.8%増)、営業利益173億1600万円(同29.5%減)と増収減益だった。アミューズメント事業が黒字転換し、出版事業も引き続き伸びたものの、主力のゲーム事業で減収減益となったことが響いた。前年同期にあった「FINAL FANTASYVII REMAKE」に相当するタイトルがなかったことが響いた。スマホゲームも新作がなく弱含みとなった。
・売上高:886億0400万円(同1.8%増)
・営業利益:173億1600万円(同29.5%減)
・経常利益:176億6100万円(同26.9%減)
・最終利益:126億5500万円(同11.9%減)
売上高484億2300万円(前年同期比104.1%増)、営業利益236億400万円(同120.4%増)と大幅増収増益を達成した。5月に発売した『バイオハザード ヴィレッジ』が全世界で450万本を出荷したほか、『モンスターハンターライズ』も販売本数を伸ばした。モバイル関連のライセンス収益やアミューズメント関連事業の採算性改善も増益要因となった。
・売上高484億2300万円(同104.1%増)
・営業利益236億400万円(同120.4%増)
・経常利益238億9900万円(同125.0%増)
・最終利益173億4000万円(同121.9%増)
売上高683億2600万円(前年同期比29.2%増)、事業利益202億7800万円(同64.2%増)と増収増益だった。利益は過去最高となった。『eFootball ウイニングイレブン 2021』や『遊戯王 デュエルリンクス』『プロ野球スピリッツA』が好調だった。前年同期に赤字を計上したアミューズメント事業やカジノ関連事業、スポーツ事業がいずれも黒字転換した。
・売上高:683億2600万円(同29.2%増)
・事業利益:202億7800万円(同64.2%増)
・営業利益:194億3700万円(同187.0%増)
・最終利益:136億5800万円(同225.7%増)
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3563億4400万円、営業利益325億5800万円、経常利益415億4100万円、最終利益149億1200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684
会社情報
- 会社名
- コナミグループ株式会社
- 設立
- 1973年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3603億1400万円、営業利益802億6200万円、最終利益591億7100万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
- 証券コード
- 9766
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 川口 勝
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆502億1000万円、営業利益906億8200万円、経常利益1041億6400万円、最終利益1014億9300万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4678億9600万円、営業利益568億3600万円、経常利益597億7800万円、最終利益330億5500万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460