【アフリカ編:前編】アニメイベント五大陸制覇。ONEPIECE・マリオに沸くアフリカは日本エンタメの“新大陸"か 中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」
2025年は多くの“エンタメ未開の地"に足を運んだ。中国内陸部の湖南省 、成都・重慶経済区 、中央アジア にインド、そして東欧ポーランド などなど。ただそれでもいまだに足を踏み入れていない地域が、南米・中東、そしてアフリカであった。2025年に第9回TICADアフリカ会議が開催され、日系企業のなかで「アフリカにも日本のアニメ・ゲームを」という言及がなされ、未開だった「アフリカ市場」が話題にのぼりはじめたのが昨年の話だ。今回はアフリカ事業展開をするYoren社の仲介により2026年5月南アフリカで行われたComic-Con Capetownに参加する機会を得た。同社は以前中国におけるカードゲームのCRMシステムなどを提供している会社でもある< >。果たして「日本エンタメをアフリカに」という動きはどこまでポテンシャルをもつものなのか、研究してみたい。
■コミコンからはじまる日本アニメの浸透と映画ロケーション南アコミコンで完成した「五大陸:アニメ・フロンティアの消滅」
「遠い、危ない、儲からない」と言われるアフリカ大陸だ。自動車含め日本の製造業すら苦労をしているこの“果ての市場"で、日本のエンタメが入り込む余地などないのではないか…という当初の思いは、あっというまに払しょくされた。コミコンというタイミングでもあったが、あまりに拍子抜けなほどに褐色のアフリカ人たちが日本アニメのコスプレを楽しんでいた。南アでは年2回、2都市でアニメイベントが開催されている。1つは2018年からはじまったヨハネスブルグの「Comic Con Africa」で、次に今回参加した2023年から4回目開催となるケープタウンの「Comic Con Capetown」である。
コミコンは1970年から続く最古のサンディエゴコミコン(14万人)や2000年代から巨大化してくるNYコミコン(25万人)、ロンドンコミコン(20万人)など世界中でフランチャイズ形式もあわせて開催されるオタクの祭典である。このコミコンが日・米・欧といった先進国のみならず、日本の反対側の国々にまで広がりはじめたのが2010年代半ば。2014年のブラジルのCCXPがたった5年で28万人規模にまで到達したのをしり目に、アブダビでもアフリカ・ナイジェリアでも2012年にコミコンが開始され、特にアフリカ大陸においては続くエジプト・ケニアが2014年、南アのヨハネスブルグが2018年と「アフリカ四大コミコン」が完成されるようになった。
ただ四大、といいながら他地域の数千名単位に対し、ヨハネスの「Comic-Con Africa」はなんと7万人規模と大陸ダントツである。南アは経済最大のヨハネスブルグのほかに「3つの首都(行政:Pretoria、司法:Bloemfontein、立法:Capetown」をもつ。ヨハネスの大成功をうけ、映画撮影の聖地でもあり、より白人の多いCapetownでも嘱望されて、2023年にも「2つめの南ア・コミコン」としてCapetownに誘致があった、というわけだ。たった3年だがケープタウンも3万人とアフリカ大陸で2番目のコミコンイベントとなった。
思えばインドも2017年にコミコンが始まり、いまは5都市周遊で累計20万を集めるようになった。OTT(動画配信)やゲームストリーミングの浸透によって、日本アニメや日本のゲームが同じタイミングで視聴できるようになった過程と、アニメイベントの浸透は連動している。これは「2020年代半ば、南米、インド、中東、アフリカ南端まで、全世界的なアニメイベントの浸透で日米サブカルのフロンティアがなくなった」といえる歴史的な転換点だと感じた。インドやアフリカでも年に数回にわたるこのオタクの祭典に、周辺のアニメ視聴人口が一気に集まる。いまやアフロ・ユーラシア、ヨーロッパ、アメリカの大陸すべてに末端までアニメイベントのラスト・スパイクが撃ち込まれ、今後それがアニメ流通のインフラとして機能してくることだろう。
全大陸のコミコンも参加してきた私としてはアフリカならではの特徴も「Comic Con Capetown」で実感することができた。4回目のコミコン・ケープタウンのハイライトは間違いなく「ONE PIECE」である。2023年シーズン1、2026年シーズン2がまさにこのケープタウンで撮影され、今まさに2026年上半期にシーズン3も現在進行形で撮影中といわれる。

▲入場待ちは100名ほど。ほかアニメイベントと違って専攻物販待ちの行列がなく、基本はコスプレ参加者たち。ONEPIECE(ゾロ)、鬼滅(伊之助)、チェンソーマン(パワー)、マリオのコスプレが目立った

▲禰󠄀豆子、小芭内、伊之助で「鬼滅」コスプレでそろえる

▲ベイマックスとパワー(チェンソーマン)with ハンマー


▲とにかくグッズが少ない。2F一等地でデカデカと海賊版フィギュアが跋扈する(アイアンマリオは950R=1万円)

▲Labubuは正規版、他国にくらべてアフリカはさすがにおとなしめ

▲フィギュア系は米国2割:日本4割(サンリオ・さめにゃん系):中国4割(POPMART系)といった具合

▲グッズもあるにはあるが、基本非正規品が売られている

▲ポスターなどは8割日本アニメ絵。ワンピース・鬼滅・ナルト・ヒロアカ・ドラゴンボール等、意外に「さめにゃん」ぬいぐるみもあった

▲アニメ絵をプリントしたTシャツ、600R(6千円)


▲これは1パック40R(400円)と相場2倍程度で“激安店"、観賞用で中国語版も広く流通しており、よく売れるという

▲左からYoren伊藤晋氏、原神ラウマと?キャラ。



▲会場の半分はArtist Ally。9割欧米系の米国コミコンと違い、欧米系:日本アニメ系で半々というほどに日本アニメ型が多い

▲薬屋のひとりごとの猫猫

▲姉モモ(ダンダダン)、弟スパイダーマン、父ナルト、母?Among Us

▲Mario Galaxyでマリオ・ルイージコスプレは多かった。「でもまだ見ていない」という反応

▲May 4th with you(5/4はスターウォーズの日)で『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』の発表会。200人いるステージ観客でスターウォーズコスプレは10人程度と意外に少な目


▲意外にも戦隊シリーズのコスプレがアフリカに!

▲色気たっぷりのミッドナイト(ヒロアカ)
アニメ化で公式を浸透させるにはCrunchyrollという存在は欠かせない。今回も南アでコミコン参加者などにインタビューを行うと、基本的にアニメファンはCrunchyrollがメインの情報源であった。海賊版サイトもないことはないが、比較的高所得といえるこの国においてイリーガルな手段で広告にまみれる海賊版を利用しているといったユーザーは(聞いた限りでは)少なく、ほとんどが月50ランド(約500円)支払って、Crunchyrollでアニメを視聴している。だが問題はその後、コスプレとアニメイベント参加によって「体験」でアニメと触れている彼らが、ゲームやマンガ、アニメグッズとどのように関われているか、ということだろう。
■フィルムスタジオ誘致で南アは空前のONE PIECEブーム
空港から都心部とは反対側に20Kmほどいったところに広大な撮影ロケーションである。CapeTown Film Studioは南アフリカが「世界の映画地図」に載るために戦略的に行われた映画ロケーション誘致の国家プロジェクトである。総面積200万平方メートル(ディズニーランド4個分、東京ドーム43個分)という広大な土地に、初期投資4.3億ランド(日本円50-60億円)かけて2010年に設立された。
出資は映画プロデューサーAnant Singh氏のVideovision Entertainment50%(2013年「マンデラ:自由への長い道」を出資・制作、同社が20年以上もの時間をかけてようやく映画化が実現した)、eMedia50%(南ア最大の民間放送会社)で国の低利融資や助成金なども駆使しながら、設立された同スタジオはすでに「世界5大撮影ロケーション」に数えられるほどになっている。


▲米LAのみならず、豪Sydney・印Mumbai・英Londonに並んで南アCapeTownは映画の都となっている
『トゥームレイダー』、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、『メイズ・ランナー:最期の迷宮』『ホームランド』などが撮影され、「ブラック・セイルズ」の海賊船や、水中シーンの撮影に使える水槽なども完備されており、同じ海賊モノとしての『ONE PIECE』がここを選んだのは不思議ではない。このFilm Studioがなければカナダ・オーストラリアといった別の場所で撮影は行われていただろう。そしてシーズンで1.5~2億ドル、1話25~30億円で撮影された『ONE PIECE』実写は、このスタジオ15年の歴史のなかでも間違いなく最大のものである。
有名俳優たちにとって「スタジオ外の環境」も、数か月を要する撮影地として必要不可欠な条件だ。風光明媚なテーブルマウンテンから、オランダ・イギリス植民地時代の歴史的遺物、それに食としてまさに植民地時代に涵養された有名なワイナリーなども選択の条件にあがったことは想像に難くない。同時に南アでは映画関連費用の20~25%の税額控除が認められている (今回はそれほどCash RebateやTax Benefitは大きくなく、船や水槽など転用できそうな資材コストの節約が大きな要因であったという話も聞く)。

▲空港から車で30分、突然出現するゴーイングメリー号

▲ローグタウンなど撮影で使われたセットが遠めでも確認できる

▲厳格な報道規制により、現地取材はおろか写真もNG。外観写真しかみることはできない
こうした「ロケ誘致」は直接的な撮影投資以外の様々なベネフィットがある。Ms. Valentine役Jazzara Jaslynやブルック役Martial T. Batchamen、ミホーク役Steven John Wardといった「南アフリカ俳優」が同作で起用されることもなかっただろうし、彼らが登壇してケープタウンでComic Conを盛り上げることもなかっただろう。
映画のロケ誘致は、その100人単位の巨大なチームが一定期間撮影でおとす直接投資のみならず、その作品の俳優からインバウンド効果など含めて、副次的な経済効果をもたらす、重要な「国策産業」でもある。1990年代末からイギリスやカナダ、ニュージーランドが米国映画撮影地として30~50%といった投資費用の税額控除などを設け、2010年代に入ると韓国・タイ・セルビアなどがちょうどマーベル映画の誘致を成功させ、2020年代に入るとサウジアラビアが最大40%ものキャッシュバックキャンペーンまで展開。日本もこうしたロケ誘致の動きが始まったのはつい最近で、2026年は一定条件を満たした映画の最大50%補助といった制度が展開されることになる。
■いまや「現代の香辛料」。高すぎるアフリカの日本アニメグッズ
近年、モノもサービスも国ごとの差は徐々に収斂されている。香辛料の時代は数百倍という価格差はあったが、関税という障壁や「(使える可処分所得に対する)物価」の違いはあれどもこの現代においてコモディティとしてのモノの価格が数倍の範囲におさまってきている、はずだ。しかしながら、「エンタメグッズ」という嗜好品に関しては、ずいぶんと大きな価格差を感じた。マンガ1つとっても、アジアは2倍、米国は3倍だが、南アという“果て"にまできてみると、6-7倍といった価格差がある。GDPによる差を加味すれば(日本が3万ドル、南アは0.7万ドル)、その差は10倍ではきかないのではないだろうか。
海賊版がほとんど、で「公式で安いアニメグッズが手に入る」というゴールに対して南アはインフラ面ではまだ全然整っているとはいえない。中央アジアや東欧と近いレベルで「相当深いところまで探して、街で1件だけあるアメコミショップで、ようやく日本の価格10倍のプレミアムなキャラクターグッズを入手する」というのが関の山だ。
そもそも公式で商品が流通しているかどうか、という点では「家庭用ゲーム>カードゲーム>映画・マンガ>グッズ」の順にアクセスができている状態だ。(それも決して数は多くないが)任天堂公式ショップやショッピングモールのゲームショップに入ってみると(日本の1.2~1.3倍価格で)フィジカルで最新の日本ゲームが遊べる状態にはある。ハードとしてのSwitch、Switch2も日本の2倍価格だが、きちんとアクセスはできる。

▲南ア・ヨハネスブルグSandton Cityにある唯一の任天堂公式ショップ

▲ゲームソフトは1000~1200R(1.1万円)で日本の1.5倍価格で手に入る。Switch1が8499R(8.5万円)、Switch2は13499R(13.5万円)、2倍だが最新版は手に入る。
どのショッピングモールにも映画館があり、きちんと電子化されている入場チケット購入、ほぼ定額の240R(2400円)はやはり現地では高く、あまり流行っている様子はない。任天堂ショップで働く3人中、2人は「まだGalaxy見れてないんだよ」といっていた。
家庭用ゲームに次いでアクセス性があったもの。それは玩具屋にいっても文房具屋にいっても本屋にいっても、日本のキャラクターはほとんどみることがない中で、例外的によく目に飛び込むのは「カードゲーム」である。ベルギーやイギリスで印刷・製造されたものが、欧州経由で南アに入っているようだ。ポケモンカードはアフリカでもよく売れるという。全世界でトーナメントが展開され、物流にのせやすいカードゲームは玩具類のなかでも一等流通にのせやすい画期的な商品だ、と改めて実感できた。

▲ToysrusやHamleesなど米英の玩具店であってもカードゲームだけはスペースがあった

▲遊戯王(パック100R(1000円)、デッキ500-600R(5-6千円)は相場の5-6倍近く)

▲コミコンでもパック100~250R(1~2.5千円)で売っていた
続いてはマンガだ。近年のアニメブームで確かに売れ行きは大きくなってきている。だがイギリス・フランスで出版されたVizmediaなどのマンガが(日本の6-7倍価格で)売られている、という価格帯は決して普通のアニメファンには容易にアクセスできるものではない。1冊500円コミックが米国では1500~2000円、それが南アではさらに倍となる3000~4000円といった具合である。ハードカバーだったり豪華本になってくると6千円からときには1万円を超える。中身をよく知っている日本人であってもなかなか手はでない。

▲ショッピングモールのアメコミ・Tシャツショップにマンガ棚があった

▲『うる星やつら』『セーラームーン』600R(6千円)

▲この度で一番整っていたヨハネスブルグの本屋。『ジョジョ』ハード装丁本600R(6千円)、『ベルセルク』『バガボンド』豪華本は1230R(1.2万円)

▲こちらはケニアでの『ブルーロック』(1750シリング(2100円)で南アよりはだいぶ安い
これがアーケードゲームセンターになってくると、完全に「異国」である。ポーランドやミャンマーにすらあった「湾岸ミッドナイト」や「サンリオ風アーケードゲーム(海賊版)」とは違い、南アでは大型のプレイフルなゲーム筐体、ボーリングセンターとなっていて、一体も日本由来のゲームがなかった。フランチャイズのMagic Company Game onだがUFOキャッチャーに日系IPのぬいぐるみはない。



▲AsphaltやJurassic Parkなどの米国IP筐体ばかり

▲ゲームセンターのリデンプション・プライズはいわゆる子供向け人形。欧米IPはあるが、日本IPは皆無。
では最後にアニメグッズはどうだろうか。やはりこのオタク向け嗜好品になると売り場がぐっとせばまる。苦労してようやく1件探す、という具合だが、中をみると「驚くほど海賊版」である。

▲ヨハネスブルグの唯一の「日本アニメグッズショップTechfixplay」

▲初音ミクやドラゴンボールのキーチェーン100R(1千円)。そのキャラにはありえない表情をしていたりと出来ばえはずいぶん厳しい。

▲かなりチャレンジングな創作性の財布。私自身が監修担当でもこれはさすがに…とおもえる出来だ。

▲初音ミクキーホルダー100R(1千円)、ルフィの麦わらぼうしや、「さめにゃん」「すずめの戸締り」ぬいぐるみ200R(2千円)だがすべてが非公式で許諾を得ていない

▲中国Kaiyouのカードゲーム。これらのぬいぐるみ、グッズ系は中国からの公式・非公式の仕入れと想定される(店主も流通経路は知らない、卸の会社もよく知らない、と答える)

▲中国に並行輸入されたプライズ品がそのままアフリカに流れているように推定される。『Reゼロ』や『初音ミク』のフィギュアが500~700R(5千~7千円)

▲やはりカードゲーム、フィギュアなど高価格帯の商品は正規品が流れている(着地点としての市場は非正規だが)。低価格帯のものは100%海賊版だ。
ではこうしたニッチなグッズ商店ではなく、一般的な玩具店やゲームショップなどはどうか、というと、英国植民地時代の流れを汲んでか「Hamleys」や米国「トイザらス」は複数店舗みかけるし、かなりきれいな門構えでモール外の単店舗展開すらしている。だがそこで日本玩具をみかけることはない。



▲タカラトミーの「ベイブレード」だが、これは米Hasbro商品として流通している
こうした中で一般的な場所で日本キャラに触れるのは「欧米の玩具チェーンに卸している中国流通企業が扱う日本IP」である。このZulu Anime Popは中国玩具メーカーのフォーマットトイだが、NARUTOや鬼滅のキャラが使われている。

今回の旅での日本IP流通のMVPは、Funko社の「POP!」である。これが一番手ごろな価格で公式の日本IPキャラのフィギュアを、適正な価格で買うことができた。『鬼滅』『NARUTO』『ドラゴンボール』『進撃』など主だったIPの質の良いフィギュアはこのPOP!一択、といえるくらいに普及している。なによりFunko社はその流通先の開拓がすばらしく、いわゆるオタクショップやアニメイベントだけでなく、日常的なチャネルとしての玩具店や書店、果ては文具店にすらPOP!が並んでおり、数あるフィギュアフランチャイズのなかで最もマスに膾炙したフォーマット玩具といえるだろう。

▲どこでも目にしたPOP!の二頭身フィギュア

▲携帯デコレーションショップでは2000R(2万円)でオリジナルの絵をかいてくれ、ざっと2-3割はONE PIECE、呪術、進撃など日本アニメだ。

▲Cable guysでゲームキャラがコントローラーをおくモニュメントになっている。「初音ミク」「ソニック」「ONE PIECE」など
POP!にしても、携帯デコにしても、“日本IP"をフォーマットにしたりパッケージで広げているのは外資で、しかもそれが決して「日本」を謳っていないということも悲しさがある。日本食も南アではアクセスしにくいものではあるが、もっとも日本食・日本菓子を売っていたのが「K-FOODアンテナショップ」であった。


▲なんなら日本食はK-FOODが一番アクセスできる。キットカット、ハイチュー、味の素、出汁、日清と店内の半分以上が「日本食」である(シールが貼っていない非正規品すらあった!食品なのに恐ろしい…)

▲アメコミとフィギュアが売られているComic Cafe


▲「NARUTO」「ヒロアカ」「Hunter×Hunter」のフィギュア1100R(1.1万円)

▲美麗な鬼滅・兄弟8900R(9万円)
ここまでみてきたが、コミコンやコスプレをみると欧米IP:日本IPで5:5かそれ以上、というほどに日本アニメは浸透している。彼らはコスプレしたり絵をかいたりといった「創作」によってのみ日本IPに触れているが、街中で手に入るキャラクター商品は欧米インフラか中国流通にのったものばかり。日本発の公式商品は「欧州経由でなんとかギリギリ、マンガやカードゲームが南アに届いてはいるが、相場価格の5-6倍、物価・GDPを加味すると10倍価値の超高額商品」か「出来の悪いい海賊版商品」に二分されている。
家庭用ゲームは任天堂・ソニーのすそ野で世界の末端まで広がっている。ストリーミングの力で作品としてのゲームもアニメもアクセスはできるのだ。Crunchyrollを通じて映像だけはオンタイムで最新作がバンバン流れて、ファンはどんどん増勢している。そこの需要に、カードゲームはそれなりに流通し、マンガはなんとか高単価でニッチな棚を占め、映画やグッズとなるとほぼ他力本願としての米・欧・中のリーチに頼っている状態だ。低価格品になってくると完全に海賊版の牙城。
こうした環境にあって、配信で生んだファンダムにとって「公式で最新のものが手ごろな価格で日本と同じように手に入る」という未来は、果たしていつ来るのだろうか。

▲一番扱いが大きい日本IPは『Butter』で一躍時の人となった柚木麻子『ナイルパーチ』かもしれない。南アの書店でこれだけ全面的なプロモーションがされていた
会社情報
- 会社名
- Re entertainment
- 設立
- 2021年7月
- 代表者
- 中山淳雄
- 直近業績
- エンタメ社会学者の中山淳雄氏が海外&事業家&研究者として追求してきた経験をもとに“エンターテイメントの再現性追求”を支援するコンサルティング事業を展開している。
- 上場区分
- 未上場




