■第四十回「"いま"やるべきこと」
今回は、記念すべき40回目です!
これまでのご愛読ありがとうございます、今後も業界の人材や、育成に関して思うところを書き連ねさせていただこうと思います。
さて、今回のテーマは「”いま”やるべきこと」
わたし、あまり、「べき論」は好きではないんです(笑)。
そもそも、他人が押し付けて何かをやらせても、本人に入っていくことは少ないですし、1人1人には、異なった人生があり、その人ごとの価値観もあります。もちろん、moreベターな示唆はあると思っています。それは、人生経験経ている人間から、若人たちへの示唆です。知識量、経験の違いが圧倒的にあるわけですから、逆にケチケチしないでサポートしていったほうがいいとすら思うくらいです(笑)。
もちろん、「おしつけ」はダメだと思います。論語はじめ、さまざまな古今東西の書籍や金言にも、結局は、
「教わる側の準備ができていないと、教えても効果は低い」
という話がありますので…
でも、これは、「だから、学ぶ気のない学生が悪いんだ!」ということではないと、わたしは声を大にして言いたいです。学生をその気にさせるのも、教える立場、伝える立場の人間の仕事であり、責任だと思うからです。
知っていることを、教える、伝える、ということは、その事象を考える、つくれる、とはまた異なる能力であると思います。一流のゲームクリエイターが果たして教えるのがうまいか?といえば、必ずしもそんなこともないでしょう。
・1人で面白いことを考える能力
・チーム…でも、会社というヒエラルキーある中で進行する能力
・そもそも、チームが全員プロである環境
というある意味、恵まれた環境で力を発揮していても、まっさらな学生たちの集団に飛び込んでいったら、はたして適切なことを教えることが可能かは、怪しいところがあります。
ただ、専門学校で担任をされている先生方は、1人で50名を超える人数を面倒見ておられる方もいらっしゃいますし、私立大学のゼミでも1人でやはり50名を超える人数を見ておられる方もいます。
このあたりは、そもそも、人が管理できるキャパの限界を超えている可能性があり、先生方だけに責任をおわせることは、やや酷だと思います。
と、まあ、現在の日本においては、
・ゲーム業界を目指したい人はいる!(比較的多め)
・ゲーム業界への架け橋となる学校も、ほどほどある(全国に)
・ゲーム系の学校の講師不足(大学はまずまずいるが、専門学校はかなり厳しい)
・ゲームを体系立てて教えるところが皆無(テキストやカリキュラムが少ない)
・ゲーム企業が、学生のポテンシャルをどこにみているか?(即戦力だけ欲してないか?)
・ゲーム業界を目指す人たちの制作経験不足
が、あると思っています。
なので、今回は、これらの中からいくつかをピックアップして、「いま」その対象となる方々がなすべきこととわたしが思うことを書きたいと思います。
これまでのご愛読ありがとうございます、今後も業界の人材や、育成に関して思うところを書き連ねさせていただこうと思います。
さて、今回のテーマは「”いま”やるべきこと」
わたし、あまり、「べき論」は好きではないんです(笑)。
そもそも、他人が押し付けて何かをやらせても、本人に入っていくことは少ないですし、1人1人には、異なった人生があり、その人ごとの価値観もあります。もちろん、moreベターな示唆はあると思っています。それは、人生経験経ている人間から、若人たちへの示唆です。知識量、経験の違いが圧倒的にあるわけですから、逆にケチケチしないでサポートしていったほうがいいとすら思うくらいです(笑)。
もちろん、「おしつけ」はダメだと思います。論語はじめ、さまざまな古今東西の書籍や金言にも、結局は、
「教わる側の準備ができていないと、教えても効果は低い」
という話がありますので…
でも、これは、「だから、学ぶ気のない学生が悪いんだ!」ということではないと、わたしは声を大にして言いたいです。学生をその気にさせるのも、教える立場、伝える立場の人間の仕事であり、責任だと思うからです。
知っていることを、教える、伝える、ということは、その事象を考える、つくれる、とはまた異なる能力であると思います。一流のゲームクリエイターが果たして教えるのがうまいか?といえば、必ずしもそんなこともないでしょう。
・1人で面白いことを考える能力
・チーム…でも、会社というヒエラルキーある中で進行する能力
・そもそも、チームが全員プロである環境
というある意味、恵まれた環境で力を発揮していても、まっさらな学生たちの集団に飛び込んでいったら、はたして適切なことを教えることが可能かは、怪しいところがあります。
ただ、専門学校で担任をされている先生方は、1人で50名を超える人数を面倒見ておられる方もいらっしゃいますし、私立大学のゼミでも1人でやはり50名を超える人数を見ておられる方もいます。
このあたりは、そもそも、人が管理できるキャパの限界を超えている可能性があり、先生方だけに責任をおわせることは、やや酷だと思います。
と、まあ、現在の日本においては、
・ゲーム業界を目指したい人はいる!(比較的多め)
・ゲーム業界への架け橋となる学校も、ほどほどある(全国に)
・ゲーム系の学校の講師不足(大学はまずまずいるが、専門学校はかなり厳しい)
・ゲームを体系立てて教えるところが皆無(テキストやカリキュラムが少ない)
・ゲーム企業が、学生のポテンシャルをどこにみているか?(即戦力だけ欲してないか?)
・ゲーム業界を目指す人たちの制作経験不足
が、あると思っています。
なので、今回は、これらの中からいくつかをピックアップして、「いま」その対象となる方々がなすべきこととわたしが思うことを書きたいと思います。
【1】学生が”いま”やるべきこと!
ゲーム業界を目指す学生がやるべきこと、これは明確です。1にも、2にも、「制作」をすることです!これは、理想はゲームをつくることですが、大学生は必ずしもこれを満たすことはできないでしょう。が、これまでも語ってきていますように、「研究」をすればいいとおもいますし、様々なゲームではない「制作」をすればいいと思います。
これまで、わたしが出会ってきた、且つ、業界で活躍している、もしくは、各企業から魅力的に感じされて多くの内定をとっていくような大学生は、みな、この「研究」「ゲーム以外の制作」をしっかりやっていました。
ロボットをパーツから3Dプリンタでつくっていた学生もいましたし、自身の世界の中で、ガラス工芸にうちこんでいた学生もいました。プロジェクションマッピングが面白そうだからとチャレンジしてみたり、VR系の制作をしていた学生もいました。また、ありきたりに感じるかもしれませんが、Unityで20本以上の作品を制作していた学生さんもいました。
これらの皆さんは、どなたもゲームに直結する制作をされていたわけではありません。が!自分が「興味」をもったことを、新しい知見や技術を使って「挑戦」し、自分なりのものを「完成」させ、他者にみせて「評価」をうけて、「振り返り」次への課題を自身にあげていっている人たちでした最後の振り返りからの、NextActionは、やや難しいにしても、とにかく、
興味、挑戦、完成!評価→振り返り
までを一気通貫やりきっているか? ということがすごく大事だということですね。
自分でやりきることで、自分の中での言葉がでてくる。だから、面接などにいってもひるまない、自分の言葉で語れる、ということかと思います。Unityでの開発も、20本くらいの数をやれば、おのずと見えてくるものもあるでしょう。
自己の評価視座の確立や、信念をもつためには、やはり、自分でないとできない「経験」を自ら積むことが非常に大切なのだと思います。つまり、自分を助けるのは、やはり自分で、そのためには、苦労して、生み出して自己の中にそれこそ、自分を形成しなくてはいけないということですね。
【2】ゲーム企業が”いま”やるべきこと!
ゲーム企業がやるべきことは、大きく分けて2つあると思います。きたるべき2018年問題の先にある、2022年問題に向けて、「学生に選ばれる企業」になるためのブランディングや、組織、給与体系、福利厚生などを見直していかなくてはいけない、ということです。
いくつかの企業さんは、すでに、採用の1年前の学生さんにむけて、サマーインターンシップを開催されたり、秋口以降も毎月のように1dayのインターンシップを実施されています。
イベントをやること自体が目的ではないですが、実施することで、学生さんに自分たち企業を知ってもらう、という観点では、重要な手段だと思います。
私自身もそうでしたが、学生時代は、一部の大手以外は知りません。現在は、20年前に比べれば、情報を仕入れやすくなってますし、溢れてすらいます。
ですが、であるがゆえに、必要な情報を的確にとりにいくことは決して容易ではなく、創意工夫と継続的努力が学生側に必要となります。で、あるならば、企業側から歩み寄ることで、より優秀な学生たちにリーチしやすくなります。
これまでの企業アピールは、合同説明会などで、
・自社ゲームタイトルの動画を見せる
・求人票を読み上げる
・質問に答える
というものが多かったと思います。ですが、もう学生たちは、一部のゲームのことしか知りませんし、これをやるなとは言いませんが、これをやったうえで、更に学生たちに振り向いてもらえるようなことをしなくてはいけないということですね。
また、繰りかえしになりますが「選ばれる企業」にならないと、子供の数がそもそも、もう増えていかない時代にはいりますので、自分たちで獲得にいかないと、待っているだけではきてくれない、ということです(もしくは、受けてくれても、とりあえずの出願におわり、採用コストだけ上昇する)。
たしかに、前回の活人研では、中高生の将来あこがれる職業にゲームクリエイターがはいってきている!とはお話ししましたが、それでも、全体数が減っていく以上は、異業種へ行かれたり、業界内でも奪い合いが激しくなると思います。
そうなる前に、自社のブランドを確立し、且つ、認知を高めることを実施していくことが非常に重要な戦略になってきます。
・理念
・ビジョン
・キャリアパス
・仕事の幅
・チャレンジできること
・安定性
などを、どうアピールしていくか?チャレンジと安定は、真逆だと思われるかもしれませんが、キャッシュフローが安定しているから、チャレンジできることもあります。ただ、安定のみを求めて、チャレンジしない、成長を受け身でしか求めない学生は、不要だという意見が出てもこれは、仕方のないことかとも思います(笑)。
現在、ゲーム業界で10年先を語ることは非常に難しいと思いますが、3年後、5年後という中期にむけてのビジョンや、企業としてやりたいことを、明確に語れる人間のいる会社には人間は惹かれると思います。これは、新卒採用に限らず、キャリア採用においても同じだと思います。
今回は、学生と企業の「いま」やるべきことを、かかせていただきました!
学校やその他の「いま」やるべきことは、また別の機会で!
それでは、今回は以上で!
■著者 : 馬場保仁
株式会社ファリアー 代表取締役社長。過去、セガ(当時 セガ・エンタープライゼス)で『プロ野球チームをつくろう!』『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』など多数のゲーム開発に従事。その後DeNAにてスマホアプリ開発のプロデューサーを担うほか、人事・採用担当も兼任。現在は、ファリアー社を創業し、“人は人に活かされる”をモットーにゲーム開発、人材発掘・育成にこれまで以上に尽力している。著書に「ゲームの教科書」(ちくまプリマー新書)がある。
■ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- バックナンバー
■第三十九回「ゲームをつくるのは楽しい!」
■第三十八回「軸足をもつ」
■第三十七回「どんな経験が?」
■第三十六回「自分だけの面白いから脱却」
■第三十五回「幸せのカタチ、面白さのカタチ」
■第三十四回「プロの言葉・責任」
■第三十三回「小さな成功、大きな成功」
■「ゲーム業界クリエイター教育トーク」【後編】(第三十二回)
■「ゲーム業界クリエイター教育トーク」【前編】(第三十一回)
■第三十回「指導者に問われるもの」
■第二十九回「そもそも、企画の仕事って…」
■第二十八回「転職〜中級編・自分の価値を知る〜」
■第二十七回「転職〜入門編〜」
■第二十六回「リーダーシップとは」
■第二十五回「思考のスタミナ」
■第二十四回「出て行く勇気」
■第二十三回「個人でつくる・集団でつくる」
■第二十二回「指摘される勇気、指摘する気遣い」
■第二十一回「どこを見るか? どう採るか?」
■第二十回「100%の力を発揮するために……」
■第十九回「まずは、”伝える”ことから始めよう!」
■第十八回「カード少なく勝負に挑まない」
■第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【後編】(第十七回)
■第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【前編】(第十七回)
■第十六回「新人事始」
■第十五回「就職活動にみられる地方格差」
■第十四回「【思いやり】の向こう側」
■第十三回「仕事選び 〜成長・夢・時間〜」
■第十二回「本当にそれは、ゲームに必要か?」
■第十一回「ハッカソンの功罪」
■第十回「会社選びと成長(プロ、アマ問わず)」
■「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【後編】(第九回)
■「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【前編】(第八回)
■第七回「学生さんにやっていただきたいこと~後編~」
■第六回「学生さんにやっていただきたいこと~前編~」
■「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【後編】(第五回)
■「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【前編】(第四回)
■第三回「若手のチャンスとキャリアパス」
■第二回「企業×学校×学生」
■第一回「ゲーム業界って本当に人手不足なの?」
会社情報
- 会社名
- 株式会社ファリアー
- 設立
- 2016年7月
- 代表者
- 代表取締役社長 馬場 保仁