【クリエイターの広報術:第14回】ゲームを幅広く届けるために…パブリッシング支援を勝ち取るための準備

インディーゲームクリエイターが自身のゲームを効率よく世に伝えるため、メディア視点から掲載しやすいプレスリリースを紹介する連載「クリエイターの広報術」。

今回は、少し趣向を変えて「番外編」的な内容。先日、私はIGDA日本SIG-Growthが主催するセミナー「日本のインディーゲームに対する投資・資金提供機会を創出するには」を取材してきた。主に投資家やパブリッシャー向けの硬派な内容だったが、その中には開発者の皆さんが避けては通れない、非常に重要なトピックが含まれていた。

それは、「支援を受けたい場合、開発者は何を準備しておくべきか」という視点です。もし信頼できるパブリッシャーと提携できれば、資金面だけでなくプロモーションの強力なバックアップが得られる。そうなれば、本連載のテーマである「プレスリリースを書く」という実務そのものを、広報のプロに委ねることだって可能だ。

もちろん、提携を勝ち取るのは非常に高いハードルだ。しかし、その詳細を知っておくことは、単なる広報術を超えて、皆さんのプロジェクトを成功に導く大きな指針になるはず。今回は、セミナーの熱気を引用しつつ、開発者が知っておくべき「パブリッシングという選択肢」の裏側に迫る。

参考記事
インディーゲームに資金はどう提供されるのか? 市場拡大の裏で国内の機会が少ない「民間投資」の課題に迫る

投資のチャンスを掴むゲームは何が違うのか? VC・開発者が語る判断基準と準備すべきこと


「作品の面白さ」を「事業の計画」に翻訳する

パブリッシャーや投資家が開発者に求めるもの、それは極論すれば「投資家に見せるための事業計画」だ。
「そんなの銀行員じゃないんだから……」と思うかもしれないが、これは「面白いゲームを作る」という情熱を、「成功するビジネスである」というロジックに翻訳する作業と言い換えることができる。

ここで大切になるのが、一般的なビジネス用語を自分のプロジェクトに当てはめて考える力。
例えば、「グロースシナリオ(成長戦略)」という言葉。これは簡単に言えば、「このプロジェクトをどうやって持続的に成長させていくか?」という道筋のこと。

「リリース後、どのようなペースでアップデートし、どの層のユーザーをどう増やしていくのか?」

こうした問いに、開発プロジェクトの実態に即して答えられる準備をしておくこと。聞き慣れないビジネス用語にアレルギーを持たず、まずは「自分のゲームを説明する新しい言葉」として学んでおくことが、提携への第一歩になる。

「あなたのファン」になった若手担当者を助けよう

ここが非常に重要なポイント。パブリッシャーやベンチャーキャピタル(VC)では、まず若手スタッフが皆さんのゲームを見つけ、「これはいい!」と上司に提案するケースが多々ある。

しかし、その上司は必ずしもゲームに詳しくないかもしれない。そこで、若手スタッフが上司を説得するための「武器(材料)」を、あらかじめこちらで用意しておくのだ。

「このゲームのジャンルは◯◯で、以前ヒットした『△△』に近い手触りです」
「その『△△』は◯万本売れており、この市場にはこれだけの固定ファンがいます」

「自分のオリジナルゲームを、他の作品に例えるなんて……」と抵抗を感じる方もいるでしょう。そのこだわりは、クリエイターとして非常に健全なもの。
しかし、相手にプロジェクトの規模感をイメージしてもらい、「このジャンルには確かな需要がある」とデータで示すことは、投資判断という重い扉を開くための最強の鍵になる。

自ら「◯◯に似ている」と言うのは、オリジナリティを否定することではない。むしろ、「ファンが待ち望んでいる場所に、最高の回答(ゲーム)を届ける準備ができている」と証明する、最高のプレゼンテーションと言える。

編集部からの一言

パブリッシングを勝ち取るためのやり取りも、実はプレスリリースの書き方につながると思う。根本にあるのはどちらも「ゲームの魅力を伝える」ことだから。
冒頭でも書いた通り、インディーパブリッシャーにパブリッシングしてもらうのは簡単なことではない。しかし、その準備はゲームをピーアールする際に必ず役立つはず。頭の片隅にいれておくことは決して無駄ではないと思う。

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