【決算まとめ】家庭用ゲーム大手の9月中間、6社中5社が増益 巣ごもり反動懸念払拭、好調続く 遊技機やAMなどコロナの影響受けた事業も復調へ

家庭用ゲームソフト大手6社の9月中間決算が出揃った。本業の儲けを示す営業利益でみると、6社中5社が30%を超える大幅な増益または100億円を超える黒字転換となるなど、総じて好調であった。唯一、ハイエンドゲームとスマホゲームが苦戦したスクエニHD<9684>のみが8%弱の減益だったとはいえ、300億円近い営業利益を稼いでいる。期初の時点では、新型コロナの影響で特需的に発生した「巣ごもり消費」の落ち着きが指摘される中、反動減が懸念されていた。

増益組のうち、主力のゲーム事業だけでなく、非ゲーム事業が収益改善した会社が目立った。スポーツやアミューズメント関連、パチンコ・パチスロ関連など、前年同期は新型コロナの影響で収益悪化を余儀なくされたが、昨年より構造改革を実施したこともあり、採算性を大きく改善させたようだ。

バンナムHD<7832>はトイホビー事業が引き続き好調だったが、アニメやイベント関連、アミューズメント関連も収益が改善した。ただ、ゲームについては、下期のリリースラッシュに向けた端境期となったこともあり、減収減益となった。

コナミHD<9766>もゲーム事業が2桁の増収増益を達成したことに加えて、アミューズメント事業とゲーミング&システム事業、スポーツ事業がいずれも黒字転換を達成し、大幅な増益となった。

セガサミー<6460>も家庭用ゲームが好調だったほか、IR事業や遊技機の赤字が縮小した一方、アミューズメント機器が黒字転換した。

また、主力のゲーム主導で増益としたカプコン<9697>とコーエーテクモHD<3635>の存在感が際立つ。カプコンは、『バイオハザード ヴィレッジ』が大ヒットし、『モンスターハンターライズ』も販売本数を伸ばした。コーエーテクモも『戦国無双5』や「仁王」シリーズ新作、「ライザのアトリエ」シリーズとリピート販売、『三國志 覇道』や『三国志・戦略版』などスマホゲームが両輪で伸ばすことに成功した。

各社の状況は以下のとおり。

■コーエーテクモホールディングス<3632>
売上高372億円(前年同期比60.8%増)、営業利益164億円(同94.4%増)と大幅増収増益となった。第1四半期に発売した新作と、前年度までに発売したタイトルのリピート販売が堅調に推移したほか、スマートフォンゲームで自社開発タイトルの運営収入が伸長し、IP許諾タイトルによるロイヤリティ収入も高水準を維持したことで大幅な増収増益を達成した。

・売上高:372億円(同60.8%増)
・営業利益:164億円(同94.4%増)
・経常利益:250億円(同63.9%増)
・最終利益:181億円(同53.2%増)

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■セガサミーホールディングス<6460>
売上高1348億円(前年同期比22.3%増)、営業利益146億円(前年同期は30億円の損失)と増収・黒字転換を達成した。エンタテインメントコンテンツ事業を中心に好調な推移となり、大幅な増収、黒字転換を達成した。遊技機とリゾートの赤字幅が縮小した。『HUMANKIND』や『ソニックカラーズ アルティメット』『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』など家庭用ゲームが好調だったほか、やアミューズメント機器も黒字転換した。

・売上高:1348億円(同22.3%増)
・営業利益:146億円(同30億円の損失)
・経常利益:147億円(同35億円の損失)
・最終利益:120億円(同217億円の損失)

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■バンダイナムコホールディングス<7832>
売上高3936億円(前年同期比16.8%増)、営業利益617億円(同34.4%増)と大幅増益を達成した。ゲーム事業が減収減益だったものの、トイホビーが好調だったほか、映像音楽、アミューズメント事業が復調した。玩具と並ぶ柱であるゲームについては、家庭用ゲームやスマホゲームともに下期の新作リリースに向けて開発を進めており、スマホゲームの売上はマイナスとなった。

・売上高:3936億円(同16.8%増)
・営業利益:617億円(同34.4%増)
・経常利益:641億円(同35.8%増)
・最終利益:395億円(同24.6%増)

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■スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>
売上高1689億円(前年同期比2.2%減)、営業利益291億円(同7.9%減)と減収減益だった。出版事業やMMOが引き続き好調だったほか、アミューズメントも黒字転換したものの、主力のゲーム事業でHD(High-Definition:ハイディフィニション)ゲームとスマホゲームが苦戦したことが響いた。主力のHDゲームは、前年同期の『FFVII REMAKE』や『Marvel's Avengers』に匹敵するタイトルがなかった。経常利益は増益だが、為替差益や有価証券売却益、暗号資産売却益などを計上したことによる。

・売上高:1689億円(同2.2%減)
・営業利益:291億円(同7.9%減)
・経常利益:314億円(同3.1%増)
・最終利益:229億円(同43.3%増)

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■カプコン<9697>
売上高699億円(前年同期比66.4%増)、営業利益289億円(同61.9%増)と大幅増収増益を達成した。過去最高水準の業績だった。5月に発売した「バイオハザード」シリーズの最新作『バイオハザード ヴィレッジ』が業績に大きく貢献したほか、7月に発売した『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』が全世界で100万本を突破したこともあり、大幅な増収増益を達成した。またアミューズメント施設、アミューズメント機器も復調した。

・売上高:699億円(同66.4%増)
・営業利益:289億円(同61.9%増)
・経常利益:297億円(同69.2%増)
・最終利益:222億円(同71.0%増)

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■コナミホールディングス<9766>
売上高1394億円(前年同期比20.2%増)、事業利益386億円(同50.2%増)と大幅増収増益となった。「eFootball ウイニングイレブン2021」や「プロ野球スピリッツA」などモバイルゲームが引き続き堅調に推移した。新型コロナウイルス感染拡大による影響は残るものの、アミューズメント事業、ゲーミング&システム事業及びスポーツ事業においても復調に向けた取り組みが成果を見せ始めた。

・売上高:1394億円(同20.2%増)
・事業利益:386億円(同50.2%増)
・営業利益:391億円(同83.0%増)
・最終利益:275億円(同99.8%増)

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株式会社カプコン
http://www.capcom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社カプコン
設立
1983年6月
代表者
代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
決算期
3月
直近業績
売上高1259億3000万円、営業利益508億1200万円、経常利益513億6900万円、最終利益367億3700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9697
企業データを見る
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
https://www.hd.square-enix.com/jpn/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
設立
1975年9月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高3432億6700万円、営業利益443億3100万円、経常利益547億0900万円、最終利益492億6400万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9684
企業データを見る
コナミグループ株式会社
http://www.konami.com/

会社情報

会社名
コナミグループ株式会社
設立
1973年3月
代表者
代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
決算期
3月
直近業績
売上高3143億2100万円、営業利益461億8500万円、最終利益348億9500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
証券コード
9766
企業データを見る
コーエーテクモホールディングス株式会社
http://www.koeitecmo.co.jp/

会社情報

会社名
コーエーテクモホールディングス株式会社
設立
2009年4月
代表者
代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
決算期
3月
直近業績
売上高784億1700万円、・営業利益391億3300万円、経常利益398億9900万円、最終利益309億3500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3635
企業データを見る
株式会社バンダイナムコホールディングス
http://www.bandainamco.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコホールディングス
設立
2005年9月
代表者
代表取締役社長 川口 勝
決算期
3月
直近業績
売上高9900億8900万円、営業利益1164億7200万円、経常利益1280億0600万円、最終利益903億4500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7832
企業データを見る
セガサミーホールディングス株式会社
http://www.segasammy.co.jp

会社情報

会社名
セガサミーホールディングス株式会社
設立
2004年10月
代表者
代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
決算期
3月
直近業績
売上高3896億3500万円、営業利益467億8900万円、経常利益494億7300万円、最終利益459億3800万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
6460
企業データを見る